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MILGRAM 第一審/マヒル「愛なんですよ」考察

こんにちは。桜小路いをりです。

今回はマヒルの第一審MV、マヒルの「愛なんですよ」についての考察です。

こちらがマヒルの第一審MVです。可愛らしい演出が、かえって不穏さを引き立てているようなMVになっています。

ぜひ最後までお読みください。

マヒルについて

まずは、マヒルこと椎奈真昼の人となりについて。

ふふ、気をつけてね。
――そんなに一生懸命だと好きになっちゃうよ。

マヒルは、囚人の女性陣の中では最年長。騙されたりからかわれたりしても常にへらへらと笑っています。
彼女が監獄内の癒しになっている一面もありますが、一方でエスとの面談では寂しげな表情を見せることも。

まず、マヒルが着けているピアスのモチーフ。私は、ひまわりだと思いました。ひまわりの花言葉は「あなただけを見つめる」です。また、これはピアスなのでちょっと違うかな、と思うのですが、大輪のひまわりになると「偽りの愛」だそうです。

マヒルの誕生日は1月17日、誕生花はナズナで、そちらの花言葉は「あなたに私の全てを捧げます」です。

ここで、私が特に印象に残っているマヒルの台詞をもうひとつ引用しておきます。

もしマヒルのしたことが赦されなかったら、生きてる意味ないなあ、正直。

ここの伏線は、考察本編で回収します。

歌詞について

マヒルの楽曲は、全体的に、ユノの「アンビリカル」の雰囲気を彷彿とさせます。
恋愛体質というか、恋愛に依存しがちというか、そんな無邪気な危うさが漂う歌詞ではないかと思います。束縛を連想させるような歌詞もあり、可愛い曲調がかえって不穏さを引き立てているような……(「MILGRAM」の見すぎかもしれません。)

ああまあ
この感じを幸せって言えちゃうんだろうけどさあ
どうにも足りない何か存在している気がしてならないなあ
ねえどう?
聞かれて困ることなんて重々承知の上なんだけど
その顔見たくてつい言っちゃうんだ 
ごめんね?

ここの、畳みかけるような台詞っぽいパート。
聞かれて困ることなんて重々承知の上なんだけど  その顔見たくてつい言っちゃうんだ」というのは、恋人に、その人の元恋人のことを問うているのではないでしょうか。
ごめんね?」という歌い方も、どこか開き直っているような感じがあります。

厭ってほどに 縛ってみたり
まだ不安になるの どうか赦してね
君のこと試しちゃう時も 
たまにある別れの儀式も
愛なんですよ

がちがちに束縛やん……というツッコミは置いておいて。
たまにある別れの儀式」って、巷でよく聞く「もういい! 別れる!」っていうアレだと思います。
「別れる!」と告げた後に相手が慌てふためき、「別れたくない」と言うのを待つあの台詞。
相手のことを試すそんな行動も含めて「愛」だと言うマヒルは、もしかしたら、「愛されていること」を確認しないと不安になるのだと思います。
ひょっとしたら、愛情を知らずに育ったのかもしれません。

すれ違うこともあって 
傷付くことが嬉しかった
痛みはお揃いでしょ 
この病気かなりやばいな?

MVの考察でも触れるのですが、マヒルはいわゆる「普通の恋愛」が初めてで、「恋に恋している」印象です。

マヒルの年齢は22歳で、話し方も「おねえさん」のイメージが強かったのですが(エスとの会話の中でも、自分のことを「おねえさん」と言っています)、曲の歌い方は少し「幼い感じ」が強くなっている気がします。

歌詞だけでは限界があるので、MV考察に移ります!

MVについて

MVだけ見たら、すごく可愛いんです。マヒルの服装やヘアスタイルはもちろんのこと、MV全体の構成が「いつだって愛される私になる!16日メモリアル」という、雑誌の特集のようになっています。(「可愛い!」だけで終われない「MILGRAM」の残酷さ……。)

やはり、MVでも「愛される」というのがキーワードになっています。
マヒルにとって「愛される」ことはどんなものよりも大切な、生命線のようなものなのだと思います。

個人的にいちばん引っかかったのは、「Day.13」の記述です。マヒルが親戚の結婚式に行ったときのものになります。

親戚の結婚式に参加。
やっぱり花嫁さんってキレイで憧れる!
昔から、自分の決めた人と結婚するのが夢。
もう夢じゃないのかもしれない。

太字にした「昔から、自分の決めた人と結婚するのが夢。」という言葉。

これは、恋愛結婚ができない環境で育ったから、このようなワードが出てくるのではないかと思います。
あえて一括りにした表現を使いますが、「一般的な家庭」で育ったのなら、「自分の決めた人と結婚すること」を「夢」にはしないと思います。

