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ふたりの “好き” をかけ合わせて。Veganカレーと音楽とアートのお店。―――「10PLATE」SAYAさん


今回ご紹介するVeganカレーのお店「10PLATE」さんは、武蔵新城駅と武蔵中原駅との中間あたりにあります。夜は「メロウな夜」という店名でバーとして営業しているお店を日中、間借りして営業されています。

オーナーのSAYAさんと、音楽プロデューサー・マスタリングエンジニアをやられている旦那さんのMossさんにお話をお伺いしました。

新城はコミュニケーションが温かい。

まず、おふたりが武蔵新城でお店をオープンした経緯をお伺いしました。

SAYAさん「2年半前に結婚してから、料理がすごく好きになったんです。仕事から帰ってきたあとも、ずーっとつくり続けられるくらい。それと、当時やっていた事務の仕事が合わず、体調を崩してしまって。旦那さんが自営業ということもあり、料理を仕事にしてみたらと背中を押してもらって、お店をやることにしました。」

そして、ふたりが好きな食と音楽とアートをかけ合わせた空間をつくりたいと、麻布十番のお店を借りることに。

「食とアートと音楽というのは、例えば、画家さんのような表現する人たちに個展を開いてもらったり、旦那さんがつくった音楽をかけたり、その中でお酒や食事を楽しんだり、という感じで考えてました。」

ですが、開店して4ヶ月でコロナの影響によりクローズ。その後、夜はバーとして営業している「メロウな夜」のお昼の時間帯だけ間借りして、「10PLATE」をオープンしました。

「特にこのエリアとつながりがあった訳ではなく、音楽スタジオ付きの物件を探していたときにちょうどいい物件を見つけて、引っ越してきました。それで、メロウさんに通っているうちに、オーナーご夫婦と仲良くなったんです。」

「メロウさんは麻布十番の頃から飲みに行っていた大好きな場所だったので、お店をできているのはとてもうれしくて。今はテイクアウトのみですが、今後イートインでお酒を出して、もともとやろうとしていた、食とアートと音楽の空間を実現したいなと思っています。」

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新城で飲み歩いているうちに知り合いも増えていき、新城のお店を借りて企画も考えられているとのこと。

「私と旦那さんで音楽のイベントによく行くんですが、そこでは音楽に限らず、人とのコミュニケーションも大切にしています。新城は話すのが好きな人が多いので、コミュニケーションを大切にしたい私たちにとって居心地がよいですね。」

どんな方でも楽しめる食事を提供したい。

Veganは、今は少しずつ対応しているお店が増えつつありますが、日本ではまだまだ外国ほど浸透していないと感じます。その中で、Veganのお店にしたのはなぜなのでしょうか。

SAYAさん「私にとって食事は大切な時間です。ですが、Veganの方、そして一緒に食事をされる方は、Veganに対応しているお店が少ないことで、その大切な食の時間が選択の自由が限られてしまう。なので、食のバリアフリー化をはかるレストランとして、どんな方でも楽しめる食事を提供したいと思っています。

Veganとひとくちにいっても、どこまで徹底するかはお店や人によって異なります。動物を苦しめることが好きでない方は、動物性のものが入っていなくても、製造過程で動物性を少しでも使ってしまうと食べられないんだそう。例えば、肉を焼いたフライパン、肉を揚げた後の油は使わない、ワインもヴィーガンにこだわることも。

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「野菜はお肉やお魚などの動物性のものに比べて、旨味やコクが淡白になりがちで、それを克服しておいしさを引き立てるか、というのが難しいんです。年に200種類くらいつくり、旦那に食べてもらって、感想をもらって、つくって・・・の繰り返しですね。動物性、植物性とそれぞれおいしさの魅力はありますが、動物性が好きな方が驚くような、おいしいVeganメニューをつくりたいなと。

大学卒業後は、タイ、フィリピンなどアジアを中心とした海外にひとりでよく旅行をしたり、弟さんもアメリカの大学に通ったりと、海外志向が強いご家族の中で育ったというSAYAさん。10PLATEでは、主に南インドカレーをベースにしたメニューを提供しており、今後はスリランカ料理と “フュージョン” 系料理にも挑戦したいそう。

「スリランカ料理って、カレーや何種類もある副菜をひとつひとつ食べたあとに、最後は混ぜて食べるんです。計算して作られているのか、混ぜて食べてもおいしくて、それがすごいなと。私自身がラーメンみたいにひとつのもので食べるよりも、何種類もつまみたいタイプなので、スリランカ料理に興味を持ちました。」

