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友井川拓note 〜学びの接点〜 Vol.15 「船橋屋 渡辺雅司社長とのお話。」

皆様、こんにちは。友井川です。
今回はシャイニングアークス東京ベイ浦安とスポーツ共創パートナーシップを締結している「船橋屋」渡辺雅司社長との対談をさせていただきました。

「発酵の力で日本を元気に」を掲げる文化二年創業のくず餅の老舗です。くず餅の他にも飲むくず餅乳酸菌やくず餅プリンなど様々な魅力的な商品を展開しています。

今回、お忙しい時間を割いていただきシャイニングアークスの選手へのご講演と対談を実施させていただきました。終始、楽しく学びの多い貴重な時間になりました。
お楽しみに下さい。

講演会レポートとご対談。

友井川:本日は、ご講演いただき誠にありがとうございました。貴重なお話ばかりで大変勉強になりました。日頃よりサポートいただきありがとうございます。

うちの猛者どもはご講演中失礼はございませんでしたでしょうか?笑

渡辺社長:本当に最高でした。笑
意外と私の周りにはラグビーに関わる人が多いんですよね。
ただ、私がルールなどよく知らないのでラグビーから離れていただけで。大泉洋さん(ノーサイド・ゲーム TBSドラマ)のおかげでラグビーがとても好きになりました。笑

友井川:ご自身は野球とテニスをやってらしたんですよね?

渡辺社長:少年野球をずっとやっていて、途中からテニスのクラブチームに入りインターハイも出させていただきました。テニスは高校まで真剣にやっていましたね。

友井川:シャイニングアークスからお話させていただいた時はどんな感情でしたか?

渡辺社長:広報からこんな話がありますと伺った時は、是非お願い出来ればという感じでした。実際にどういう運営をされていて、このような人数をどうマネジメントしているのかなという観点でも非常に興味がありました。大半の選手が社員として働いているんですよね?

友井川:そうですね。6割から7割は社員選手で構成されてます。

渡辺社長:実際にグランドに立てるのは何名くらいなんですか?

友井川:試合はグランドに立つ人数が15名で控えのメンバーを含めると23名ですね。

渡辺社長:それ以外の方々はどのようなモチベーションなのかなとか非常に興味がありました。常に自分が出てやろうって思ってらっしゃる選手も絶対に多いですよね?このレベルだと期待されて入ってくる選手も多いでしょうし、社員の選手であれば部署の方の期待もありますよね?
そういう環境でどのようにマネジメントして、コーチングしてチームを作っているのかっていうのは非常に興味がありました。

友井川:先程のご講演で渡辺社長のお話にもありましたが、どのように意味づけしていくのかっていうのは重要な観点だと思っています。目的をしっかり持ってそのための目標設定をきちんとしていくことはすごく大事にしている部分ですね。
そこがはっきりしていないと目先の試合に出れないことで簡単にモチベート出来なくなってしまうことも少なくないです。

渡辺社長:そうですよね。

友井川:難しい部分です。皆が平等にチャンスがあればハッピーですが…。
そういう意味では、先程社長の話でもありましたように行動を変える・行動をするって部分は選手もとても響く部分だったのではないかと思い興味深く拝見させていただきました。

渡辺社長:ここまでのレベルでプロとして、もちろん社員選手もいますが私たちからすればプロ選手と同様で小さい時から選りすぐりの選手達が集まるわけですよね?

友井川:そうですね。一応あれでもエリート集団です。笑

渡辺社長:俺こそナンバー1みたいな選手ばかりで。笑

友井川:はい。笑

渡辺社長:それで試合に出れない、またはすぐに抜かれるんじゃないかって考えるとすごく不安ですよね…。そういう部分での戦いも大きいですよね。

友井川:スポーツ選手もメンタルのケアはパフォーマンスを発揮する上でとても重要になりますね。

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むしろ人生の楽しみは山の中腹にある

私から質問していくはずが、質問されっぱなしで。笑
話変わってしまうんですが、私のNoteのコンセプトでもありますが他の分野からの学びを私自身とても大事にしています。
吉川英治氏のお言葉「我以外皆我師(われ以外、皆、わが師)」を紹介されていましたが、渡辺社長も他の分野からの学びを大切にされているかと思います。その点についていかがでしょうか?

