記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

シン・エヴァの感想ダンプ(ネタバレ)

※以降、ネタバレしか書きません。本記事は私が視聴直後の感想をただただ記録したいが為に記述するものなので、読みたいとかいう奇特な人は承知の上でご閲覧ください。





---






---


TL;DR(思いを主観的に3つにまとめる)
-「本当にエヴァが終わる」
- 落とし前をつけるということ
- (私達が全力で)落とし前をつけるということ

以下、上記に触れつつもトピック毎に思いのダンプを記載していく。

ゲンドウという分かりきった盲点に向き合うこと

予告で槍を打ち合うエヴァ、あれが親子喧嘩だと誰が予想できただろうか?というか碇ゲンドウというキャラにちゃんと向き合う展開になるだなんて予想できただろうか?自分はできなかった。完全に盲点になっていた。
とはいえ明らかにエヴァの諸々の元凶はゲンドウな訳で(何なら考察とかでもとっくに明らかになっていて)そういう意味では物語を終わらせる上でこの展開は至極当然だ。それでも自分はシンジとゲンドウが遂に自己開示しあう展開にひどく驚きと感動を感じていて、その理由を考えながらさっきまで風呂に入っていた。

思うに、シンジとゲンドウの関係や、ゲンドウの内心は、ずっと盲点だったのだと思う。それも、他者から見ると地雷で有ることが分かってて、だからこそ向き合いなよ、と他者からは言われない、触れないタイプの盲点。そこに向き合うことは、シンジというキャラ、下手すると庵野という作家性からして無いことだと、勝手に思いこんでいた。そこに正面から切り込んだのだ。
シンジとゲンドウがスッと打ち合いをやめたとき、自分が「やばい本当にこの物語終わるぞ、落とし前をつけようとしているぞ」と直感的に身構えたのはそういう感覚からだと思う。

落とし前をつけるということ

シンジが「僕が落とし前をつける」と宣言するのは終盤も終盤だが、しかし最初から最後まで怒涛の落とし前祭りだった。懐かしの同級生組、ズルズルと引き伸ばさずバッサリ退場する別個体の綾波、加持ジュニア……今までスピンオフや二次創作で散々消費してきたのが嘘みたいに、だいたいのキャラについて落とし前がついてしまった。アスカとシンジが爽やかに「好きだった」ことを吐露して、一番掘り下げがなかったマリが妙に良い所を持っていくのも逆にフラットに感じられて心地よかった。

これも勝手な解釈だが、本作は何よりも制作側(庵野)が本当に落とし前をつけるつもりで作ったのだと思う。相変わらず神話モチーフだったり難解な用語だったり考察の幅は幾らでも作るけれど、大筋の物語とキャラクターは全て落とし前をつける。製作者側の意志も含めたテーマのように感じた。

(私達が全力で)落とし前をつけるということ

ウダウダと語ったし、ともすれば作家性に紐付けて「庵野が落とし前をつけた」なんて雑に言いたくなる誘惑も有るが、TV版の頃と違うのは、今のエヴァは圧倒的に「みんなのエヴァ」だということ。何が言いたいかというと、単純にアニメとして映像として面白くなるカッコよくなるアイデアを、制作に関わった全員が死力を尽くして詰め込んだのが感じられる。お家芸とも言える特撮チックなアクションから、メタ意識の演出(初号機がジオラマの壁に倒れ込むシーンが好き)、悲壮なバトルシーンなのに懐かしの軍事モノっぽいBGM(たぶん元ネタが有るのだろうが自分は詳しくない)、詰められるものは全部詰まってる。個人的には今回のメタ系演出は「メタ視点を利用はするけど楽屋オチには絶対させない」という強い意志も感じて(ラストの捌け描写)本当に好印象だった。エヴァはもう庵野監督一人の作品ではなくて、沢山の人がアイデアを尽くして形にする作品なんだろうなと想像してしまった。マリが救出する前のシンジがセル画に回帰するとき、セルの端にアニメータさんの「よろしくおねがいします!!!」みたいなメモ書きが映っていたのを見たとき、そんな事を考えてしまった。(SHIROBAKOに影響されてるだけかもしれない)

本作のラスト、全てのエヴァにさよならをつげて、宇部新川駅の空撮で終わるとき、「コレ18歳の頃の自分だったら受け入れられなかったエンドだな」なんて思ったりもした。
自分が初めてエヴァを見たのは18歳の浪人生のGW(勉強しろ)、衝動的にTVシリーズと映画をレンタルして一気に見た事を今でも覚えているのだが、18歳の自分にとって旧劇のエンドはささくれだってとてもかっこよく見えた(見えてしまった)。あの時の自分に今作を見せても「ふぅん、マリエンドなんだね」くらいにしか言わないだろう(ノマカプ厨エロゲ脳のクソオタクだったのだ…今もそうだが…)。

でも今の自分は、今作をこれ以上無いラストだと感じている。落とし前をつけなきゃいけないときはつけなきゃいけないし、地雷で盲点だろうが向き合わなきゃいけないなら向き合わなきゃいけない。歳をとったといえばそれまでなんだろう。でも結構満足はしている。こんなエヴァのラストを見れるなら、ゆるくオタク熱を抱えながら歳を取るのも悪くない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?