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そこに夢はあるんか?(相模原公式記録員見習い戦記・第17節vs長崎)

サッカーには夢がある。

ジャパネットたかた創業者の髙田明さんがV・ファーレン長崎の社長に就任し、この言葉を打ち出したのが2017年。

それからわずか4年、すっかり、V・ファーレン長崎を象徴する言葉になりました。


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その2017年を含め、6年間。初めてのJリーグ、経営危機、髙田社長の就任、J1昇格、そしてJ1での1年間を、監督として務め続けたのが、長崎県出身の高木琢也さん。

奇しくも、相模原の監督に着任して初めての公式戦が、その長崎と対峙するホームゲームとなりました。


残念ながら、相模原は敗れました。リーグ戦4連敗、しかも全て完封負け。5月9日の町田戦(1-1)を最後に、勝点もゴールもありません。


スタッツでは相模原が圧倒的な数字を残しました。

シュート数で13-3、コーナーキック数に至っては14-2。

しかもコーナーキックについては、1本目が前半32分、最後の14本目が後半35分ですから、前半のアディショナルタイムを含めてもわずか50分間で14本を固め打ちしたことになります。(なお、14本の中には、2本連続が3回、4本連続が1回あります。)

長崎側で見てた方には、ひやひやしどおしだったことでしょう。


でも、それでは相模原は、有効な攻撃をできたのかどうか。

がっかりするレベルのミスから失点したのが前半16分。そこから約80分間、1点でもとらないと負ける、という状況で過ごしたはずですが、1点をとるために有効に使えたかどうか。

もちろん、攻撃が全てではありません、点を与えないことも大事です。というか、まずしっかりした守備無くしては相模原はうまくいかないと思います。

とはいえ、0-1のままでは負けなわけで、それでOKではないはずで……。


気持ちは見えましたし、ある程度形にはなりました。跳ね返された後のミドルシュート、惜しいのもありましたね。そうやって遠くから打っていくことも大事なことです(もちろんそれ一辺倒では効果的ではないですが)。

だけど、そういう、1回跳ね返されても2回目、3回目と攻撃を続けていく場面、どのくらいあったでしょう。

中盤で五分五分のボールをものにして崩していく場面、どのくらいあったでしょう。

別に中盤にこだわらずロングボールを放り込むでもいいのですが、それで裏に抜けてチャンスを迎える場面、どのくらいあったでしょう。


長崎・松田浩監督のオフィシャルコメントには、反省の弁がずらずらと並んでいます。

ただ、私の目には、内容についてはほぼあきらめて、1-0でいいからとにかく耐えきって勝つ、ということを最優先にしていたように見えました。

そして、結果論かもしれませんが、そのミッションをクリアした。快勝とは言えないでしょうけど、力を見せた勝利と言っていいと思います。

相模原の視点で言えば、そんな状況で80分間崩せないまま終わってしまったわけで、私はこれはどうしてもネガティブにとらざるをえません。


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と、試合を終えた当日はそう思っていたのですが。

相模原側の感想を拾ってみると、意外とポジティブな声が多いんですよね。

もちろん、負けたことはネガティブですけど、これからに向けて、という意味で。そして、試合のあるこの日を、この場所を楽しむという意味でも。

だから、これでいいのかもしれないな、と。


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サッカーには夢がある。

といっても、夢という抽象的な言葉のままでは、夢を形にすることなどできやしません。

では、その夢って何でしょう。という問いに具体的に答えられてこそ、初めて意味を持つ言葉だと私は思います。

もちろん、答えは人それぞれ違うでしょうし、それで全く問題ないと思いますけどもね。様々な人の様々な夢を乗せて前進する、ということで良いのです。


私の場合、答えは1つ、「サッカーの力で、社会を、強く、元気に」。

サッカーは競技ですから、当然ながら、全て自分の思いどおりになるものではありません。

喜怒哀楽のうち、喜と楽だけで過ごすことはできません。残念ながら怒も哀もついてきます。

勝って笑う人がいれば、その分、負けて悲しむ人がいます。

だけど、そんなネガティブなことがあっても、深く考える思慮深さや、乗り越える力を身に付けられる。ポジティブなことがあれば、もちろん元気をもらえる。

そうやって私たちは、少しかもしれないけど強くなれるし、そういう人が多くなれば、少しかもしれないけど私たちのコミュニティも強くなれるでしょう。

……もちろん、ここで書いたことは、サッカーに限らず全ての競技にあてはまることです。サッカーだからこそできること、言い換えれば、サッカーでしかできないこと、ではありません。

だけど、サッカーが、世界中いろんなところに広まり愛されているスポーツであるということ。そこに私は可能性を見ます。

社会を強く元気にする力は、少なくともスポーツの中ではけっこう大きいと考えます。


私がサッカーに見る夢は、そういうことです。そして、いろんな街のサッカーに、もちろん相模原にも、そういう存在になってほしいと願っています。


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と、このように夢を思い起こしたとき、この試合は、夢に向けてという観点では前進になったのかな、と考え直したわけです。


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もちろん、負けですから、J2残留に向けてという観点では明らかにマイナスです。

17試合で勝点11。まだリーグ戦は半分余り残ってはいますが、少なくとも現時点での成績としては、どう考えたって残留に値しない数字。

勝点50というシーズン当初の目標も、もはや残り試合を勝ち越すことが最低条件になりました。

正直なところ、諦めの気持ちもあります。


だけど、相模原のサッカーに見る夢は、絶対に諦めません。

今後も黒星が続いたとしても、その中で前を向く強さを身に付け、ポジティブを見つけて楽しみ、胸を張ってJ3に帰りたい。もちろん、ポジティブな結果が増えてJ2に残れることになれば、それはそれでなお良し。

とにかく、そこに夢はあるのだ。このことは絶対に、諦めてたまるかって。


サッカーには夢がある。

あなたの夢は、何ですか。

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