【吉川 英治】日本の小説家。
代表作:『鳴門秘帖』『宮本武蔵』『新・平家物語』『私本太平記』など

渡辺社長:吉川英治氏の名言の中には登山の話があって、目標は頂上と決まっているけれども、むしろ人生の楽しみは山の中腹にあると仰ってるんですね。
自然を楽しんだり、中腹にいることを楽しむことが一番重要なんだってお言葉を残されています。本当にそうだなと思っていまして、生き方のひとつのヒントになるなと感じています。
吉川英治氏の言葉は本当に素晴らしいものが多く、現代にこそ響くものが多いですね。会社としても吉川英治氏の影響は多大なものです。

友井川:中腹にいることを楽しむことって非常に大事だと思う反面、難しいですよね。日々に忙殺されているとなかなか気がつけないですよね。勉強になります。

船橋屋じゃなければ嫌だという熱狂的なファンを

渡辺社長:アスリートの世界とは大きく異なるとは思いますが、ファンを作っていくということで言いますと、昔は物を売れればよかったですし、欲しい物を買っていればよかったですが、今の時代は物を買う前と買った後で自分が幸せになっていなければならないと思っています。または困ったが解決されているとか。買うことでほっこりするとか。
そこにしかお金を出さないのであれば、そこに熱烈なファンをくっつけてあげないといけない。「あなたじゃなければダメですよ」と。
例えば我が社でいうと日持ちはしないけど船橋屋じゃなければ嫌だというお客様をどうやって作り込んでいくか、熱狂するファンを増やせるかってことが重要ですよね。
今はそれがSNS上でないとなかなか作り込めないです。知らない人に認知してもらって、船橋屋を知ってもらって、まず買っていただくところはリアルでもいいんですが、それを評価していただいて拡散していくにはSNSの力が必要なんですね。
だからマーケティングの仕方も変わってきています。一昔前はターゲットを決めてセグメントをしてこのお客様にはこうだといって物を売っていたんですが、そうではなくて一番大事なのは社会的なビジョンです。

我々であれば「食の健康」ということ、そういうビジョンに対して企業としてどのようにアプローチしているのかという部分をお客様は見ています。
そこがなくて物を売っているだけではじきに淘汰されていきますね。

そこを効果的に拡散していくために我々はリアルとデジタルの融合を大切にしています。実際に店頭に食べに来てもらい、SNSで拡散するような双方向の体験がシェアを生むんですね。それが企業価値を上げていきます。そこは無視出来ないんですね。

実際、新工場では最終的な餅の仕上がりは職人が指先で確認しているんです。一瞬の跳ね返りの感触で餅の美味しさを判断しているんですね。

友井川:最終行程は人に任せているってことですね。

渡辺社長:そう、人なんです。ただそれも全てデータ化していけば機械で判断出来るようになるはずなんです。

友井川:将来的にはですよね。

渡辺社長:そうです。そういうことにチャレンジしていく段階にきています。
ただ発酵は天日干しが一番美味しい。そうやって昔からのノウハウと最新の技術を組み合わせていくことが大事です。くず餅って誰でも作れる物じゃないんですよね。

自然のままに

友井川:それは譲るところと譲らないところの拘りですよね?

渡辺社長:そうです。
物凄く大切にしていく部分と、これは捨てちゃっていいって部分があって、コマの軸のようなに譲れないものがあるというのが我々の考え方です。
松下幸之助さんの考え方に共感しているところが多いです。
松下幸之助さんが大事にしてきた「自然のままにいけ」という言葉、自然のままにいかないから全て上手くいかないんだと。自然の理法ですね。

じゃ「食」も当たり前のことをやろうと。自然に発酵させて、自然に食べていただく。私達は効率化だけを考えて、薬品を入れたりパッキングしたり日延べをする
ようなことをしていない。もちろんそちらの方が儲かりますが。

