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47の居酒屋日記 第14夜 鹿児島県「丸万」

鹿児島で「酒」といえば、芋焼酎であり、お湯割りや水割り、ロックやストレート、さまざまな呑み方も楽しめる不動の地酒。なんでも日本酒は、県内でもたった一つの酒蔵しか造っていなく、ほとんどの飲食店では置いていないに等しい。ちなみに、かつての焼酎ブームで人気を博した「霧島」は、実は宮崎県の焼酎で、いわゆる“薩摩焼酎”とは別もの。さて、そんな鹿児島で一人で呑むなら「丸万」は絶対外せない。あの天才バカボンの赤塚不二夫先生が描いたロゴマークが目印で、決して、“昭和レトロ風”の見せ掛けの店ではない、正真正銘の“居酒屋”。入店すると左手に広がる、宇宙船のコックピットような多角形のカウンターのデザインがたまらなくいい。さらに、徹底した「鳥」だけのメニューも潔い。「うちはこれしかないから」と言うけど、名物「もも焼き」は絶品で、これを食べるためだけに、東京からでもわざわざ行きたいくらい。トッピングのキュウリの一本漬けもインパクトがあって、「とり皮のつき出し」や「とり刺し」などの他のつまみも抜群。そして、ここでの「酒」も、もちろん芋焼酎。「前割り」という、これも鹿児島ならではの呑み方で、あらかじめ焼酎を水で割っておき、ひと晩経たせるとまろやかになるそう。年季の入ったアルミのタンポで温め、熱燗でいただく。鳥と焼酎と赤塚不二夫の三大名物に、いつ行っても満足させられる名居酒屋。

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