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NFTのフィッシングサイトに20万円分抜き取られた後にKEKKAIを入れた話
TL;DR
仮想通貨取引時は偽サイトに気をつけろ
人間の注意力には限界がある
KEKKAI入れろ
プロローグ
春は別れの季節といいます。今年は僕もシェアハウスの友人や、インターン先の同僚など、様々な別れを経験しましたが、その中でもコツコツ貯めていた0.8イーサリアム(約20万円)との別れはとりわけ辛いものでした。
2023年末という何とも遅い時期にブロックチェーン技術に強く惹かれ、Web3の描く未来を信じて仮想通貨での取引を様々に行なっていました。僕の数少ない銀行預金も毎日イーサリアムへと変換させ、NFTなども購入してWeb3ライフを楽しんでいたわけですが、もののワンクリックでメタマスクに表示される僕の残高はゼロになりました。
クリプトとの出会い
僕が仮想通貨を買い始めるようになったきっかけは、Worldcoinによるものです。偉大なるサムアルトマンパイセンが仮想通貨によってベーシックインカムを実現しようとしているのを見て、自称マルクス派ベンチャーキャピタリストだった私は、生体情報だろうがなんだろうが全部渡してやろうではないかと、記念すべき初めての仮想通貨を手に入れました。
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人間へのベーシックインカムの支給を目的としている。
2023年5月あたりではまだワールドコインの売買ができなかったのですが、12月になって自由に取引できるようになった際に、約4万円分のワールドコインをイーサリアムへと変換しました。換金したはいいものの、使い道のなかった私は、とりあえずOpenSea上でNFTを覗いてみることにしました。
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結果、めちゃくちゃハマりました。
NFTの沼にハマる
NFTの中でも、「Reveal」という一定期間経つと実際のNFTが手に入るものにどハマりしました。こうしたNFTは初めは卵のようなものになっており、Reveal(公開)することで本物が見れるようになります。特に有名なのは「Azuki」というNFTプロジェクトが出しているAzuki Elemental Beansがあります。
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はい、もうほぼギャンブルです。公開後のNFTのレア度が高いほど、その価値も高くなります。私はSofamon SeedというNFTを、公開前に0.03ETH(約1万円)で購入し、結果的に0.6ETH(約15万円)で売ることができました。MOIC15倍。これはベンチャーキャピタルで働くものにとっては堪らない投資リスクなのではないでしょうか。とはいえ6000ものコレクションの中でトップ3のレア度であるNFTを当てただけなので、再現性は全くありません。
ともあれ運よくNFTで一儲けすることができた私は、より著名なNFTに憧れるようになりました。それらが、Azuki、Doodles、Bored Ape Yachet Clubです。それぞれ現在の最低販売価格は、6.8ETH(230万円)、2.7ETH(90万円)、26.4ETH(900万円)となっています。
いや、高すぎる。
プロレタリアートには手が届きません。
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優先的なNFTドロップ、ライブイベントなどコミュニティーとして熱い。
NFTアートとは何かと聞かれた際に、代替不可能なデジタルアートと答えるのが教科書的ではありますが、人気なNFTアートはただのデジタルデータ以上のものを内包しています。先ほど挙げた3つのNFTプロジェクトに共通していえるのは、そのNFTを保有しているホルダーのためのコミュニティが限定的でかつ魅力的なことです。それなので僕はこれらのデジタルアートが欲しいというよりも、プロジェクトのステークホルダーとしてコミュニティの一員になりたいという願望から、購入欲が出ています。そういった意味では、NFTアートは購入者のコミュニティ、その将来性といった部分に価値の大半があるといっても良いでしょう。
さようなら、0.8ETH
その中でも特にDoodlesはIP戦略がとても上手いです。ホルダーのコミュニティへの参画を徹底し、リアルでもイベントやグッズ展開を行い、また有名アーティスト・ブランドとのコラボも多数行っています。さらには、既存のDoodlesを新しいNFTへの変換できるSpace Doodlesや、着せ替え可能なNFTであるDoodles2など、ダイナミックNFTと呼ばれる拡張性に富んだNFTの先陣を切っています。