これは私たちからしたら自然の理法ではないなと思うから敢えてやらないんですね。時代もサステナブルな時代になってきました。うちに近寄って来たなと。笑

友井川:世の中が健康志向ですよね。

渡辺社長:腸内が大事なんてことうちなんて10年前から言ってますよ。みたいな。笑
結局、自然のままが一番でマネジメントもそう、目的がわからないってこともそうですよね。そうなると自分が何の為にやっているのか、何の為に生きているのかわからないってなってしまいますよね。

「心」を大切に

友井川:変わらないために、変わらなくてはいけないって考え方もあると思いますがその辺はいかがですか?

渡辺社長:人間にあって猿にないものは「心」だと思うんですね。
そして認知して行動に起こすかだと思うんですよね。これって価値や意味があるのって感じる力ですよね。これって人間だけが持っている特徴なんですよね。
亀戸天神には「心字池」っていう池があります。
3つの橋が境内に向かって架かっていて、三世一念の理というものがあり手前は過去の橋で振り返らずに渡る、真ん中の平橋は現代の橋でその下に「心」と書かれた池があります。現代は止まって「心」を大切にしろという意味なんですね。
ここを味わい意味と価値を感じろということなんですね。
そしてそれを感じ最後に未来の橋をじっくりと味わいながら渡りましょうということなんですね。
私達は亀戸天神のお膝元でお仕事させていただいておりますから「心」ってものが何なのかを大事にしています。

見えない物を大切にしないと私は成功しないと思っています。花であれば香り、人であれば人柄とか、会社であれば社風ですよね。

これは今までは経済の中で欠け落ちていた部分でありましたが、SDGsや地球環境問題等を通してみんなで考えなければいけない時代にきていますよね。

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友井川:海外の経営者でも仏教を信仰している方多いですよね。ジョブズもそうですしね。禅・瞑想・マインドフルネス等大事にされていますよね。

渡辺社長:グーグルには瞑想ルームもあります。
私達も「心の経営」が大事だと思っています。そうでないと組織で一緒に働く社員がどんどん疲弊していくことになってしまいますので。
そう意識してから企業の業績が上がっているのは事実です。それはお客様もわかってくれるからだと思っています。理解してくれて、いい会社だねって言ってもらえる会社は「心」を持っている会社だなって実感しております。

「それは生温い」「ミッションやビジョンで飯が食えるかって」いう経営者もいますけど、そういうものが無い会社は淘汰されていってしまう。ただ売れればいいという会社ではですね。

お客様は何を見ているか

友井川:そのような先代から受け継いだ想いや、渡辺社長の想いなどをどのようにして社員の皆様へ浸透させているんでしょうか?会社として同じ想いを持つということが大事ですよね?

渡辺社長:私は浸透させようという考え方に限界があると感じてます。
わかってくれている人に入ってもらうってことが大事ですね。同じ志を持った人達に。ビジョナリーカンパニー2(ジム・コリンズ (著), ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則)でもありますように、誰をバスに乗せるのかってことと同じだと思います。

友井川:誰バス理論ですよね。

渡辺社長:皆で御嶽山に行きたいと言っているのに高尾山行かれちゃ困りますよね。どうしても高尾山に行きたいならバスを降りてもらうしかないですよね。
同じ志を持っている方を採用するよう努めています。

友井川:最初からそういったミッション・ビジョンが確立されている、目指すべき共通のものがあるっていうことが重要ですよね。

渡辺社長:Googleらしさ、ルイ・ヴィトンらしさ、船橋屋らしさ。シャイニングアークスらしさもそうですよね。お客様は何を見ているかって「人」を見ているんですよね。選手であったり、我々でいうと社員を見ているんですよね。
だからこそ我々はそこにきちんと力を入れています。
ある統計でもそこのブランドをどう見るかという話があって、そこはCEOでもクチコミでもない。社員を見ているというのがデータとしても出ています。

