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難聴録

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突発性難聴と告げられてからの日々を綴っております!是非!と言われても重そうで楽しくなさそうですが、別に悲観もせず誰かに怒ることもなく淡々と出来事を見つめて笑い飛ばしていますので気…
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2023年2月の記事一覧

そして人の気配が消えた 難聴録13

そして人の気配が消えた 難聴録13

空間を認識するのにいかに耳が大事なのか。

アメコミ好きの私は「デアデビル」に思いを馳せてしまいます。

最近はついにMCUにも参戦して、これからの展開がますます楽しみなデアデビル。

超人的な聴覚のおかげで、人の位置どころか輪郭まで把握するのはさすがに漫画ですが、それでも聴力を失った今だからこそ、耳のセンサーがいかに大事かよくわかります。

夫婦で買い物に出かけたときに、気がつけば妻の姿がない。

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音のする方向を探して 難聴録12

音のする方向を探して 難聴録12

どこから音がするのかわからない。

これが難聴になって一番苦労したことです。
特に会議とか人がいっぱいいるオフィスとか、職場で大変な思いをしたものでした。

屋外で犬と歩いていても地味につらいことが多くて、特に騒音が大きい場所を訪れると、全方位から音に囲まれている感覚に。

「背後にいるのは誰だ!?」

とキョロキョロ見渡しても、ポツンと自分が一人。

そして、
「何じゃそりゃ?」

といったふう

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生活音から感じる安心 難聴録11

生活音から感じる安心 難聴録11

難聴になると、人の表情や仕草、そして聞こえてくる数少ない情報に対して敏感になります。

今まで以上に感覚が冴えわたっているのです、たぶん。

表情が物語っているもの、仕草が示す意味など、観察する力が増してきたと言えばポジティブです。

その一方で時折訪れる静寂に恐怖を覚えるようになりました。

テレビなどの演出、聴いている曲の途中に訪れる無音のブレイク(これ結構多いです)など、ハッとして挙動不審に

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些細なことから日常は壊れていく 難聴録10

些細なことから日常は壊れていく 難聴録10

突発性難聴になってからプレドニンというステロイド薬を使って治療を始めました。

体にあらわれる不調の多さに驚くばかりなのですが、薬の注意書きを読むともしや副作用全部出てるのでは!?と恐怖を覚えております。

・顔のむくみ
・倦怠感
・かゆみ
・不眠etc

とりわけ苦しんだのが頻尿でした。

水分が頻繁に体外に出て肌も乾燥するから、それを補おうと大量に飲んでしまい、結局それも全て排出…
という無限

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この時間だけがアイデアと未来への希望がわいてくる 難聴録9

この時間だけがアイデアと未来への希望がわいてくる 難聴録9

入浴中だけは、難聴であることを忘れられます。

どうやら人それぞれみたいで、耳鳴りがひどくなる方もいらっしゃるようですが、私の場合は換気扇の音や浴室内の反響音が耳鳴りをかき消し、普通の状態を取り戻せます。

ハッピータイム!
というか当たり前の状況。

だからこそ、スマホ片手にアウトプットをします。

アイデアをメモアプリにまとめて、SNSチェックをして、今後のことを考えて転職サイトを見て、こうや

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時折胃を拳で鷲掴みにされる 難聴録8

時折胃を拳で鷲掴みにされる 難聴録8

難聴と耳鳴りは常に一定というわけではありません。
調子いいじゃん!
ってときもあれば、まさに地獄といった状況も訪れるのですが、そもそも調子いいじゃん!っていうのは今までだと普通の状況なわけです。

辛いのには変わりないのですが、それが特に酷くなると、胃にキューっと圧迫感を感じてそれはもう大変。

横になって収まるのを待つしかなく、少し眠ってしまうことで落ち着くことが多いです。

仕事どころか普通の

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気がつけば不潔でだらしなくなってしまった 難聴録7

気がつけば不潔でだらしなくなってしまった 難聴録7

突発性難聴になってから、細かいことに気が付かなくなりました。
それを自覚しているからこそ、人とのコミュニケーションや振る舞いに注意する一方で、身だしなみ等はもう全然ダメです。

