MILGRAM 第一審/ユノ「アンビリカル」考察
こんにちは。桜小路いをりです。
今回は、先日の「MILGRAM 第一審/ハルカ「弱肉共食」考察」に引き続き、ユノの第一審MV「アンビリカル」の考察をしていきたいと思います。
こちらがユノの第一審MVです。
考察では、少々センシティブな話題にも触れていくことになりそうなので、予めご了承ください。できるだけ遠回しな表現を使っていく予定です。
ユノについて
まずは、ユノこと樫木優乃の人となりから。
ユノは、18歳の女子高生の囚人。
おっとりしている性格ですが、上記の台詞のように、金銭を要求する冗談を言うクセがあります。
このクセについては、お金に苦労するような子供時代を過ごしたのかな、と私は考えています。
「特別扱いを好む」という公式サイトの記載からも、逆に言えば「特別扱いをされたことがない」ことの裏返しなのではないでしょうか。
また、ユノは右の目尻辺りに泣きぼくろがあります。
ネットで調べたところ、右目に泣きぼくろがある人は恋愛運に恵まれているそうで、目尻に泣きぼくろがある人は「恋愛体質」の傾向があるとか。
また、ユノの誕生日は9月2日、誕生花はチューベローズで、花言葉は「危険な快楽」です。既にダークな雰囲気が……。
歌詞について
先ほどの人となりについての考察でも触れた、ユノの「恋愛体質」な部分。これは、歌詞の随所からも推し量ることができます。
引用した前半の部分、特に「ま、でもいっか」という言葉から、どちらかというと後先考えずに飛び込んでいくタイプのようにも思えます。
また、「朝を目指しましょ」という言葉から私が連想したのは「夜遊び」でした。もしかしたら、MVのイラストのような大人っぽい服装でオシャレをして、昼夜を問わず遊んでいたのかもしれません。
「噓と嘘でエンドレス」というフレーズが、この曲の中でとても印象的でした。
「ひとりぼっち」は「淋しい」から、たとえ嘘に嘘を重ねて、互いに嘘を吐き合ってでも「ふたりぼっち」がいい。そんな、ユノの心に落ちた深い孤独の陰が見える気がします。
また、「リロード(=再読み込み)」って、私の個人的な印象だと「上手く読み込めなかったからもう一度読み込む」というイメージがあります。
「もう一度やったら、きっと優しさを読み込むことができる」、そう思って「リロードする」ユノは、心のどこかでは相手からの優しさは望めないと分かっているのか。それとも、分かっていて分からないフリをしているのか……。
ユノの歌声も、幼げで可愛らしいようでいて、独特の大人っぽさ、あえて嫌な表現をすれば「ませた」印象があるように思います。
可愛い曲調に思い切り振り切ったからこその、この不穏さ、DECO*27さんってすごいな、といつも思います。
ちなみに、曲名の「アンビリカル」の意味のひとつに、「へその緒で結ばれたように密接な関係」というものがあります。
この相手は、恐らく歌詞の中の「君」。
MVの考察の中でその「君」との関係を掘っていきます。
MVについて
まず、MVの中でも印象的な「風船」。これは、調べたところ「夢」や「希望」を象徴するものでした。
ユノは、MVの冒頭で手に持っている風船を手から離し、飛ばしてしまいます。これは、「希望」を自分から手放したということではないでしょうか。自分の現状に夢や希望を見出せなくなった、あるいは、自暴自棄になったと推測しています。
その後、デートの描写や螺旋階段が重なる描写などを挟み、ラスサビでまた風船を掴みます。恐らく、「希望」が戻って来たということではないでしょうか。
しかし、MVのいちばん最後のシーン、ユノの後ろ姿のカットでは、風船は持っていません。すなわち、ユノが掴んだと思っていた風船は「幻」だったのだと思います。
また、ユノが力を込めて割ってしまう、中に小さな風船が入った透明な風船(インサイダーバルーン)は、「家族」の暗喩ではないでしょうか。
自分で力を込めているはずなのに、風船が割れてしまったときのユノの口元は、少し驚いたような形になっている気がします。
私は、ユノの「希望」や「夢」は、「誰かの特別な存在」になることなのではないかと思っています。
だからこそ、深い孤独感を抱えていて、恋愛体質、そして、家族にとって自分は大切で特別なんだと知りたくて、あえて非行めいた夜遊びなどをしていたのではないでしょうか。
ここで、螺旋階段の考察に移らせてください。
私が、螺旋階段が出てくるシーンを初めて見たときに思ったのが「DNA(遺伝子構造)の螺旋みたい」でした。
ユノがいる螺旋階段にも、もうひとつの螺旋階段にも、プレゼントが置いてあります。プレゼントの色味から推測するに、もうひとつの螺旋階段にいるのは、恐らく男性、歌詞の中の「君」だと思います。
たくさんのプレゼントが置いてあることからも、二人の関係は純粋な恋愛ではないのではないでしょうか。物、あるいはお金が間に挟まるような。
これは、ユノの金銭を要求する冗談を言うクセにも繋がります。
イラストにあるデートの描写も、高校生がするデートにしては大人っぽすぎるように思いました。「君」は、年上の男性なのだと思います。
そして、ふたつの螺旋階段が重なり、崩れていく。
あんまり考えたくないのですが……恐らく、ユノは新しい命を授かって、でも、その命を「産まない」あるいは「産んだけれど殺してしまった」のではないでしょうか。
(今、『透明なゆりかご』という小説を読んだときの衝撃が蘇ってきています……)
この一連の出来事が、もしかしたらユノの家族に歪みを生み、最終的に壊してしまったのかもしれません。
先ほどの風船の考察にもリンクしますが、もしかしたらユノは、一連の出来事のどこかで「自分は特別な存在だったのかもしれない」あるいは「孤独じゃなかった」と気づいたのかもしれません。
しかし、また掴んだはずの風船(希望)は、幻だった。
つまり、「失って初めて、大切なものを手放したことに気づいた」のではないでしょうか。最後のシーンでこちらに背を向けるユノは、どんな表情をしていたのか……。
まとめ
ユノは、どちらかというと同情する部分が多いな、と感じています。
家庭環境にも、ユノ自身の自己肯定感などにも原因があって、どんな形でもいいから「アンビリカル(=へその緒で結ばれたような密接な関係)の誰かが欲しい」と思った末の行動だったのだと思います。
ちなみに、今、根本的な「MILGRAM」のシステムについて少しだけ「あれ?」と思っています。
これは「ジャッカロープの『誰でもわかる"ミルグラム"』 」を聞き返していたときに引っかかった部分です。
心象風景は、いわば「心の中に思い描いた景色」のこと。
つまり、囚人たちが自分たちにとって都合の悪い部分は描き変えられるのでは? ということ。
これも加味していくと、ますます「赦す」「赦さない」をどうジャッジしたらいいか分からなくなってきます……。
第二審で、ユノを含めた囚人たちの心象風景がどう変わっていくのか、これからとても楽しみです。
ちなみに全く関係ないですが、MVの中でユノがポニーテールをしているイラスト、可愛くて好きでした。それだけです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。