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色んなモチベーション向上と定着率について

本日はちょっとしたお話。

「インサイドセールスでバイト雇ったが続かない」
「インターン生をこき使って消費しちゃうだけ」
「マネージャーがスタッフのモチベーションUPで苦労している」
「若い奴ほどすぐ音を上げやがる」
「チームの派閥があって不仲を解消できない」

コールセンターやインサイドセールスの立上げを経験している中で、スタッフのモチベーション向上と、定着率向上について相談を頂くことが多かったりします。

特に新規でコールセンターやインサイドセールスチームを立ち上げたお客さまからは、他社の事例を知らないためなかなかうまくいきません。

そんな方々のために、今回は名前は伏せますが数社のモチベーション向上と定着率向上の「うーん・・・これは?」のような事例を挙げて、今後の参考にしていただけたらと思います。(成功のヒントは最後に少しだけw)


粗利ぶっこ抜き系は「インセンティブ」

言い方悪すぎますが・・・(笑)

最初からですが、失敗も多いインセンティブについて紹介します!
バリバリの営業会社(不動産投資、販売代理店、金融証券)では現在も一部採用されている方法です。

売り上げ単価が数百~数千万円を超える商材を扱い、粗利率も50%を超える無形商材を扱う会社にとっては一番手っ取り早いモチベーションUPは、「頑張ればカネを稼げる」と魅せていたりします。

営業部隊は、コールセンター(もしくはインサイドセールス)とフィールドセールスに分かれ、フィールドセールスにパスを回し受注に繋がったら、売上をパスを回したインサイドセールスとクロージングしたフィールドセールスで折半(もしくは4:6、3:7)。そして月内の売上から給与+インセンティブでモチベーションを上げる。

でもコレ・・・最近の若者(死語)のモチベーションUPに繋がってないと嘆いている会社が多かったりします。

簡単な話です。「若者に大変なことがバレてます」

【募集:入社半年で月給200万円の実績あり】

20年位前でしたら、こんな募集があれば飛びついていましたが(現に私も某通信系の営業会社に入社した際はこんな募集記事でした)昨今の若者は、どんな子でもネットで評判を確認するわけですよ。

入社したヒト、辞めたヒトの悪い口コミが散乱している中、経験が無いためネットの情報を鵜呑みにするしかありませんから。

バリバリ稼いでフェラーリ乗って〇〇〇しよう!

インセンティブによる所得の乱高下も今の若い人には人気がありません。

昔のおじさん世代が若いころは100万円をもらうと、来月もこのくらい稼げると、わけのわからん自信で100万円の生活を始めちゃいます。

インセンティブが発生しない20万円の月も100万円の生活は変わらず借金まみれ。一気に稼いでしまうと翌年の税金がもろに食らってしまうので、辞めるに辞められない負のスパイラルの完成!

稼がないと死んでしまう回遊魚になり、不安と言う名の、ある意味「モチベーションUP」「定着率UP」に繋がる悲惨な方法です。

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こんな「しくじり先生」な話、ネットで幾らでも転がってますからね(笑)


ベンチャーは「飲みにケーション」

続いてはこちら!「飲みにケーション」(死語)です。

こちらは、10年くらい前に流行った方法で、採用している会社の特徴を申し上げると、「社内コミュニケーションでスタッフのモチベーションを上げ定着率を上げたい」と思う、ベンチャー企業の比較的若い社長さんが進んで採用していた方法です。

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・コミュニケーション支援制度
・慰労会制度
・チーム飲み支援制度

こんな名前が多いですかね?

