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桜色の本棚

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私が出会った素敵な本のこと、読書のことを綴った記事をまとめました。読者の方と本との橋渡しができたら嬉しいです。
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記事一覧

『雨を綴る しぐれうい作品集』〜イラストと音楽と雨の匂いと〜

こんにちは。桜小路いをりです。 久しぶりに画集を買いました。 VTuberとしても活躍している、イラストレーターのしぐれういさんの最新画集『雨を綴る』です。 しぐれういさんが手掛けた幅広い絵をぎゅぎゅっと詰め込んだ画集で、章ごとに、絵と一緒に楽しめるインストロメンタル曲も付されています。(各曲に素敵なタイトルがついていて、それもまた魅力。画集を捲っているときだけでなく、普通に作業用BGMとしても使っているくらい好きです。) ういさんが描くキラキラした作品の数々を、音楽

『Shrink〜精神科医ヨワイ〜』が教えてくれる、「心の深呼吸」の方法。

こんにちは。桜小路いをりです。 最近、マンガ『Shrink〜精神科医ヨワイ〜』を読んでいます。 中村倫也さん主演でドラマ化されている作品で、ドラマを母に勧められたことで原作に辿り着きました。 この記事では、現在着々とマンガを読み進め中の私の所感を、ゆるゆると綴っていきます。 ぜひ最後までお付き合いください。 『Shrink〜精神科医ヨワイ〜』とは このマンガの最大の特徴は、各話のタイトルに、既に取り上げられる病気の名前が付いていること。 例えば、1巻の目次には「

「好き」は神様からの贈り物~AssHさん『ギターを始めた君に必要なこと』~

こんにちは。桜小路いをりです。 先日AssHさんの『ギターを始めた君に必要なこと』という本を読み終えました。 AssHさんといえば、AIさんやYOASOBIと共にライブツアーを回ったり、ご自身でもライブをされているプロ・ギタリストであり新世代のギターヒーロー。 私はYOASOBIのライブで2回(武道館とさいたまスーパーアリーナ)でAssHさんのギターを生で聴いています。 そのときの感動がまだ強く心に残っていて、「AssHさんがどんな思いとスタンスでギターを弾いていらっ

ときには、心に銀の針を忍ばせて。

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、『言葉は、「私」をつくる。』という記事を投稿しました。 この記事で散々、言葉を使うことの重さと言葉への美意識について書いたのに、途端に「心に針を忍ばせる」なんてタイトルの記事を出すことにしたのには、理由があります。 『言葉は、「私」をつくる。』の記事の文章だけ読むと、「前向きで綺麗な言葉を使うことが何より大切」というニュアンスが少し強すぎたのではないかな、と思ったんです。 生きていれば、ときにはすごく腹が立ったり、誰か、何かにひと

あの日の決断、もしやり直せたら。~『ミッドナイト・ライブラリー』~

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、『ミッドナイト・ライブラリー』という小説を読み終えました。 やや重いテーマを扱っている物語ですが、清々しい読後感が印象的な1冊でした。 著者は、イギリスの小説家のマット・ヘイグさん、訳は浅倉卓弥さんです。 この物語の主人公は、ノーラという名の女性。 彼女は、仕事を失い、飼い猫を亡くし、話を聴いてくれる人も周りにおらず、人生に絶望しきって命を絶とうとしてしまいます。 目覚めたとき、ノーラの目の前にあったのは、無限に書棚が広がる不

宮部みゆきさん『ソロモンの偽証』/誰かの真実、ひとつの事実。

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、宮部みゆきさんの『ソロモンの偽証』を読破しました。 『ソロモンの偽証』は、たびたび映画化・ドラマ化もされている、本好きなら絶対タイトルは知っているくらい大人気の作品。 私自身、小学生の頃に文庫本発売のポスターが書店に大きく掲げられているのを見てから、「いつか読んでみたい」とずっと思っていた憧れのシリーズでした。 一步引いちゃうくらい分厚い単行本で3冊、文庫本だと6冊の超長編ですが、あえて言わせてください。 もしパラレルワールドが

人工知能の限界は~東野圭吾さん『魔女と過ごした七日間』~

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、東野圭吾さんの『魔女と過ごした七日間』を読み終えました。 元見当たり捜査員の父親を殺された中学3年生の陸真が、「魔女」を自称する不思議な女性と出会うことから、物語は始まります。 父親が隠していた秘密に驚く陸真ですが、彼女と協力して犯人を追うことに。 「魔女」こと羽原円華は、自身がもつ特異な能力と大胆な行動力を活かして、どんどん真相に近づいていきます。 「人工知能」と「DNA鑑定」について深く考えさせられる一冊です。 個人的に久

