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MILGRAM 第二審/フータ 考察

こんにちは。桜小路いをりです。

ずいぶん間が空いてしまった気がします。
今回は、「MILGRAM」第二審、フータの考察です。

第二審のMVはこちら。

今までのMVにはなかった、少し趣向の違うシーンが入っていたり、非常に考察のしがいがありそうです。(何か深いことが書けるわけではないのですが)

第一審の考察記事はこちらです。

ぜひ最後までお付き合いください。


第一審の答え合わせ

おおよその考察は合っていたのかな、と思います。

また、フータは二審のボイスドラマで「暴力に訴えるなんて」というようなことを言っています。

「悪い奴についてネットで叩いただけ」とも言っていたので、やはりフータ(と、フータが扇動した多くの人)のネット上での誹謗中傷が原因で、誰かが亡くなったようです。

また、第一審の記事で、私は「フータは赦されたくないから、あえて同情できないMVになっているのではないか」と書いていましたが、その線は薄いのかな、と思うようになりました。

考えてみれば、ネット上でのフータの言葉が原因で亡くなった人がいた、というのが「フータの罪」です。

ネット上でしか絡んだことがない、というより、フータの方から一方的に絡んだことしかなかったのなら、第一審の時点では「悪いことをした」という感覚そのものが薄かったのかなと思います。

ボイスドラマについて

興味深い脚本だな……と、冷静にその面白さを噛み締めてしまうくらいには、聴き応えのあるボイスドラマでした。Spotifyを始めていて良かったです。
ボイスドラマを聴かずに考察するのは、もったいないくらい。

今回のポイントは、まずフータがコトコに襲撃されたこと。コトコは、フータを始め、「MILGRAM」で「赦さない」と判断された囚人を襲撃しています。

コトコもフータも、「悪いこと」をした人を罰するような行為が「罪」に問われています。
ただし、コトコは物理的に人を攻撃したのに対し、フータは精神的に人を攻撃しています。(でも、コトコは赦されているという事実……難しいです)

そして、「思想の肯定・否定」で囚人を罰する「MILGRAM」は、どちらかというとフータが行ったことに近い形で囚人に「罰」を与えているように思います。

フータは、コトコに襲撃されたことによって、そして、「MILGRAM」の看守である視聴者の声が聞こえたことによって、ようやく、自分が行ったことの重大さを感じたようにも見えるような。(あえてストレートに書いているので、なかなか酷いことを言っていますがご了承ください)

また、エスは最後に「被害者への謝罪がない」ということも指摘していました。

本当に「自分の中傷の言葉のせいで人が亡くなった」という認識がないのか、それとも、コトコに負わされた怪我のせいもあり、自分のことだけで頭がいっぱいなのか……。

第二審の楽曲について

この曲の歌詞、前半では、第一審の「バックドラフト」と似たような印象なのですが、後半はどこか弱気になっている印象です。

前半と後半で同じ歌詞があるので、その違いも含めて書いていきます。

まずは前半。

囲まれピンチ マジョリティーのリンチ
既に瀕死 現地よりお送りしてます
炸裂 ハードなカウンター
まだ耐えるんだ 
傍目に魅せなきゃなんねえな

ここの歌詞は、「叩く側」の目線のように思います。「現地よりお送りしてます」という言葉は、半分傍観者のようでいて、その後に続くのは「誰かを攻撃する言葉」です。

一方、後半の歌詞はこちら。

囲まれピンチ マジョリティーのリンチ
既に瀕死 現地よりお送りしてます
炸裂 ハードなカウンター
まだ耐えるんだ 
傍目に魅せなきゃなんねえ
火の手 人の目の包囲網
掻い潜るのはどうやら無理そう
炸裂 ハードなカウンター
俺を飲み込む消せないFire

付け足された部分と、少し表現が変わっているところは太字にしてあります。

こちらでは、フータは「叩かれる側」になっています。

恐らく、前半は「罪」を犯したフータ、後半は「MILGRAM」に入った後のフータなのではないでしょうか。

前半は加害者、後半は被害者、という感じ。

また、少し前まで味方だと信じ、「一緒に悪を倒している」と思っていたネット仲間が、ある日を境に手のひらを返した。そのきっかけが、誹謗中傷によるものであると思われる、誰かの死。
そのようにも考えられます。(そろそろ私の頭が行き詰まってきたので、MVの考察に行きます。)

第二審のMVについて

今回のMVの舞台は、トンネルです。

車に乗っているときにトンネルに入ると、なんだかすごく不安になるのは、私だけでしょうか……。決して閉所恐怖症ではないのですが、「トンネル」は、どこか不安を煽るような印象です。
個人的すぎる見方にはなりますが、今回のMVからは、なんだか「フータの心に常に蔓延る鬱屈・鬱憤」を感じる気がしました。

また、「トンネル」は、外から中の様子を見ることができない空間です。ネット上は、リアルからでは伺い知ることのできない空間でもあり、どこか「トンネル」と繋がる部分があるように思います。

そして、もうひとつポイントになっているのが、フータの「落書き」ではないでしょうか。
赤いスプレー缶を使って、壁の絵を塗りつぶしています。「MILGRAM」では「赦さない」と判断された囚人の目が赤く表示されますから、この赤色はフータの「赦さない」という意志の表れのようにも捉えられます。

しかし、「落書き」は器物損壊、建造物損壊など立派な犯罪に該当します。フータが行っている「落書き」は、「悪いこと」に分類される行為です。

一方、トンネルに元から描かれている絵もまた「落書き」されたものなら、どうでしょうか。フータは、「悪いこと」を「悪いこと」で塗りつぶしているような状況になると思います。
これは、フータだけでなく途中から増えた無数のスプレー缶の持ち主たちにも通じることです。

また、最初は壁の絵に向けられていたスプレー缶は、後半の真ん中辺りで、人物に向けられます。当初は「その人の行動」を叩くだけだったのが、やがて「その人の人格そのもの」を叩くようになった、のではないでしょうか。
これに対しては、フータも腰を抜かし、怯えています。

そして、標的になった高校生らしき女の子は石になり、崩れ落ちる。
フータもまた、石になった手を見て呆然とし、逃げようとする。
その行く手を阻むもの、このMVのラストシーンに現れるのが、エスです。
いくつもの「目」を従えたエスは、フータに向けてスプレー缶を発射し、そこでMVは終わります。

フータのMVは、「過去の罪」を明かすものというよりは、「現在の心境」を表すもののように感じました。

もしかしたらフータにとって、過去よりも現在のほうが、より「罪に対する意識」が強くなっているのかもしれません。
また、エスが出てきて唐突に終わる構成からは、「悪夢」という印象も受けます。罪の意識を強くしたフータが、よく夢に見る光景、それがこのMVなのではないかな……とも感じます。

まとめ

今回は(今回も)、ボイスドラマにすごく「はっ」とさせられました。

聴いていて少し辛い内容ではありましたが、どの言葉も真に迫っていて、考えさせられます。

そして、私の気のせいかもしれませんが、エスがより人間らしくなっているように思いました。

そんな変化にも目を凝らしながら、これからも「MILGRAM」を追いかけていきたいです。

今回お借りした見出し画像は、赤い椿の写真です。少しうつむいたような様子が素敵で、選ばせていただきました。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。