「コミュマネ」考
このnoteは コミュニティマネージャー Advent Calendar 2020 の17日目の記事です。
自己紹介
過去10年ほど、シリコンバレーのスタートアップを中心にITソフトウェアの日本市場開発を担当してきました。現在は、数多くのコミュニティ向けライブ配信の経験を活かして会社を立ち上げ「オンラインイベントの課題解決」支援を様々な企業・団体・コミュニティ向けに提供しています。
コミュマネとは?
改めてその意味や定義を考えてみた場合、それは「空気」のような存在ではないか?という思いに至りました。よく「水」も必要不可欠なものとして比喩で使われますが「見えない」という意味で空気のほうが適していると思います。日本ではまだまだ「コミュニティ」の概念が広く浸透していないため、
それ、結局のところ儲かるの?
費用対効果をまとめてくれる?
参加者って「お客さん」でしょ?
といった即物・即効的な成果を経営陣から求められますが、良い「空気」を買ってこい、と言われることが無いように定義や効果測定が定量的にしにくいものだと考えています。では、改めてなぜ「空気」のように必要なのでしょうか。それは、
オーディエンスと連続性のある接点をつくる
その接点を増やすことでデマンドを創出する
ご新規さんと常連さんの間でうまく立ち回る
という独特な存在からの必然性だともいえます。(※コミュニティの概念においては参加者=顧客と直接みなさないと考えているため、あえて「オーディエンス」としました)つまり、これらは既存の概念・役職を拡張した「究極の中間的存在」がコミュニティマネージャーである、ということもいえます。
オーディエンスと連続性のある接点をつくる
→営業・サポート
その接点を増やすことでデマンドを創出する
→マーケティング
ご新規さんと常連さんの間でうまく立ち回る
→営業・エバンジェリスト
これらを無視して「参加者は将来の顧客になり得る」と考えると、とたんにオーディエンスは「売り込まれている」と感じ二度と来てくれない、という事態に陥ります。過去に秋葉原が電気街だった頃に「当店は一切、お声がけしません」というポリシーの電気店チェーンがあったことを思い出します。まさに時代を先取りする長期的な顧客関係性を築くための「押さずに、引く」オーディエンスの「行動」をベースにした手法だったといえます。押し売りほど単発的な関係はありませんが、顧客の信頼をまず得ることが他社との競争優位性を保てるという考えは当時としては先進的でした。
コミュマネの"成果"
それでも企業が誰かに賃金を払う以上、何かしらの成果を求めなければいけません。その際に指標となるのが、コミュニティにおける
メンバー総数
イベント頻度
コンテンツ量
コンバージョン
などでしょう。ITの勉強会では、全国にどれだけ支部が出来て活発に勉強会やイベントを行っているか、何人がアクティブなメンバーかを計測して、どれだけのアウトプット(登壇スライド)が成されたのか、そのコミュニティからどれだけ有償顧客にコンバージョンしたか等が指標となることが多いです。かつてはこのような定量的な数値だけでは推し量ることの出来ない、熱量(熱気)、場の雰囲気を知るためにコミュニティマネージャーは現地に足を運んで縁をつないできましたが、今は「やむなく」オンラインでの実施を行っているというのが現状です。このオンライン時代のコミュニティ運営は難易度の高いものとなっており、そのために先述の「オンラインイベントの課題解決」を行っています。
オンライン時代のコミュマネ
オンラインでは参加者のリアクション(つまり「雰囲気」)が読めない、間合いが難しいなどの課題がありますが、それでも立ち止まることなく前に進んでいかなければなりません。オフラインでは「箱に閉じ込める」強制力が働いたので、コンテンツの質や進行、参加者との双方向性の担保がなくても「なんとか」なってしまいました。しかしオンラインではオーディエンスを数時間もその「場」につなぎとめておくことは非常に難しくなりました。家事、食事、睡眠、他の「楽しいこと」などの誘惑、等に負けないものをオンラインイベントの企画運営側が提供し続けなくてはならなくなったからです。つまり、今までのように単にオフラインのイベントを実施する場をオンラインに「置き換える」だけのイベント設計ではなく、もっと踏み込んでいえば「顧客体験」価値の向上を何よりも考えるべき時代が到来しました。実際に、
集客が思わしくない
いつも同じ人が参加
盛り上がりに欠ける
などの課題に、多くの企業やコミュニティがぶつかっています。これらを打破するのが、オンライン時代のコミュマネのあるべき姿を追求していくための数々の「打ち手」だと考えています。ポイントとしては、
オーディエンスを主体にした設計
オーディエンスの体験価値最大化
コミュニティの自走を促すしくみ
といえます。たとえば、ツイッターやチャット等をライブで表示して「自分も参加者だ」という実感を持ってもらうための技術的アプローチ(画面への埋め込み)、前説(開始前)や事後懇親会でのファシリテーション(「初見さん」を大切にし、均等に発言の機会をつくる等)を行う、積極的に「自分ではない人」がリードしていける体制づくりを行う、などです。
まとめ
「オンラインだから」「今までと違うから」やりにくい、といった過去と比べた相対的な尺度でネガティブに考えずに、だからこそ「こういう方法が良かった」を積極的に発信していきたいと考えています。「みんな「発言」したがっている〜オンラインのファシリテーション考〜」でも考えを巡らせてみましたが、明らかに過去の方法論とは違うオンラインイベントならではの運営ノウハウや気づきを「楽しむ」ことが大切ではないでしょうか。
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