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【顔面神経麻痺】東洋医学で治す【鍼灸治療】

心月院

1 顔面神経麻痺とは

顔面神経麻痺とは、顔面部における片側性の麻痺です。顔面部の筋肉の動きが制限される他、唾液や涙の分泌障害や味覚障害、聴覚障害を伴う場合もあります。また、顔面神経麻痺の約半数は突発的に起こると言われています。

1-1 顔面部の筋肉の動きが制限される

額にシワを寄せる、目を閉じる、口を動かすといった動きが制限されます。目を閉じることができなくなるため、目の乾燥や痛みが起こります。
また、口を動かす筋肉が麻痺するため、食べ物や飲み物が口からこぼれやすくなったり、よだれが出やすくる、話しづらいといった症状が起こります。

1-2 唾液や涙の分泌障害、味覚障害、聴覚障害

顔面神経は唾液や涙の分泌や味覚、聴覚と関係しているため、顔面神経麻痺が生じると、唾液や涙の分泌障害、味覚障害、聴覚障害が起こる場合があります。

2 顔面神経麻痺の原因

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顔面神経麻痺は、何らかの原因で顔面神経が傷つくことで発症しますが、全体の約60%を占めているのが「ベル麻痺」と呼ばれる突発性の顔面神経麻痺です。
ベル麻痺が起こる原因は明らかになっていませんが、単純ヘルペスウイルスが原因ではないかと言われています。
「ベル麻痺」以外で顔面神経麻痺が起こる原因としては、帯状疱疹ウイルスや慢性中耳炎、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患、糖尿病などが挙げられます。

3 鍼灸によるアプローチ

顔面神経麻痺に対する主な治療は抗ウイルス薬やステロイド、ビタミン剤や血流改善剤といった薬物療法が中心です。
「顔面神経麻痺は鍼灸で治療できるのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、顔面神経麻痺は、東洋医学用語で「口眼喎斜(こうがんかしゃ)・口眼歪斜(こうがんわいしゃ)」と古くから表現されており、治療法が確立されてきた症状の一つです。
投薬による治療を受けている方の中には、『薬を飲み続けるのは不安がある』『投薬を続けているが、なかなか症状が改善しない』という方もいらっしゃるかもれません。
鍼灸治療では「症状が起こっている部分」だけではなく、「全身の状態」を考慮したアプローチによって、症状を改善していきます。
ここでは、顔面神経麻痺の東洋医学的分類について原因別に見ていきたいと思います。
東洋医学的には「何らかの理由で、顔面部における気血の流れが障害されることで顔面神経麻痺が発症する」と考えて治療にあたります。

3-1 心身の緊張による顔面神経麻痺

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精神的な緊張が続くと、無意識に身体に力が入り身体も緊張しやすくなります。
身体が緊張し顔面部の気血の巡りが悪くなることで顔面神経麻痺が起こります。
東洋医学的には、身体と精神状態はお互いに影響し合うという考え方があり、精神的な緊張が身体の緊張や循環障害に繋がると考えています。
このタイプの顔面神経麻痺には、緊張やイライラによって症状が悪化しやすい、入浴などでリラックスすると顔面が動きやすくなる、といった特徴があります。

3-2 感冒による顔面神経麻痺

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風邪を引いたことがきっかけで、顔面神経麻痺が起こる場合があります。
東洋医学では、風邪をひいたり、風邪が長引くことによって気血の巡りが阻害され、症状が起こるという考え方があります。
このタイプの特徴は、発症と同時期に寒気や喉の痛み、鼻づまり、鼻水、咳などの風邪症状を伴います。
また、風邪症状は無くなっても、症状が残り続けるという特徴があります。

3-3 疲労による顔面神経麻痺

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疲労によって食べ物の消化吸収が上手く出来ないと、身体のエネルギー源が作られず、筋肉や脳にエネルギーを供給できないため症状が起こります。
このタイプは、疲労によって症状が悪化したり、食欲の低下や慢性的な疲労感、動悸や息切れ、軟便等を伴う場合があります。

3-4 食べ物や水分が停滞したことによる顔面神経麻痺

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油物や甘い物の食べ過ぎ、水分の摂り過ぎによって体内に食物や水分が停滞し、食べ物の消化吸収や水の流れが阻害され、顔面部に適切な栄養が送られなくなることによって症状が起こります。
このタイプは、食べ過ぎや飲みすぎで症状が悪化しやすい、痰が絡む、軟便傾向といった症状を伴う場合があります。