開催の単位は「チーム」「プロダクト」「部門」など違いはありますが、やってることは「会社で飲み会の経費を払うので、仲間のコミュニケーションを飲みの場で円滑にして・・・」的な感じ。

成功する条件は「同じバスに乗る意思確認」

ベンチャー企業での実施率が高いと述べましたが、重要なのは同じ価値観同士で集まっているか?だったりします。

分かり易く言えば、「飲みにケーション」でモチベーションが上がる「パヤパヤ系」「ウェイウェイ系」のお兄ちゃんたちだけしかいない「チーム」「プロダクト」「部門」であれば成功する可能性は高いです。

こういった会社は、採用時にちゃんと素質を見極めてます。

「ミッション/ビジョン/バリュー」や「クレド」の共感ができるか?定期的に燃料をくべればモチベーションを上げられるタイプか?「ノリ」が良いか?などなど、同じバスに乗るという条件をクリアできる人材しか雇わないことが前提で、飲みにケーションによるモチベーションアップを成功させております。

「パヤパヤ系」「ウェイウェイ系」に燃料をくべたら一気に燃え上がるが鎮火も早いためモチベーション・定着率が安定しない

そうなんです(笑) ベンチャー企業が1~2年の成長期を超え、安定期を迎えるころには、飲みにケーションじゃ通用しなくなります。

「パヤパヤ系」「ウェイウェイ系」はバイタリティ溢れる人材のため、もっと他に楽しいことを見つけてしまい、次のステップにチャレンジしてしまいます。

つまり、コールセンター/インサイドセールスなんてつまらないと言った感情が芽生える人も多く、長期的に同じ職場(職種)で働く人が圧倒的に少なかったりします。

「飲みにケーション」は制度にしちゃダメ

少数であること、会社の方針に共感を持てること、ノリが良いことなど条件によっては成功する飲みにケーションですが、多様な価値観を持つコールセンター/インサイドセールスチームですと、「人づきあいは嫌い」「一人でコツコツしごとをこなすのが好き」なんて言う素敵な人材はもちろんは入れませんし、続きません。
(実はそういうタイプの人材の方が定着させたほうが良いというお話はまた今度)

「飲みにケーション」を制度化したが、1~2年後には上手くはたらかず、制度を廃止した会社を何社か見ておりますが、皆さま口をそろえておっしゃるのは・・・

「上司がカネを出して欲してるメンバーのみに適度なタイミングで」

が一番良いとのことでした。ご参考までに。


DtoC系は「お客さまの声」「表彰制度」「サンクスカード」の3種の神器

自社商品の販売を主としているコールセンターは、壁にびっしりと「お客さまの声」「表彰状」「サンクスカード」を貼りだしております。

これも「私の経験」と言うバイアスが強いかもしれませんが、地方のコールセンター(市や国からの助成金で建てた比較的大規模のコールセンター)での実施率が高いです。

スタッフの傾向として女性比率が高く、年齢層は40~60代くらいのお姉さま。もちろん定着率も高い。

そのようなコールセンターにお邪魔すると、見学対応のスーパーバイザーさんが案内してくれるのが「お客さまの声」「表彰制度」「サンクスカード」の3種の神器コーナーです。

SV「お客さまから頂いた貴重なお言葉をスタッフに見せることによって、CS向上に繋げております」

SV「毎月1回、成績優秀なスタッフを表彰し、額縁で飾っております」

SV「助け合いの気持ちを皆に持たせるため、フォローしてくれたスタッフにサンクスカードを渡してモチベーションと定着率向上に努めております」

たしかに素晴らしい。

お金をかけなくても、人間には承認欲求をくすぐる方法があります。

ありがとうという感謝の気持ち、頑張ったら褒められる、誰かに認められる嬉しさは子供のころから変わりません。

これはDtoC系のコールセンターだけでは無く、どの会社でも始められる制度だと思います。


しかし・・・


優雅に泳ぐ白鳥の「足」

そんなコールセンター見学を担当してくれたスーパーバイザーさんとは、その後、長い付き合いをさせて頂いております。
(お酒の好きなスーパーバイザーさんで、近くに出張した際にはお酒のお誘いを頂きます)

