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【中医学】おりものの異常【帯下病】

概念

帯下たいげ量が顕著に増加する(帯下過多)、或いは、色・質・臭に異常が発生する疾病である。
帯下量が顕著に減少し、膣内の乾燥・痒み・疼痛や陰部の萎縮などの症状を伴う帯下過少を含めて帯下病とする場合もある。
ここでは帯下過少を含めて詳述する。

病因病機

脾虚

脾虚により運化作用が低下することで水湿が内停し、それが下注し任帯(任脈・帯脈)を損傷することで帯下過多を生じる。
色は白~淡黄・質は希薄~粘稠・無臭の帯下がだらだらと続きやすくなる。
内湿の停滞によって欝火が生じると、黄色粘稠で有臭の帯下となる場合がある(脾虚湿盛から派生した湿熱下注)。
また、脾の統血作用の低下によって血が漏れ出し帯下に混じると、赤白帯下となる場合がある。

腎陽虚

腎気不固によって封蔵作用が低下するため、精関不固となり、だらだらと漏れ出す。腎陽火衰の程度によって色は透明~白となり、適度な温煦が得られないため質は水のように希薄となる。

腎陰虚

陰虚火旺によって血絡を損傷することで任帯の固摂作用が失調し、粘性の赤白帯下が漏れ出す。
【関連する病機】
肝腎虧損:肝腎陰虚、陰血損耗、腎精虧虚など肝腎の虧損により精血が不足し、任帯が養われなくなることで陰道を滋養できなくなり帯下過少となる。
陰虚挾湿:腎陰虚に加えて湿熱の邪気が任帯を損傷すると、粘性・有臭の赤白帯下あるいは黄色帯下が漏れ出す。湿熱が存在しているため帯下量は増加する傾向にあり、陰部に灼熱感を伴う乾燥や痒みが出現する。

湿熱

湿熱が下焦に蘊積うんせきし任帯が損傷されることで生じる。
黄白色で膿のような粘稠・有臭の帯下が多く排出される。
陰部に灼熱感を伴う痒みが出現する。
湿重熱軽であると、帯下は白色の豆腐カスの様相を呈する。

熱毒

熱毒が任帯を損傷することで、赤白帯下あるいは五色雑下(白・黄・赤・青・黒の五色が混じった帯下)が排出される。質は膿のように粘稠で、悪臭を伴う。

伝統鍼灸 心月院
千葉県船橋市印内町599-3 サンライズビル201号室
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