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▲色合いをヴィヴィットカラーで明るくするようにこだわっているとのこと。

「私の中で一番印象に残っているフュージョン系の料理は、高級なレストランで虫を綺麗に食べたこと(笑)そんな、みんなの食べる概念が変わる、驚く、感動するようなメニューをつくりたいと思ってます。

※フュージョン:1970年代半ばに発生した、ジャズを基調にロックやラテン音楽、電子音楽、時にはクラシック音楽などを融合(フューズ)させた音楽のジャンル

シンプルに面白いことが好き。

おふたりは音楽のイベントで知り合い、2年半前に結婚。出会ってから付き合うまでは半年(!)だったそう。おふたりの共通点である、音楽についてお伺いしました。

SAYAさん「10代のときに、音楽にハマり始めました。EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)で有名なトゥモローランドが好きで、海外のフェスに行ったりしてて。そんなに好きだったらやってみなよって言われてDJを始めて、今も時々やっています。」

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Mossさん「親の影響からか、音楽はずっと好きですね。27歳からこの仕事をしていて、他にも音楽イベントをやったり、音楽レーベル、レコード作ったりしています。僕が18歳のときくらいに野外フェスティバル、例えばフジロックフェスティバルができていたので、ちょうど海外の音楽が積極的に日本に受け入れ始められた時期だったんですよね。」

Mossさんは特にベルリンの音楽に影響を受けており、おふたりが付き合い始めてすぐにベルリンへ旅行に行きました。

「ベルリンってずっとずーっと、テクノパーティーをやってるんですよ。ドイツでテクノは日本のJポップみたいな、一般的な音楽なんです。クラブがたくさんあって、国営のクラブもあるくらい。人気のライブは2000人くらい並んでて、並んでも入れないこともよくあります。日本で初詣のときにみんなが並ぶのが、毎週ベルリンのクラブに起こっているような感じですね(笑)」

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SAYAさんと出会う前、Mossさんは北海道に2年くらい移住したり、長野の奥にに山籠もりしてたこともあるそう。

Mossさん「基本的に面白いことがしたいだけで、今でもやりたいことは色々あります。遊びながら、自分のタイミングで仕事したいんですよね。そうすると思いつくことがけっこうあって。新しいこというより、色んなところでつまんで、それをひとつにしたらちょっと新しく見えるっていうか、そんなことを考えてますね。

「今は、例えば山奥に行って、インターネットを使って新しいものをつくって、あとはひっそり暮らすみたいなことができればいいなと思ってたりしてます。」

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今おふたりが住まわれている物件は、そんなMossさんが8年前に見つけて、気になっていた物件。今回引っ越すタイミングで空いていたので、内見しないで決めたというエピソードもお伺いしました。

Mossさん「家賃が5万以下で築60年のアパートなんですけど、近くのふすま屋さんの80歳くらいのご夫婦がつくった、すっごいおもしろい物件なんですよ。天井が丸くて広くて、山小屋みたいな家で、不思議なところにスイッチやスペースがあったり。ぜひ、今度取材に来てください(笑)」

SAYAさん「お店も今の家も、彼がプロデュースをしたり見つけたりしてくれて、私はそれに乗っかっています。彼がとても素敵なものを持ってきてくれるので行くっていうかご縁があって、用意されているって感じなんですよね。麻布十番も今のお店も家も、私にとってすごく大好きな場です。」

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編集後記

この記事ではご紹介しきれなかったのですが、Mossさんのお仕事や趣味の話、今の家の話で盛り上がりました。ばん菜さん、新屋さん、たまに成田生花店では店員さんのようにいらっしゃるそうなので、ぜひ見かけたらお話してみてください!

私もテイクアウトをしていただいたのですが、なかなか他では食べられない味で、動物性のものを使っていないとは思えないおいしさでした。スパイスも効いており、ビールと一緒にいただくとより一層おいしく食べられるかもしれません(笑)テイクアウトできますので、お気軽に🍛

Open:Thursday-Sunday 11:30-15:00,16:30-18:30
※日によっては時間帯が変更となる場合が御座いますので、予めご了承下さい。
Place:メロウな夜
〒213-0022 川崎市高津区千年610-1
中原街道沿いバス停"岩川駅"の目の前
Contact: 050-5480-2828
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文:とやまゆか/写真:木戸真理子

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