入浴中に体臭のきつさを実感してから、こりゃダメになると努めて清潔でいるよう心がけています。

それでも、ヘアースタイル、髭や眉毛、ちょっとした洋服の着こなしなどは、以前と比べるともう「だらしない」の一言。

顔は薬の副作用

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眠れぬ日々 難聴録6

眠れぬ日々 難聴録6

突発性難聴になって処方されたのがプレドニンというステロイド薬。
こいつの副作用の中でも、とりわけ飲んだ後に訪れる耳の詰まりや圧迫感がすさまじいのです。

それが辛くてしばらく横になる時間が必要になるくらいです。
実際に自宅療養中は投薬後2時間くらいしたあとに訪れる副作用に耐えるため、横になって収まるのをただただ待つばかり。

神経が過敏になっているからか、朝までほとんど眠れないこともありました。

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コミュニケーションの変化と孤独感 難聴録5

コミュニケーションの変化と孤独感 難聴録5

突発性難聴だということを周りに告げてから、以下の変化があらわれました。

・話しかけられる前に肩を叩かれる。
・一度視界に入ってから話し始める。
・身振り手振りの増加。
・とくに数字を伝えるときに指で本数を出す。
・個室で相談。

気遣いに感謝するべきでしょうが、そのたびに申し訳ないという気持ちの方が強くて「ありがとう」より「すいません」と謝るばかり。

そういや、職場でのチャットや業者さんへのメ

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クリエイティビティはゼロに 難聴録4

クリエイティビティはゼロに 難聴録4

突発性難聴を患い、集中力というものがなくなりました。

耳鳴りのことを忘れようとしても雑音より大きな耳鳴りが被さってくる。
耳の詰まりも感じるし、音がダブって聞こえるし…
なんて考えてるうちに気がついたら30分くらい時間が経っているのが常。

雑務をこなすだけならまだしも、企画や広報物のクリエイティブなどはまず無理です。

少しずつ仕事ぶりが問題視され、漏れるタスクが増え、集中力の欠如が誰の目にも

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気持ちの切り替えなどできぬ 難聴録3

気持ちの切り替えなどできぬ 難聴録3

突発性難聴と初めて告げられたときの対応には、大いに不満がありました。
私の場合は左耳の聴力が低いことが診断の要因だったのですが、耳鳴りや耳の詰まり、吐き気等には言及なし。

「よくあることですよ、とりあえず薬で」

という投げやりな対応には失望したのですが、忙しいと人はそんなもんでしょう。

セカンドオピニオンを求めて訪れた病院でも

「耳鳴りを気にしない」

「何か楽しいことでも」

「前向きに

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携帯電話の振動が伝わらない 難聴録2

携帯電話の振動が伝わらない 難聴録2

はっきりとした耳鳴りを感じるようになった翌日。
いつも通り出勤したのですが、全然集中が続かない。
そしてこの日は金曜だったこともあり、休み前で業者さんや同僚から連絡が立て込むのです。

しかし、その連絡に気づかない。

あとになって
「あ、着信残ってる」
と気づいて
「あんまり長く呼び出されなかったんだろう」
と前向きに捉えるも、その日の着信は冗談抜きで全て聞こえなかったのです。

そういや周りの

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耳鳴りで始まった1日 難聴録1

耳鳴りで始まった1日 難聴録1

キーン、ピーと聞こえるなと朝から感じる1日でした。

「たまにはあるだろう」

と放っておくにはあまりにも音が大きく、仕事に行っても耳鳴りは続く。
気がつけばなり続ける異音に耳をすませるばかりで、全く集中はできません。
次第に職場での会話の中に入るのが面倒になりました。

今思うと聴力を失っていたせいで、入るタイミングがわからなくなっていたのかも。

いわゆる「間(ま)」ですね。
会話の行間みたい

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