見出し画像

令和4年度、協会けんぽ「傷病手当金」受給結果をみてみよう

今日は協会けんぽ(全国健康保険協会)の「現金給付受給者状況調査(令和4年度)」が公表されていて、この結果が令和3年度かなり変わっていたので、そのお話です。
 

皆さんは、協会けんぽ(全国健康保険協会)の「現金給付受給者状況調査」をご覧になられたことがありますでしょうか。

ここに、「(協会けんぽ登録者の)傷病手当金の受給状況」が掲載されているのですね。ここには、傷病手当金受給者の性、年齢、標準報酬月額、傷病名、支給日数、支給金額、支給回数、支給期間などがあります。
 
で、こうした公表データって、毎年行われ公表されているものですが、あまり年度で変化ないのですが、これが令和3年度と令和4年度で、「劇的」な変化があったので、ここで掲載しました。そうですね、「新型コロナウイルス感染症」です。
 

この協会けんぽ(全国健康保険協会)の「現金給付受給者状況調査」をみると、傷病手当金受給において目につくのは、やはり「精神及び行動の障害」です。以下は、令和3年度の傷病手当金受給者の、「年齢階級別にみる傷病別件数割合」です。




ここの「特殊目的用コード」ですが、ここに「新型コロナウイルス感染症」が含まれるわけですが、令和3年度結果ということは、令和2年度の受給者ですから、さほどの件数ではなかったですが、これが、令和4年度報告(令和3年度受給者件数を示す)は大きく変化して、以下と。
 



令和4年度の傷病手当金の受給を傷病別に、件数の構成割合をみると、特殊目的用コードが48.62%で最も高く、次いで精神及び行動の障害(18.11%)、感染症及び寄生虫症(7.10%)、新生物(6.89%)、筋骨格系及び結合組織の疾患(4.37%)、循環器系の疾患(3.66%)となっています。男女別にみると、男女ともに特殊目的用コードが高く、男性では45.87%、女性では51.25%となっていると。
 
ここで注意したいのは、これはあくまで「件数割合」ですから、そりゃあの流行を考えると「コロナでの傷病手当金受給は(件数としては)多いでしょ」というのは想像できるところですが、問題は、その中身で、「どれくらい金額がかかったのか」「どのくらいの期間、傷病手当金受給したのか」という部分でしょう。
 
実は傷病手当金というのは、支給期間別に件数の割合をみてみると、30日以下というのが64.07%と最も高くなっていて、31~60日が6.50%、61~90日が4.72%となっており、期間が長くなるほどに件数は少なくなります。平均データで、支給期間を傷病別にみると、
 
・精神及び行動の障害(214.55日)
・神経系の疾患(201.30日)
・循環器系の疾患(198.50日)
・特殊目的用コード(8.38日)
・感染症及び寄生虫症(11.60日)
・妊娠、分娩及び産じょく(56.67日)
 
こんな感じ。この支給期間は、一部の長期受給の方は非常に長くなるので、平均でみると長くなる(平均では83日とか)」になるのですが、60%は30日以下というのは押さえておいてもいいかもしれません。なので、特殊目的用コード(コロナ)は、件数こそ多かったですが、支給期間は短いですし、金額としても、平均37,475円くらいです。他方、悪性新生物:203,864円、精神及び行動の障害:203,441円、循環器系の疾患:211,279円です。
 
つまり、何が言いたいかというと、コロナはそれは件数では多かったわけですが、金額にしても、期間にしても、さほどのものではなかったわけで、これは公的医療制度の範疇。リスクマネジメントの「保有、移転、低減、回避」からしても、プレミアムを支払ってリスク移転をする(=民間保険に加入する)は、どの分野ですか?というのは、わかりやすい理解だよねと。
  
以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?