万が一、死亡したときのiDeCoの取り扱いはどうなるか
今日は、「死亡したときのiDeCoの取り扱いはどうなるか」についてお話してみたいと思います。この手の記事はネットにもありますが、アドバイスするFPとして知っておきたい情報としてまとめておきます。
iDeCoの加入者が死亡した場合ですが、簡単にいうと遺族に「死亡一時金」が支払われます。年金ではなく一時金として支払われるというのがまずはポイントです。死亡時に年金形式としての受け取り方法はありません。注意点としては、自動的に支払われるのではなく、遺族が裁定請求をすることで行うことができます。
では、死亡一時金を受け取ることができる遺族とはどうなっているのでしょうか。これは以下のようになります。
1受取人として指定されている者
2配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にあった者〈内縁関係〉を含む)
3子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹のうち、死亡した者の収入により生計を維持されていた者
4それ以外の者で、死亡した者の収入により生計を維持されていた者
5生計を維持されていた人がいない場合には、(1)子、(2)父母、(3)孫、(4)祖父母および兄弟姉妹の順番になる
というようになっていて、ポイントは、1受取人として指定されている者という点です。iDeCoというのは、当然のように相続順位により相続財産として支払われるように思うのですが、実はこれが違って、生前に受取人を指定することができるという、生命保険に近しい部分があるのです(ここまではネットに出ている)。
では、この受取人というのを指定しているかどうかはどこで確認できるかご存じでしょうか。
これはレーコードキーピング会社(いくつかあるが、日本ではNRKとJIS&Tがほとんどです)にログインすると確認することができます。
例えば(私がJIS&Tなので)JIS&Tの場合、個人登録情報照会というページがあるので、そこにいくと、自身の様々な情報(運営管理機関とか、住所とか、加入者資格取得年月日など)があり、その中に「死亡一時金受取人指名」という部分があります。
上記のようなものですが、ここで指定されているかどうかが確認できるのですね、上記は空白になっているので、私は指定していないという意味です。もし受取人を上記順位ではなく、特定の遺族に指定したい場合は登録内容の変更手続きを行う必要があります。
この死亡一時金ですが、例えばJIS&TのHPには以下のように記載があります。
ご本人がお亡くなりになってから5年間裁定請求が行われない場合、死亡一時金を受け取るご遺族の方がいないものとみなされ、亡くなった方の相続財産とみなされます。(確定拠出年金の死亡一時金としてのお受け取りはできなくなります。)
ここが最大のアドバイスポイントだと思いますが、5年以内に遺族から裁定請求がないと、法務局に供託されることになります(つまり国庫に入るということ)。
税法上の取り扱いはどうなるのでしょうか。これはJIS&Tのページにも「期間により適用される税法が異なる」という記載がありますが、
・死亡後3年以内に死亡一時金の支給が確定した場合は、相続税の課税対象
⇒その場合、相続税法上のみなし相続財産となり、「500万円×法定相続人の数」の金額まで非課税となる
・死亡後3年が経過し、かつ5年以内に死亡一時金を受け取る場合は、「一時所得」となる
・死亡後5年を過ぎると、確定拠出年金の死亡一時金として受け取ることができなくなる(上記のとおり)
のようです。ポイントは、「みなし相続財産となり、500万円×法定相続人の数の金額まで非課税となる」という点ですね。これは生命保険非課税枠とは別の制度ですから、両方使うことが可能です。
最後に、「死亡一時金」はいつの価格?という点ですが、JIS&Tによると、裁定請求を行い、必要書類(印鑑証明とか除籍済みの戸籍謄本、印鑑証明やマイナンバーカード写し等)をそろえて提出。支給となった場合に給付金に充当する商品の売却手続きが行われて、規約等で定められたスケジュールに従い、資産管理機関等から指定の口座に死亡一時金が振り込まれる。という記載があります。なので、おそらく加入者が死亡した日の時価ではないようです。
※最後の、「加入者が死亡した日の時価ではない」という点だけ未確認情報です。ネット記載の情報を鵜呑みにしたくないので、未確認とさせてください。
上記によるとですが、5年以内に裁定請求しないと国庫に入るわけですし、これはまさに、以前執筆した「デジタル遺品」と同じ問題がありますよね。あらゆるデジタル資産などのパスワードにしても、結局、エンディングノートに記載とかしか解決方法がないのかな。。
以上です。