誘惑銀杏【毎週ショートショートnote】
「もう、秋だね」男は車止めに腰を下ろして言った。
「そうね。紅葉も始まってるわね」秋の少し冷たい風に髪をなびかせて女性は答えた。
「今日……いいかな」と男は言った。
「えっ、何?」と女はびっくりした表情をして答えた。
「『誘惑銀杏』いいかな」男は恥ずかしそうな表情をしながら言った。
「えっ……ああ……『誘惑銀杏』ね」と言いながら女も同時に恥ずかしそうな表情をしている。
「うん。銀杏見たくなってきちゃって」男は手に持っていた付箋を折りたたみながら言った。
「そうなのね。まあ、いいわよ。いつにする?」女はその付箋を見つめながら答えた。
「良かった。じゃあ、今、これからはどうかな」男は付箋を固く小さく折り畳んだ。
「いいわよ。じゃ、行きましょ。だけどあまり歩きたくないわよ」
「わかった。タクシー呼ぶよ」
2人はその場所へ向かった。
町から少し離れた山の中腹にあるホテル『誘惑銀杏』。
色づいた銀杏に囲まれたホテルは、外も中も黄色い銀杏だった。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※特に深くは考えておりません。地の文がすごくへたなんです。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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