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そんなDoodlesが、最近G-Shockとのコラボを発表しました。こうした発表は、しばしば公式Twitter上でされるのですが、たいてい公式投稿には「このポストが公式による最後の投稿です」というものがスレッドの最後に貼ってあります。これには理由があり、リプライ欄にて公式を装って偽サイトへと誘導する詐欺が多発するため、それらの対策としてこうしたポストが多くのNFT公式アカウントにて行われています。
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しかし今回のGshockコラボの投稿では、このポストがありませんでした。代わりに偽物アカウントが、リプライ欄にこの警告ポストを真似したポストをしていたのです。それに気付かぬ僕は、そのまま偽ポストにあるリンクを踏み、完璧にコピーされたDoodlesの偽サイトへと飛ばされました。
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Doodles公式サイトのドメインは、「doodles.app」です。これに対し、偽サイトは「doodles.xyz」となっていました。僕はこれに違和感を感じましたが、ヘッダーのメニューリンクを押すと、その先は公式サイトへと繋がっていました。つまりランディングページ以外は全て本物になっていたのです。これによって僕の脳裏に浮かんだ一縷の疑念は消し飛び、脳汁を垂れ流しながら偽サイトの登録ボタンにてトランザクションを承諾してしまいました。
詐欺にあったと気づいたのは5分後です。トランザクションをしたにも関わらず、何の変化もなかったため、最初は単純に取引失敗したのかと思いました。メタマスクを開いて過去のトランザクションを見てみると、なんか0.8ETHを送金したことになっているではないですか!
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仮想通貨取引の際に起こりうる詐欺は頭に叩き込んでいましたが、まさかこんな単純なフィッシングサイトに自分が引っ掛かるとは思いませんでした。思えば初めは警戒心を持って、それぞれの取引の承諾を精査していましたが、取引頻度が増えだんだんチェックがずさんになっていたのでしょう。
さようなら、僕の0.8ETH。
KEKKAIを入れておけば…
このnoteは別にKEKKAIからスポンサーされているわけではありません。僕の後悔を記憶に刻み込ませ、これから増えるだろうWeb3人口への注意喚起として書いています。
KEKKAIはこうした仮想通貨のスキャムやフィッシングサイト防止のためのブラウザープラグインです。機能は非常にシンプルで、取引をしようとする度に、自動でその取引が危険かどうか検知してくれます。
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なんとも手遅れではありますが、今回詐欺に遭ってすぐにKEKKAIを入れました。それにしてもKEKKAIのファウンダーであるDannyは同じ早稲田大学生であり、何度か顔を合わせる機会もありました。現在私がインターンをしているHAKOBUNEにても、「ぜひ投資したいスタートアップ」としてGPに推しまくっていたのですが、なぜKEKKAIを入れていなかったのでしょうか。
謎です。
本当に大切なものは近くにある、とよく言いますが、近くにありました。
エピローグ
というわけでビギナーズラックでレアなNFTを当て、現金を変換してコツコツ貯めていた私のクリプト残高はゼロに戻りました。しかし手遅れになるほどの大金を貯める前に、こうして手痛い詐欺に遭ったことは、貴重な失敗経験です。にしても勉強量20万円はちょっと高すぎやしませんか…
エンタメ、メディア、IPを特に注目している私にとって、ブロックチェーンやWeb3の諸技術は、デジタル上の拡張性を大きく広げる貴重なテクノロジーです。これからより多くの人々が、Web3上で快適に活動するためにも、こうしたセキュリティの問題の解決は優先度が高いと思いました。
気を取り直して、Web3に再度足を踏み入れたいと思います。
記者プロフィール
有村心壱。シードベンチャーキャピタルHAKOBUNEにてインターン。
関心領域はエンタメとIP。AI、ブロックチェーン、xR技術で日本のIPの拡張性を上げたいというビジョンがある。
直近はWeb3がどう資本主義に影響を与えるかを考えている。
Twitter: https://twitter.com/shinichi815
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