それでも地球は曲がってる【毎週ショートショートnote】
夕陽を眺めながら歩いていたその川べりに、ぽつんと道ばたに落ちていた地球。それを僕は拾い上げた。その地球は少し曲がっていた。拾い上げた瞬間、空が動いた。めまいなのか、地震なのか、僕はとっさにその場にしゃがみ込んだ。辺りが暗くなってくる。嘆きの夜が僕の中に流れ込んでくる。僕の周りも夜が。僕の中にも夜が。深い夜は静かに沈んでいった。気がつくと僕はベッドの中にいた。
「よく寝ていたわね」と横で一緒に寝ていた彼女が言った。
「ああ……ち、地球は?」
「あ、地球は曲がっていたから直しておいたわよ」
「君、地球直せるの?」
「直せるわよ。バカにしないで」
「いや、バカにはしてないけど、君は大体すぐに物を壊しちゃうから」
「ちょっと待ってて」と言って地球を持ってきた。
「ほら、それでも地球は曲がってる。全然ダメだよ。この地球には人間も住んでて大事なんだからね」
「わかってるわよ。だけど、この地球はその人間達自身が曲げたのよ。もう直らないわよ」
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※地球が落ちてた話となっております。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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