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上白石萌音さん「あの歌-1-」を聴いて。

こんにちは。桜小路いをりです。

先日、上白石萌音さんのカバーアルバム「あの歌-1-」を聴きました。
今回は、その感想を気ままに綴っていきたいと思います。

アルバムについて

収録楽曲のラインナップは以下の通りです。

・年下の男の子
・キャンディー
・君は薔薇より美しい
・夢先案内人
・木綿のハンカチーフ
・グッド・バイ・マイ・ラブ
・ガンダーラ
・勝手にしやがれ
・みずいろの雨
・オリビアを聴きながら
・さらば恋人よ

余談ですが、私は、萌音さんの演技をドラマ「未満警察」で初めて見ました。
もともと、本の帯や文庫本の解説を書かれているのを何度か見ていて、特に瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』の解説が、とても素敵で。
実はずっと、気になる女優さんでした。

その後、朝ドラ「カムカムエブリバディ」でヒロインの安子ちゃん役の演技を(稔さんことSixTONESの松村北斗さん繋がりで)見させていただき、今では萌音さんがテレビに出ていると必ず見てしまうくらい、好きな女優さんです。

去年の紅白歌合戦にも出演されていて、ずっと、昭和ポップスのカバーアルバム「あの歌-1-」を聴いてみたい、と思っていたのですが、ようやく聴くことができました。

寝る前に聴くと本当に癒されるので、不眠症の方にもそうでない方にも、ぜひ聴いていただきたい作品です。
個人的には、スピーカーなどで空間に流すよりも、イヤホンで音量大きめにして聴くのが好きです。

まずこのアルバムで際立っていたのは、萌音さんの歌声でした。

伸びやかで、少し切ない響きがあって、その柔らかさが聴いていてとても心地よいです。天から降ってくるようなお声だなと思いました。
また、声の残り方、といいますか、声の響き方が、すごくまろやかだなという印象も受けました。

萌音さんの声は、「透明感」ではなく、「透け感」という言葉のほうがぴったりかもしれません。喩えるのが難しいのですが、あえてひとつ挙げるなら、チュール生地みたいな。ふわっと優美に広がるような、柔らかさのある歌声です。

また、歌詞のストーリーを大切に伝えるような歌い方が、とても素敵でした。息遣い、言葉の発音の仕方のひとつひとつ、楽器の音色まで、じっくりと味わいたいアルバムだと思います。

収録楽曲について

私のいちばんのお気に入りは、「夢先案内人」です。
山口百恵さんの楽曲で、中森明菜さんが「スター誕生!」のオーディションで歌った曲でもあります。

百恵さんのオリジナルだと、大人の女性の心の中に残っている、少女らしい夢見がちな部分が表に出ている印象でした。しっとりとしていて、余裕のある大人っぽい歌声だからこそ、「夢の中」の幻想的な歌詞が引き立ち、「夢から醒めてすぐ」の雰囲気があるように思います。

一方で、萌音さんのカバーは、少女と大人の女性の間、という感じだと思いました。ふわふわとした空想好きな女の子が、そのまま大人になりつつある、という印象です。ちょっとはにかむような雰囲気もあったり、「夢うつつの微睡みの中」のイメージがあります。

また、曲の感じ方が大きく変わったのは、「勝手にしやがれ」と「みずいろの雨」でした。

「勝手にしやがれ」は、沢田研二さんのレコード大賞受賞楽曲です。
山口百恵さんの「プレイバックPart2」は、この曲のアンサーソングだと言われているとか。(ちなみに余談ですが、SixTONESの田中樹さんの「樹」というお名前は、沢田研二さんのニックネームである「ジュリー」から取られたそうです)

このアルバムでのアレンジと萌音さんの歌声で聴くと、この曲の主人公は、女性になっているように思いました。
普段は大人しい女性が、押し殺していた苛立ちや虚しさを歌にぶつけているような、ちょっと羽目を外したような印象です。

もう1曲、「みずいろの雨」は、八神純子さんのヒット曲。何度かテレビやYouTubeでも見たことがあるのですが、ピアノで弾き語りをしながら、曲の間奏などで首から下げたサンバホイッスルを吹く、というスタイルのパフォーマンスがとても印象的な楽曲です。

萌音さんのアルバムでは、オリジナルの力強さや叫ぶような雰囲気が良い意味で抑えられているアレンジでした。楽曲がもつ切なさはそのままに、どしゃ降りの雨ではなく、ゆるゆるとした長雨の印象です。「雨に打たれる」ではなく、「雨に濡れる」というイメージでしょうか。降り続く雨を見ながら静かに口ずさむような、そんな印象です。

まとめ

私が思うカバー曲の醍醐味は、原曲とカバー曲の相互作用で、自分の中に新たな楽曲の世界観を創り出せるところだと思います。
ぜひ、オリジナルを知ったうえで聴いてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今、上白石萌音さんのエッセイ『いろいろ』も読み進めているので、それについても記事にしたいなと考えています。


今回お借りした見出し画像は、クリーム色のバラの写真です。このアルバムを初めて聴いたとき、なんとなく温かみのある黄色系の色味が浮かんだので、この写真を選ばせていただきました。どことなくセピア色のレトロっぽさもあり、このアルバムの雰囲気に合っているかなと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。