今年出会えてよかった本 5冊〜2023年〜

こんにちは。桜小路いをりです。 今日の記事は、今年出会えてよかった本たちについて。 小説や新書など、合計5冊、ぜひ最後までお付き合いください。 住野よる『腹を割ったら血が出るだけさ』 今年のはじめにご紹介した、住野よるさんの小説。 ドキッとするタイトルで避けてしまうのはもったいない……! このタイトルに嫌悪感を懐いた方にこそ、手に取っていただきたいと思う作品です。 私の愛読書のひとつである『また、同じ夢を見ていた』と地続きの世界観になっていて、痛いほど切実なストーリ

磨いていく、少しずつ。~『感性のある人が習慣にしていること』~

こんにちは。桜小路いをりです。 感性がある人って素敵だな、と思うことがよくあります。 季節の移り変わりや人の感情、身の周りの物事に敏感で、その時々で自分らしさを貫いて行動できる人。 私もそんなふうになりたい……! という想いから、とある本を手に取りました。 それが、『感性のある人が習慣にしていること』です。 この本では、「感性を養う5つの習慣」として、「観察する習慣」「整える習慣」「視点を変える習慣」「好奇心を持つ習慣」「決める習慣」の5つが紹介されています。 著

胸キュン必至の「異種間恋愛マンガ」おすすめ3選

こんにちは。桜小路いをりです。 今日の記事は、私が悶え苦しむほど胸キュンした「異種間恋愛マンガ」のご紹介です。 ざっくり言うと、「人間と人ならざる存在の恋物語って、キュンキュンしますよね……」という記事になっています。 どの作品も、読んでいるとキュンキュン、ニヤニヤが止まらないので、おうちで読むことをおすすめします。 ぜひ最後までお付き合いください。 *雪女の末裔と人間* 「氷属性男子とクールな同僚女子」 以前、こちらの記事でアニメをご紹介した「氷属性男子とクール

光と影で描くもの~朝井まかてさん『眩』と「吉原格子先之図」~

こんにちは。桜小路いをりです。 私は、絵を見ることがとても好きです。 まだまだ知識は浅いので、これから美術史なども、もっと勉強してみたいなと思っています。 私が美術に興味をもつようになったきっかけ。 それは、この作品でした。 葛飾北斎の娘・葛飾応為の作品である「吉原格子先之図」。 こちらは、版画ではなく肉筆画で、光と陰を使って巧みに吉原の見世先を描いています。西洋画のような陰影を際立たせた表現が、私はとても好きです。 先日、この作品が原宿の太田記念美術館で久しぶりに

つながりゆく心の温かさ〜瀬尾まいこ『掬えば手には』〜

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、瀬尾まいこさんの『掬えば手には』を読み終えました。 この物語の主人公の梨木くんは、勉強も運動も真ん中の順位で、「普通であること」がコンプレックスな大学1年生。 しかし、彼は中学・高校でのとある出来事から、「自分は人の心が読める能力をもっているのではないか」と感じています。 でも、その能力は、取り立てて「超能力」というほどはっきりとしたものではなく、「偶然」とか「ちょっと鋭いだけ」と言われたらそれまでのもの。 でも、そんな力を時た

「勇気」を縫い合わせて、「ときめき」で飾って。~『なんでも魔女商会』シリーズ~

こんにちは。桜小路いをりです。 私は、小さい頃から「かわいいもの」が大好きです。 ふわふわのレース、ひらりと踊るリボン、キラキラしたビーズに、ふんわり広がるスカート。 今も昔もお洋服屋さんをのぞくのが好きだし、小学生の頃は「ファッションデザイナーになりたい」と言っているときもありました。 そんな私の原点になっている絵本があります。 あんびるやすこさんの『なんでも魔女商会』シリーズです。 昨年2023年に20周年を迎えた、ロングセラーシリーズ。 小学生の頃、図書館で

太宰治『女生徒』にもらった、想いの数々。

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、プロフィールの記事に「愛読書」の項目をプラスしました。 (実は、少しずつアップデートされているプロフィール記事。時折のぞいていただけると嬉しいです。) 私が愛読書として必ず挙げる本のうちのひとつが、太宰治の『女生徒』です。 高校1年生のときに出会ってから、ずっと大好き。 今年の夏の角川文庫の「カドフェス」でピックアップされていて、ちゃっかり限定カバーもお迎えしました。 『女生徒』が表題になっていますが、太宰が得意とした女性の告