脚本会議大好き!三色丼大好き!

こんにちは。脚本班班長の西本です。
脚本で散々書いたと思われるのでしょうけれど、やっぱり自分の文章を読んでもらうのはなんだかドキドキします。内容についても多少触れますので、ネタバレが気になる方は本編を視聴してからの閲覧をお勧めします。

「脚本班」とは?

 「脚本」だけなら脚本を執筆するだけだとわかるでしょう。ならば「脚本班」となると?複数人で脚本を書いているのか?どのように分担しているのか?など疑問があると思います。
 実はこのセクションは今回の本公演で新設されたセクションなのです。今までは主宰が脚本と演出を兼ねることが通例となっていました。勿論それでも良い作品を作ることは出来るのですが、120分尺の演劇全ての脚本と演出を全て行うとなると、タスクが集中し過ぎてしまい細部にまで拘ることが難しいというのが問題点でした。
 そこで今回はタスクの過集中防止に加え、感染症対策の面も鑑みて、三幕構成にした上でそれぞれに脚本家と演出家を設けることにしたのです。ただし、一つの公演として物語全体の流れは損なわないように、プロットは全て主宰が執筆しており、脚本班はそれに肉付けをしていく形を取りました。結果、それぞれの幕のテイストはかなり違ったものになりました。三色丼のように合わさって美味しい出来になっているのではないかな!と思います。是非、実際に見て味わってくだされば幸いです。

「脚本班長」とは?

 脚本班長とはいうものの、脚本全体を統括し全ての脚本を決定する権限を持つ……ということはありません。私が脚本班長としてやったことは脚本に関する会議の進行や脚本全体に関わる設定を詰めたりしたことくらいです。
 脚本会議は何度も行われました。脚本全体のブラッシュアップのためだったり、一部キャラクターの一貫性のためだったり、配役決定のためだったり目的は様々です。
 脚本班の会議の時間、私は好きでした。人と話すこと自体は別にそこまで好きではないのですが、演劇をより面白くする為の会議は好きなんです。稽古場も勿論同様のことが言えるのですが、脚本会議の場は「今、ここで、私たちの演劇を生み出している」という実感と緊張感があっていいなあと思います。

一幕の脚本として

 脚本として特に意識したことはメッセージは大仰に、分かりやすく、ということです。本公演はとにかくボケといいキャラの数といい物量で殴っていく芝居です。何せ総勢50人は居ますから……なので、主人公周りのストーリーはわかり易さを重視しなければボケに埋もれてしまうんです。安穏と日常を受け容れていた少女が突然自由を手に入れ、手に入れた「好きなこと」だけを指針にショーの世界へ飛び込んで行く、と言ってしまえば王道のストーリーだと思います。本公演だからということに加え、物語の軸自体はシンプルな方が、今回の主宰がこめたメッセージは伝わりやすいと思ったので入り組んだ構造は避けるようにしました。
 一幕の脚本としては、やりたいことを沢山やらせてもらいました。私、現実で起きたら悲しくて受け入れられないようなことが、舞台上でポップに昇華されていくのが大好きなんです。一幕は凝り固まっていた一つの家庭と伝統が一滴の自由で狂っていく様を描いたものです。
 対して、ああすればよかったと思うことも沢山あります。例えば、本当ならもっと一幕の稽古場に行って、役者の発語を聞きながら細かい修正を入れる作業も私がやりたかった。私自身が三幕の役者を兼任しているため、あまり稽古場にいけなかったのは心残りです。修正は一幕演出の高場くんにお任せしました。高場くん、ありがとう!演出がついた一幕を見た時の感動は何にも代え難いものでした。

個人的なお気持ち

 正直、自分が脚本班長だと任命された時、荷が重いと思っていました。他の脚本班の面々が以前に何度か脚本を執筆していたのに対し、私自身が脚本を執筆した経験は一度しかありませんでしたし、偏った内容しか書けないことも自覚していました。それでも、今回脚本班長を受けたのは、主宰の作る演劇が好きだったから、主宰の作りたい演劇を自分が一番言語化できると思ったから、そして、劇団森の本公演を作る中心にどうしても居たかったからです。我儘でごめんなさい。
 スタッフや役者の皆様のおかげで面白い作品に仕上がっていると思います。是非我々の集大成であるこの本公演をご覧いただけたら幸いです。

以上、劇団森元4年代西本でした!


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