4 鍼灸治療で顔面神経麻痺が改善した症例

次に、鍼灸治療で顔面神経麻痺が改善した症例をご紹介したいと思います。
一度の施術で使うツボは1つで、施術時間は休憩含めて1時間程度です。
なお、使用したツボは敢えて明かしていません。
というのは、人間の身体は全身の状態が複雑に絡み合っているため、「このタイプの過敏性腸症候群=このツボ」という簡単な方程式は成り立たず、似たような症状であっても同じツボを使えるとは限らないからです。
ツボを選定する際にはその人の症状だけでなく、その人の体質、その時の体調、施術をする時の気候、さらに言えばその人の性格までを考慮しなければ、シャープに効かせることはできません。
これら全てを考慮にいれて、やっとオーダーメイド治療となるのです。
安易にツボをいじくりまわすのは絨毯爆撃のようなもので、たまたま当たることもありますが、間違って健康を損なう場合もあります。

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【患者】50代女性、身長158cm、体重55kg。
【初診】200X年1月X日
【主訴】顔面神経麻痺(右上瞼下垂、右眼が閉じない、右の口角が垂れる)【問診】
約5年前から現在の職場で働き始める。人間関係も問題なく、慣れた仕事内容であるため、普段は精神的なストレスや疲労感は出ない。
初診1ヶ月前に風邪をひいて発熱。さらに、約2週間前に職場で普段と違う業務を行ったため、精神的に強いストレスがかかり、肉体的にも疲労感を感じていた。
その2、3日後、起床すると、右眼瞼が閉じない、右の口元が下がって左の口元が引っ張られる、喋りにくい状態になる。
耳鼻咽喉科を受診し、バルトレックス、メチコバール、ファモチジンを処方される。
顔が歪んでいることが気になり、主訴発症から初診時まで約10日間仕事を休んでいる。
【初診時の症状】
・右眼を閉じることができない。
・右瞼が垂れる。
・口をふくらますことができない。
・顔の右側は左側と比べて皮膚が弛緩し、見た目で左右差がある。
【診断と治療方針】
加齢に伴う肉体疲労があるところに精神的なストレスが加わり、顔面部における気血の流れが停滞して発症したと判断。
肉体疲労を取り除きながら、緊張を緩めるよう処置。
【日常生活での注意点】
・心身の緊張状態を助長させないためにカフェインを控える。
【経過】
2診目で右瞼がやや閉じられるようになり、見た目の左右差が減る。
3診目~8診目、徐々に口角の弛みが改善し、口を膨らませることが出来るようになる。触診でも見た目でも、皮膚の弛緩や左右差が改善してきた。
10診目~15診目、口元の歪みが改善し、右眼が完全に閉じるようになる。

【患者様の声】
パートして5年ほど働いている職場で普段と異なる仕事が突然振られたためのストレスなのか、疲労感が強くそれに加え顔に違和感を覚えるようになりました。
具体的には、右眼を閉じることができなくなったり、喋りにくくなったりという症状が見られ、仕事でマスクをしているのですが、見た目や喋り方がおかしくないか気になってしまい、仕事に出ることが難しくなって困っていました。
クリニックにかかり薬を処方してもらったのですが、あまり調子が変わらなかったため、鍼灸を試してみることにしました。
初診でじっくりと話を聞いてもらった後に、2回目の鍼治療で、明らかに見た目が改善し、今後に光が見えてきたように感じたことを、今でもはっきりと思い出します。
以降、週に2回の治療を続け、2ヶ月もすると眼も自然に閉じることができるようになりました。
顔面神経麻痺の他にも、気がつけば体調もよくなってきたように思えます。
仕事にも復帰し、日々をかつてのように過ごせるようになりました。

5 まとめ

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今回は、顔面神経麻痺の一般的な症状や原因だけではなく、東洋医学的な診断や治療方法について解説しました。
東洋医学においても、顔面神経麻痺に対する治療が有効なことはご理解いただけたでしょうか。
治療や養生指導を行う上で、顔面神経麻痺がなぜ起こっているのか、原因やメカニズムを東洋医学的に明確にすることが大変重要になってきます。
東洋医学では先程のような診断に加えて、その方の体質や体調、性格や環境、気候なども考慮した上で、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療を提供しています。
鍼灸治療の場合、治療院によって様々な治療スタイルがあります。もし顔面神経麻痺の鍼灸治療を受けてみたいとお考えの際は、その鍼灸院が方法、考え方で施術を行っているのか、事前に調べた上で治療を受けてみるのが良いかもしれません。その際は、ぜひ今回ご紹介した内容も参考にしてみてください。

伝統鍼灸 心月院
千葉県船橋市印内町599-3 サンライズビル201号室
TEL:047-494-4240
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画像の出典:https://www.photo-ac.com/

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