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新しいレベルへと動き出した米国ヘルスケア プラットフォーム プロバイダー

ヘルスケア業界は国や地域で規制が大きく異なり、グローバル展開が難しい分野ですが、最近米国では Amazonや Microsoft、Googleなどが医療情報インフラをターゲットとしたヘルスケア プラットフォームの新たな展開を開始しています。

Amazonは近年処方箋薬のオンライン販売事業の拡大を進めるなど米国の医療分野で存在感が増してきています。そんな中今年7月に AWSは「Amazon HealthLake」を一般公開し、医療機関向けヘルスデータ サービスの提供を開始しました。このサービスは HIPAA (医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律) に準拠したサービスで、医療事業組織に対し構造化されていないヘルスデータの活用を支援するものです。業界標準である FHIR (Fast Healthcare Interoperability Resources) を採用し、データの形式を整えてオンプレミスのシステムからクラウドベースのデータレイクへとデータを移行できるようになっているが特徴です。
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さらにこのサービスはヘルスケアだけに留まらずバイオ医薬、ゲノム関連分野にも特化したクラウドサービスで、機械学習を用いて医療用語や臨床データを分析し、データに対して標準化されたラベルを付与することで検索や分析を容易にするサービスを提供しています。

Amazonに続き Microsoft もヘルスケア事業向けプラットフォーム サービスの拡大に着手しています。2019年に2000年代後半から展開していた HealthVault事業の撤退後、大きな一般向け医療情報サービス関連の動きがなかった Microsoftですが、医療機関向けのインフラ提供では大きなシェアを持っており、今年8月に発表された Azure Healthcare API は Azure Healthcaseサービス上に蓄積された個々人のヘルスケア データを外部のサービスが連携して処理する環境を提供するものです。米国で進んでいる個人によるデータ管理をクラウド サービスで提供することを目指しています。

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Googleも今年7月に新規事業開発の一環として、商用ロボット向けに AIを活用した制御ソフトを開発する Intrinsic社を設立し、深層学習や強化学習などを活用した産業用ロボットなどの設定の自動化の取り組みを始めました。Googleは過去 5年間に渡ってこの分野の研究開発を進めてきており、自動車や電機、ヘルスケア産業をターゲットに事業化に踏み切った形です。

Amazonの医療・ヘルスケア分野への事業拡大の取り組みは一般消費者向けウェルネス トラッカーの Halo事業から医療事業者向けサービスまでカバーするもので、今後の展開に注目です。


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