見出し画像

告白水平線【毎週ショートショートnote】

横断歩道で車が僕に突っ込んできた。僕の体は10mほど飛ばされた。

飛ばされた体はなぜかぶわっぶわっと膨らみ、気付くと衝突してきた車よりも大きくなっていた。運転手が車から出てきて声をかけると、僕の体はさらに膨らんでいった。気付くとビルよりも体が大きくなり、その膨らみは止まらなかった。その膨らみは何十日間か続き、気付くと僕は地球を飲み込んでいた。

今度は、僕の体は収縮している。ぐいっぐいっと圧力をかけられて、まるめられて、圧縮されるような感覚だ。そして、どんどん僕の体は収縮していった。

気付くと僕は浮いていた。

手足や体の感覚はなく、五感もなくなっている。ただ、水中か空気中に浮かんでいる感覚はあり、すこしぽかぽかとあたたかさを感じる。明るい光の中にいて、水平線のような果てのない横棒も見える。

1億年くらいそんな状態が続いただろうか。

あの横棒、いや水平線に告白したい。幸せだったよ、告白水平線……

僕の意識はプツンと、途切れた。


(410字)


たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※ジャンルとしては意味不明SFでしょうか。


*この記事は、以下の企画に参加しております。



サポートお願いいたします!執筆活動費にさせていただきます。