社員でいかに自分の会社が素敵だと言ってくれるようなストーリーテラーつまり語部を何人作れるかっていうのはとても大切なことですね。
そういう意味でアウターブランディングとインナーブランディングの両方が大切です。外ばかり見ていたら社員が疲弊していくだけの会社になってしまいます。いる人間が幸せだなって思える会社にしていきたいです。もちろん我々もまだ途上ですが。

友井川:それはスポーツも同じですね。
外向けのブランディングってどのチームも力を入れてますが、自分達の中でどういうチームを作っていきたいのか、自分達ってこういうチームだってチーム全員が言語化出来ているチームってきっと少ないと思います。
歴史あるチーム・勝つ文化のあるチームって「らしさ」が無意識のうちに内在していると思うんですね。ただそれをインナーブランディング的な観点で作り上げていくことも非常に大事ですよね。

監督が変わってしまうと全てが変わってしまう。企業でも社長が変わっただけで全てが変わってしまう。そう少なくないケースですよね。
永く続いていくチームである為にインナーブランディングはビジネスでもスポーツでもすごく大事な観点だと私も思っています。会社としてチームとして何を大事にしていくかですよね。

渡辺社長:まさにそうですね。

今を楽しみ徐々に登っていく

渡辺社長:企業として成長していくことは非常に大事です。ただし、目標ばかり高くてそこに固執し過ぎると、本質からそれてしまうこともありますよね。
それによって苦悩が生まれてしまう。高い目標を持つ事は登山の頂上を目指すことと同じで決して悪い事ではありません。
ただし、そこに固執しすぎてはいけないとインドや高野山でも教わってきました。

頂上まで行けたら最高だねって言いながら、今を楽しみ徐々に登っていく。そういう戦略こそがいる人間を幸せにしていくんですよね。
マインドフルな経営、組織化、チームビルディングっていうのはこれからのZ世代の子供達にはすごい重要になってきますよね。

友井川:今を大切にするって考え方を非常に大事にされているなと、先程の公演でもすごく感じ印象的でした。私もまだまだ未熟ですがコーチ・指導者として人を育てる身なので、選手が今を楽しみに、今を大事に過ごしてもらえるような環境を作っていくことが大事なのだなと改めて実感しました。
本当に勉強になりました。

渡辺社長:特にこれから主役になっていくZ世代。私は戦後最強の世代だと思っています。
自分を律するところもそうですし、機械も強いですし、それから人と寄り添う、ファンと寄り添う、お客様の気持ちになる、周りの仲間を思いやるなどとても素晴らしい素質を持った方が多いですよね。
僕ら世代はどう人の肩を使って上によじ登ってやろうかばかり考えてる人達で溢れていましたからね。笑

友井川:

渡辺社長:我々には無い考え方を本当に多く持っていますよね。
スポーツも指導法やらで色んなところで叩かれているケース頻繁していますよね。
柔道も井上康生さんになりとても良い方向に変わりましたよね。マインドフルなものを随分取り入れたとお聞きしました。

友井川:本当に違う世代の方から学ぶ事は沢山ありますよね。日々選手から学ぶ事も本当に多いです。

渡辺社長:本日も本当に素晴らしい人柄の方々ばかりで感心しました。

友井川:ありがとうございます。
本日は講演も含めありがとうございました。とても学びの多い時間でした。
選手もスタッフもとても楽しませていただきました。貴重なお時間をいただきありがとうございました。
引き続きサポートよろしくお願い致します。

渡辺社長:こちらこそ沢山の学びがありました。またよろしくお願い致します。
ありがとうございました。

まとめ

「いる人間が幸せだなって思える会社にしていきたいです。」という言葉が印象的でした。組織・チームのミッション・ビジョンを達成する為だけに固執し過ぎると本当に大事な「人」の幸せという観点が蔑ろにされてしまうこともあります。それは必ず遠回りになると私自身も思います。

中腹を一緒に登る人達と共に楽しみながら頂上を目指し登っていくことが本当は近道だということを改めて教えていただいた非常に貴重な時間になりました。

船橋屋 ・シャイニングアークス共に、引き続き応援よろしくお願い致します。

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