100を切ったら見えた世界

いい加減100台とはオサラバしたい
5週連続ラウンド雨の最終日

前半47のいい感じで迎えた後半
これまでドライバーが絶好調ノーOB
最後8番9番残したところで86
ダボダボでも100切という王手をかけたところで初めてドライバーに乱れが出て8番+3...

余裕も消えてボギー死守で迎えた最終ホール
さっきのドライバーのミスを引きずったのかティーショットめちゃくちゃ引っ掛けてしまいOB寸前の傾斜へGO

「あ、アカンかも…」
半分諦めがよぎる

なんとかフェアウェイへ持ち直しを狙った2打目がまさかのチョロって真下のラフへ

「あ、もう無理や…」
思わず見上げた空から降りしきる雨

その時カートから聞こえた声

「まだノーチャンではないですよ！」

思えばこの時もし
「まだチャンスありますよ！」
って言われてたら
無責任な慰めに聞こえて
無理やわ！ってなってた気がする
知らんけど

でもその時何故かその言葉が無性に響いて
目線を初めてピンへ

距離209ヤード
残されたのは3打

失うものはなにもない
振り下ろしたユーティリティ

ピチッ！
快音がもやを切り裂きグリーン少し左へ
残り2打

そこからアプローチどう考えて打ったかはあまり覚えてなくて
気づけばピンまで5mぐらいに残された99打目のボール

「ついにここまで来たか…」

短くはない距離やけどこれを決めればついに…

一旦カートに戻りグリーン攻略のボタンを押して矢印を確認
もちろん目視も合わせて再確認したスライスラインを覚悟を決めて打つ…

打ち出しから思ったより登りだったのか想像よりも早く失速していく様を見ながら

「しくじったか！？」
スーパーロボット大戦で敵キャラ倒したときのセリフが一瞬頭によぎったけど
右に切れながら弱々しくも渾身の力で確実にピンに向かっていく白いボール

カコン…！

見事カップインしたその姿はもうなんと言うか卵子に向かう精子のように美しくこの目に焼き付いて
まるで受精した瞬間を見たような感動

何度も何度も手が届きそうなところで
カイジの沼みたいに身を捩ってかわされ続けた2桁の世界

生命の神秘すら感じた数字の裏のドラマ