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創造と破壊(詞、短文、フィクション)

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主に詩や短文、フィクションなど書き連ねています
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2018年7月の記事一覧

ファミレスループ

ファミレスにて。 山登りを計画しているサラリーマンを海へ誘うサーファーを逆ナンしようとしている場末のホステスが発する安物の香水に吐き気をもよおす二日酔いの絵描きが描くクリムト風のスケッチを盗み見る女子高生の左右不揃いのソックスが気になって考えがまとまらない山登りを計画するサラリーマン。

春はトワに目覚める

白い霧はみるみると 金色に変わりだす まばゆい光の矢が さんさんと地肌にそそぐ 頭上には青空 手をつなぐ梢に 白樺の林に敷かれたキンポウゲの黄色 大きな水の音 いずれは河となり それよりも美しい一羽の鳥のさえずり その声を合図に全ての鳥が鳴きしきり あらゆる方角から沸きおこる Polyphony at play 霧のなごりはなく 空はますます青く澄んで 走り抜けてく白い雲 しんとした空気をすう 多分そう イマが長い夢から覚めるとき 多分そう 暗い穴から抜けるとき 多

電脳日記

2013年の2月9日から日記を書き始めた。 人生で日記を続けることに 成功したがなかったけどクラウドで管理できるDAY ONEという日記アプリで昨夜までに1796回記しているらしく、1日に二度は書かないの1796日間書いた事になる。 今回はいまの所成功している。 忘れてしまって思い出して書くこともしばしば。読み返して忘れている事実や心持ちなどに気づくこともあれば、当然ながら恥ずかしい事柄や文章も散見される。 うまく言えないけどこの読み返す行為はとても有益だ。知ってるようで

ブラーフィクション / Blur Fiction

俺は短気で喧嘩っぱやい。 そのくせ実はとんでもなく小心者で 何かにブチ切れた数分後には足が震えて いたりする。 実際に肉体的な行動に出る事こそ稀だが、 行動に社会的な責任が伴う年齢になって 随分経っても酒の席はおろか、 タクシーの運転手や飲食店の店員にだって キレる。 大方の場合は過剰反応。 もしくはキレる方向に物事を解釈している だけだ。 自意識過剰でもあるし、 タチの悪いアテンションシーカーだとも 言える。 今までの人生で大きなトラブル になっていないのが不思議な

事実

ベッドから起き上がり 割と毛足の長いカーペットに踏み出す、 両手両足に軽い痛みと痺れを感じる。事実だ。 昨夜までひとしきり思い悩んだ末に 今すぐ結論するのをやめたことを忘れた、 まるでスゴロクのスタートに戻されたような気分。事実だ。 エアコンの温度感が要領を得ず、子供の頃意識さえしなかった湿った空気を呪う。 東京、夏。事実だ。 不安、焦燥感と渇感のアンバランスが胸奥を支配し、トライアングルの内側を一定間隔で打ち鳴らす。事実だ。 ネットを見、日々垂れ流される

やがて全ては無に帰る

身を焦がすような恋心も 海を越えた野心も 彼を殺したしがらみも 無意味に愛らしい飼い猫も やがて全ては無に帰る 一生許さないと決めた裏切りも 拭いきれない執着心も 隠された肉欲も 溶けないまま腐ったバターも やがて全ては無に帰る やがて全ては無に帰る そして何もかもなくなって 忘却の彼方のままに また何か始まるんだろう

18_THE_NOISE_by_Shinichi_Osawa

1分弱ですが僕なりの良質のノイズを共有します。リングトーンにしてもらっても構いません。