MVに出てくる電話機もレトロなデザインのものなので、格式の高い家か、旧家のような家の生まれなのかもしれません。
「不束者ですがよろしくお願いします」という台詞からも、育ちの良さが伺えます。
キャラクター紹介の記述にもあった、「献身的」で「騙されたりからかわれたりしてもへらへらと笑っている」というのも、そう考えると腑に落ちる気がします。
(個人的なイメージですが、そういったお家は、家と家や、親戚どうしのお付き合いが大変かつ、腹の探り合いが多発していて、常に笑って本音を隠しているような感じがします。偏見かな……)

MVの中でも、マヒルがピンク色の檻の中に入っている描写があります。青い羽根が舞っているので、鳥籠なのではないでしょうか。狭い世界で育ってきたことを暗示しているようにも思います。
そして、「青い羽根」で私が連想したのは、「青い鳥」でした。羽根はあるけれど、その持ち主である鳥はいないので、幸せの象徴である青い鳥は、もしかしたら逃げてしまったのかもしれません。

また、コーディネートやその日の出来事を紹介するMVの中の文章も、途中から文字の列がバラバラになっていきます。最後のほうは、もはや読みにくいほど、ごちゃごちゃとしたレイアウトです。
これは、そのままマヒルの精神状態を表しているのではないでしょうか。

MVの後半になり、時間が経過していくうちにマヒルの心はどんどん不安定になっていく。
これまでの考察から、マヒルが不安定になったときにどのように行動するか推測すると、「愛されていることを確認する」のではないかと思います。

歌詞にあった「別れの儀式」も、何度も起これば、恋人も辟易してしまうはずです。

day.16に「彼の家でご飯を作って待つ」という記述がありますが、これは恋人にとっては予期できないこと。
ひょっとしたら、恋人が浮気相手と帰ってきたところを、マヒルと鉢合わせしてしまったのではないでしょうか。
あるいは、そもそもマヒルのほうが遊び相手だったのか。(ここはちょっと微妙です……遊び相手と一緒に初詣に行くかな、とも思います。しかし、マヒルの精神状態から考えても、この記述が虚実ないまぜになっている可能性も否定できないなと思っています……。)

マヒルのMVには「犯行」のシーンはありませんが、恐らく、恋人か、その浮気相手か、はたまたその両方を殺してしまったのではないかと思います。

先ほど「伏線」としてご紹介した、「マヒルのしたことが赦されなかったら、生きてる意味がない」という言葉。
マヒルにとって「愛されること」は、そのまま「生きている意味」になっていたと思います。
なので、マヒルの、自身の罪への気持ちとしては「仕方がなかったこと」なのだと思います。
もしかしたら、恋人の「お前のことなんか愛していなかった」という言葉が聞きたくなくて衝動的に殺した、などの理由があるのかもしれません。

いずれにしろ、マヒルは愛情に飢えていたように思います。

まとめ

恋愛絡みの考察は、なんだか苦手意識があるのですが……とりあえずひと通り切り抜けました。

個人的に、真剣に考察をする前に審判を見たとき、マヒルが「赦さない」になっているのが少し意外でした。
ジャッカロープも「最初は赦すつもりだったのに」と言い添えていたのもあり、考察前は少し身構えていたのですが……。

なんだか、今は「赦さない」とした方の気持ちが分かる気がします。
マヒルの曲とMVは、聴けば聴くほど、見れば見るほど、不可解な点が多い印象です。
そして、それがそのまま「本当はこうなんじゃない?」という疑心につながってしまう気がしました。

恋愛絡みだと、ちょっと同情しにくいというのもあるのですが……今後、マヒルがどんな人生をおくってきたのかが分かるMVが出てくるのかな、と推測しています。

もし、常に笑っているマヒルの仮面を剥ぎ、彼女の本当の姿を見るための「赦さない」だったとしたら、「MILGRAM」の視聴者の皆さん、優秀すぎません……? 

次回はNo.7のカズイです。これまた難しい考察になりそうですが、頑張ります!

今回お借りした見出し画像は、マリーゴールドの写真です。花言葉は「嫉妬」や「悲嘆」。可愛らしい姿の裏の陰りがマヒルに重なり、選ばせていただきました。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。