見出し画像

アメリカ製保健室【毎週ショートショートnote】

僕の高校の保健室は日本で唯一の『アメリカ製保健室』だ。

保健室の先生はアメリカ人なのだが、日本語がとても上手だ。

その先生は若くて小柄で、一見アメリカ人ぽくない。

僕はサッカー部でしょっちゅうケガをして保健室に行く。

保健室に行くたびに「また来たのね」と言って、すぐに手当てをしてくれる。

そして、なぜか生徒の中で僕だけ下の名前で呼んでくれる。

いつの間にか、気付いたら、先生に恋をしていた。

だが、その先生も来月退職するらしい。

僕は告白するかどうか迷っていた。

最後の日、僕は結局告白できなかった。

僕が「さようなら」と言うと、先生は「またね」と言った。

先生が辞めた翌日、シングルファーザーの父が「紹介するよ」と言って、突然恋人を連れてきた。

「こんにちは」

保健室の先生が照れながら父の腕にしがみついている。

「えっ、先生」

僕は驚きとすぐにまた会えた喜びで戸惑った。

「明日から一緒に住むことになったよ」と父が言う。

僕の新たな生活が始まった。


(410字)


たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※どんでん返しにはなってないかもです。恋愛ショートショートにしてみました。



*この記事は、以下の企画に参加しております。


サポートお願いいたします!執筆活動費にさせていただきます。