当時、コールセンター見学をさせてもらい、とても感心したことをスーパーバイザーさんに「ありがとう」と改めて伝えたところ・・・

SV「本当に大切なのはそこじゃないのよ」

私「!?」

SV「みんながみんな、あれでモチベーション上がれば苦労しないわよっ!」

そのスーパーバイザーさんは叩き上げ。

複数のコールセンター立上げを経験してきた猛者(失礼)でして、「お客さまの声」「表彰制度」「サンクスカード」の3種の神器を採用した当人でもあります。

小規模のコールセンターの立上げではそこまで苦労しなかったらしいですが、数百人を超える現在のコールセンターでは3種の神器では覆らない問題があるようです。

<大規模コールセンターが抱える問題(大奥系)>
・毎日誰かは泣いている
・毎日〇〇さんと一緒に仕事したくないという報告
・優秀生 VS 劣等生の派閥で罵り合い
・新米スタッフのいびりとはぶり(いじめ)
・〇〇部長(男性)の奪い合い(ヒエラルキー構築)
・盗難(紛失や自作自演の可能性も)

ひとつひとつのワードが怖すぎる!(ここでは詳しく書けませんが・・・)

毎日「大岡裁き」
大規模コールセンターなので、とにかく毎日事件が発生するわけです。それを毎日数名のスーパーバイザーが解決していきます。もちろん表面的な解決ではありません。裏を取って公正に平等に。

毎日「公安」
休憩時間なんてありません。全ての場所に目配りします。誰かが一人になってないか?泣いてないか?派閥同士でよからぬ話をしていないか?常に笑顔で周りを見守ります。

毎日「コンサル」
スタッフが帰ったら、他のスーパーバイザーを集めて報告会です。当日で発生した事象と対処内容について報告です。色々なアドバイスもあり、毎日最適解を導きだします。後悔は明日まで持ち込まないをモットーに。

毎日「データアナリスト」
報告会が終わると、シフト作成です。スタッフは色々な事情を抱えてます。「学校関係」「親戚関係」「家庭関係」の問題から始まり、「〇〇さんと一緒に仕事したくない」やら「徐々に派閥を解体させるミッション」など、様々な方向を視野に入れて作成します。世に出回っているシフト管理ツールなんて、そこまで融通が利くものじゃありませんから。


重要なのは「制度」ではなく「誰が回すか?」

コールセンター、インサイドセールスチームを立上げを検討している経営者の皆さま!お気づきになられたと思います。

制度よりも大切なことは、このスーパーバイザーさんのように、スタッフのモチベーション向上、定着率向上をするために、日々現場スタッフの気遣いができる人材を確保することです。

目から鱗です。
でもね・・・こんな素晴らしい人材はどこで雇えるんでしょうか?

SV「そんな素晴らしい人間じゃないわよ!何百回も失敗したし」

SV「私が失敗しても、何度もチャレンジさせてくれる経営者のおかげ」

どうやらそのスーパーバイザーさん、自分を雇用してくれた経営者に恵まれいると考えているようです。

他の役員や管理職を通さず直接スーパーバイザーとやり取りを行い、「成功」「失敗」を月に数度報告を行っているそうな。

つまり経営者自身がスーパーバイザーこそ「お客さまはもちろん、従業員との重要な接点」だと理解しており、信頼のおける人物であれば、多少の失敗には寛容で何度もチャレンジさせる。

そのような考えをもっている経営者がいるコールセンター/インサイドセールスであればスタッフのモチベーション・定着率向上に繋げ成功させているのだと気づきを得ました。

まとめ

色々と書かせて頂きましたが、まとめてみると・・・

<スタッフのモチベーション・定着率の向上を図るには?>
・ツールや制度だけでは根本的な解決はできない
・優秀なスーパーバイザーを雇う
・最初から優秀なスーパーバイザーはいない
・失敗を許容し何度もチャレンジさせる
・経営者自身がスーパーバイザーと信頼関係を築く

色々と(あまりお金をかけず)チャレンジすることが大切です。制度もそうであるように、ツールもシステムも動かすのは人間です。

昨今の環境で雇用を抱えるのはリスクと捉える経営者も多いと思います。本当に成功させる気があるのであれば、根気よく何度でも立ち上がり、飽きずにやり続けましょう。と言う自戒の念をこめたお話し。

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