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47の居酒屋日記 第11夜 愛媛県「サントリーバー露口」

東京の人はご存知ないかもしれませんが、愛媛県松山の夜といえば、「サントリーバー露口」。19時オープン、たった13席しかないカウンターだけの店内は、20時を回る頃には、ほぼ満席状態。開業半世紀を超え、ツタに覆われた大谷石の外壁に、オレンジ色の照明が溢れる様子は、まさに昭和のバー。居酒屋好きの僕からしてみると、バーは若干抵抗があるが、この店だけはここでいうところの“居酒屋”に値する。入店すると、ママの「いらっしゃーい」という明るい声は、一瞬にかき消され、家族団らんのように常連客も出張中のサラリーマンも、学生らしき若者たちも、よくよく観察すると、あの芸能人までもが肩を寄せ合う風景が待っています。露口の名物は、サントリーの社員も一目置く「ハイボール」。なにやら角ハイボール濃い味(缶)のレシピにも、参考にされたというその世界では伝説とも言えるハイボール。隣を見るとほぼ全員がハイボールを注文していますが、ここで僕の“居酒屋”の楽しみ方を一つご紹介。それは自分だけの「いつもの一杯」を見つけること。できるだけ人と同じものは頼まず、その店ならではのものが好ましい。露口の場合、愛媛という土地柄、伊予柑を使った「スクリュードライバー」がお薦め。大三島レモンの「トムコリンズ」なんてのも柑橘王国ならでは。という風に有名店でも、違った視点でメニューを見ることも、この居酒屋日記の面白さでもあるのです。

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