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失恋墓地【毎週ショートショートnote】

恋人に振られ失恋という情念。

恋人を振った罪悪感という想念。

重い気持ちを埋葬ね。

そんな謳い文句のチラシがポストに入っていた。

とある地方のはずれに『失恋墓地』がオープンした。

私はそのチラシを持ってその門をくぐった。

「いらっしゃいませ」

「すいません。失恋をしたのですが……」

「失恋されたんですね。お辛かったですね。では、こちらにご記入をお願いいたします」

『あなたの元恋人に関する記憶を消去いたします。それは良い思い出も悪い思い出もすべて消去いたします。記憶の消去をすると二度と元には戻せません。記憶の消去をすると元恋人のことを完全に忘れてしまいます。ご了承いただければ署名をお願いいたします』

私はそれを読むと元恋人との楽しかった過去を思い出し涙が出てきた。

「ごめんなさい。やっぱり消去できません」

「いいんですよ。ここに来た方のほとんどはそうやって消去せずに帰られますよ」

私は元恋人との思い出を胸にしまって、前に進もうと思った。

(410字)



たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※もっと執筆の時間を増やさなければ……


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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