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桜色の本棚

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私が出会った素敵な本のこと、読書のことを綴った記事をまとめました。読者の方と本との橋渡しができたら嬉しいです。
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2023年7月の記事一覧

絶望で咲く「何か」もある。〜『絶望名人カフカの人生論』〜

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、カフカの『変身』と、てにをはさん提供の「25時、ナイトコードで。」の楽曲「ザムザ」の考察記事を出しました。 あれから、カフカ自身の人生についてもとても興味が湧き、早速読んだ本があります。 それが、頭木弘樹さんの『絶望名人カフカの人生論』です。 今回の記事は、この本のご紹介になります。 最初に書いておくと、いつもの私の記事とは、少し趣向が違うかもしれません。 普段は「ネガティブなことは書かない」をモットーにしているのですが、なにぶ

宝石とお客様を繋ぐのは。〜マンガ『宝石商のメイド』シリーズ〜

こんにちは。桜小路いをりです。 最近、やませちかさんの『宝石商のメイド』という漫画のシリーズにハマっています。 宝石の買い集めのためにしょっちゅう店を空ける主人に代わって、宝石店を任されているメイドさんのお話。 そのお店には、石に目がない店主が集めた、数々の珍しい宝石が並んでいます。 磨かれた「宝石」だけでなく、まだ宝石になる前の鉱物も取り揃えられており、非常に珍しい宝石店です。 メイドさんは、店にやって来るお客様の話を聴き、その人の要望や悩みに合わせて、ぴったりの石

林檎が突き刺さる前に。/カフカの『変身』と、ニーゴの「ザムザ」

こんにちは。桜小路いをりです。 リズムゲーム「プロセカ」のゲーム内ユニットに、「25時、ナイトコードで。」というユニットがあります。 その書き下ろし曲である「ザムザ」。 ボカロPのてにをはさんが提供したこの曲が、私はとても好きです。 「ザムザ」の歌詞を拾ってみると、モチーフになっているのは、フランツ・カフカの『変身』でした。 相変わらず苦手意識のある海外の小説。 しかし、ここでこのご縁を逃すわけにはいかない! と思い、早速手に取りました。 今回の記事は、プロセカの

「きらめくヒント」をくれる1冊〜田辺聖子さん『歳月がくれるもの』〜

こんにちは。桜小路いをりです。 最近、大切な御守りになる1冊と出会いました。 それが、田辺聖子さんの『歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん』です。 このエッセイは、月刊誌『MISS』で連載されていたもの。 私よりも少し年上のお姉さん世代の方に向けたものなのですが、だからこそ、「素敵な大人になるヒント」が散りばめられて、今、出会えてよかった本でした。 「聞き書き」の形式で、本当に実際にお話しを聴いているような気持ちになれる距離感、親しみやすさも魅力のひとつ。 200