その不安を「意味」にして。~朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』〜
この白さを、どこかで見たことがある。
読了後、すぐにそう感じた。
きれいにベッドメイキングされた後の、病室のシーツ。
冬の朝、窓を開けると積もっていた雪。
なんの跡もない、まっさらなキャンバス。
そのどれでもない、なんだっけ。この白さは。
しばらくして、ぴんと閃いた。
そうだ、陽明門だ。日光東照宮の、陽明門。
それも、修復が終わってすぐ、たった一度だけ観光に行ったときに見た、あの白さ。
純白という言葉ではとても足りないような、圧迫感と神聖さ、吸い込まれそうな、あの