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みんな「発言」したがっている〜オンラインのファシリテーション考〜

自己紹介

私 @shindoyは、ライブ配信ユニット「天神放送局」での数多くのコミュニティ向け配信経験を活かし、オンラインでの課題解決に向けたコミュニティマーケティングとカスタマーサクセス支援 #ライブ配信サクセス 「生屋株式会社」を立ち上げて活動中です。現在、様々な企業・団体・コミュニティが抱える課題の解決に取り組んでいます。

みんな発言したがっている

数多くのライブ配信やオンラインイベントでの経験を通じて常々、課題を感じていました。ビデオ会議のチャット機能を用いたり、ツイッターのタイムラインを埋め込み表示したり、様々な手法で「双方向性」を実現する仕組みを試してきましたが、直近で行った高校生向けの「選挙について考える」イベント配信時にチャットに残った感想が印象的でした。以下は、その感想の原文です。

会議をする中で、もっと踏み込んだ話や議論ができると思っていたのですが、時間の都合上自分の意見を話すことができなくて残念でした。もし、次に機会があれば、参加したいと思います!
本日はありがとうございました。発言の機会が巡ってこなかったことだけが残念でした。 

このイベントでは、芸能人が「メインスピーカー」として呼ばれ、運営側でセレクトした質問を拾いながら進行するというものでした。ごく一般的な、いわゆる普通の進行内容です。しかしこの高校生の訴えは、とても本質的なものだと感じました。人は「大人になる」という言葉どおり、社会に出ると「常識」や「忖度」を気にして「自分の意見は通らない」を「学ぶ」ことになります。しかしこの根源的な「訴え」に心を傾けてみると、実はオンラインにおけるファシリテーションの在り方について示唆があることに気づきました。それは、

みんな「発言」したがっている
みんな「表現」したがっている
みんな「議論」したがっている

ということです。予算をかけて芸能人を呼んでいる以上、喋らせないといけない。そのイベントでは芸能人の個人的な生い立ちや考えが、高校生からのいくつかの質問を通じ投映されていましたが「集客」への貢献度は高かったものの「参加感」の創出への寄与度は低かったといえます。そして扱われたテーマが「高校生(という、選挙権の無い年齢層)にとっての選挙」であり、そもそも参加者の意識が高かったためより一層の「双方向性」と「議論」が求められていたと推測します。この高校生向けのイベントは、大人向けであったとしても本質は同じであるという点で気づきを与えてくれました。

「ファシリテーター」の定義

試しに検索して、改めて Oxford 辞書の定義を見てみました。

facilitator
a person or thing that makes an action or process easy or easier.
"a true educator acts as a facilitator of learning"
ファシリテーターとは、そのアクションやプロセスをしやすくする人やコトである。
例文:「真の教育者は、学習の『ファシリテーター』としてふるまう」

とありました。自分なりに意訳すれば、

ファシリテーターとは、誰かの行動やプロセスを円滑に促し、そのアウトプットをうまく”お膳立て”する人のことである。
例文:「真の教育者は、一方的に何かを『教える』ことはしない。その人の学びを促し、良い方向に導いていくのだ」

といった感じでしょうか。英単語を、改めて辞書を参照することで新たな発見がありました。まるで年齢や経験を経てから観たり読んだりする、映画や本のようです。

まとめ(ファシリテーターの役割)

高校生によって気付かされた、オンラインにおけるファシリテーションの課題。それは「双方向性」や「熱量」といった「運営目線」での視座と、彼らが根源的に感じていた「発言・表現・議論」という内面から沸き起こる欲求という「参加者」としての視座に乖離があることです。つまりもっとわかりやすくいえば、

ヒトは欲求で生きている

ということです。あたりまえですが、オンラインでこの欲求にどれだけ応えることができていたか。芸能人の登場も一定の効果はありますが、何がオンラインにおけるファシリテーションの「サクセス」なのか。この問いに真摯に向き合う必要があります。まとめると、以下のポイントになります。

ファシリテーターは
その場の「主役」ではない
その場の「司会」でもない
誰かの「行動」を促すためにいる

よくオンラインの懇親会時に運営者や「常連」さんばかり発言している、一人の喋る時間が長い(特に中年男性に顕著)などが見受けられますが、たとえ参加者として懇親会で喋る場合であっても「この時間は(場を同じくしている)全員で共有している」そして「自分もいちファシリテーターなのだ」という意識を持つことが必要です。

この学びと考察を糧に、今後もオンラインにおける「サクセス」にフォーカスしていきたいと思います。


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