第62話 「蓼科移住」

(松本市民タイムス リレーコラム 2020年11月10日掲載分)

予定通り計画が進んでいれば、皆さんがこのコラムを読んでいる11月10日には僕は茅野市民として蓼科中央高原で暮らし始めているはずです。
11月最初の週に工房と住居の同時引っ越しという一大イベントを済ませ、ぐったりしながらもホッと胸をなでおろしている頃だと思います。

1年前に「セミリタイア」という題のコラムを書きました。自分なりのセミリタイアとして「いつかはもう少しゆったりと自分の”モノづくり”ができるようになるのだろうか」という話でした。

実はその頃から僕は少し長い目で見た「終活」を考え始めていて、それに伴って「自分の最後の居場所」がどこになるのだろうと気になっていたのです。たまたま休日のドライブで通った蓼科の道路脇に売地の看板を見つけて気に入り、すぐに問い合わせるもすでに先客あり!というところから僕たち夫婦の移住ストーリーが動き始めました。

結局幸運な事に見初めた土地が手に入り、上下水道無し最寄りのコンビニは5キロ先という若干不便な場所ながら、良い不動産屋さん、建築家さん、家具製作家さんとのドラマチックで素敵な出会いにも恵まれて惚れ惚れするような家と工房が出来上がりました。
新しいステージで自分がどんな製作活動ができるのか、自分自身でもワクワクしています。
といってもバリバリ働くぞー!というよりは、少しだけギヤを落としつつじっくり良い仕事が出来ればいいな思っています。

蓼科での生活が楽しみな反面、ちょっと切ないのが慣れ親しんだ松本での生活が終わってしまうこと。

僕は物心ついてから今までずっと松本平で暮らし、朝に晩に春夏秋冬にいつも北アルプスを眺めて生きてきました。季節ごとの山の雄大さに勇気づけられ励まされ、どれだけ力を貰ったことでしょう。上高地や美ヶ原などの魅力あふれる自然や温泉宿に1時間余りで行けるのも松本の大きな魅力です。

そしてまたここ10年は松本駅近くに住み、街なかのあちこちのお店さんにも仲良くしていただきました。松本駅を中心としたエリアには様々な味や楽しみがギュッとコンパクトにまとまり、都会から来る客人にもおすすめしたい店がたくさんある素晴らしい街です。
きっと移住後もなにかと理由をつけて松本に遊びに来ることと思います。

このコラムは市民タイムスさんのご厚意で任期の来年6月まで続けさせていただくこととなりました。しばらくは新しい工房や八ヶ岳の話題などをお届けさせてください。

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