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親善試合・ベトナム 対 アフガニスタン(2022.6.1ホーチミン)備忘録

個人的な印象批評を備忘のために記します。いろいろご教示ください。

2022年6月1日(水) 親善試合
ベトナム・ホーチミン・トンニャット・スタジアム(有観客)
インドシナ時間19:00キックオフ
*私はベトナム・ハノイにおりますので、私が見た時刻を記しています。VTVcab On Football(ベトナムのテレビ局の番組)生中継
ベトナム(白)2(前半1-0、後半1-0)0 アフガニスタン(赤)

久々のベトナムA代表のゲーム。ホーチミン市でA代表のゲームは数年ぶりなので、チケットも争奪戦になっていた模様。パク・ハンソ監督が37回目の結婚記念日を祝うとか、ベトナムのサッカーファンの間では盛り上がっていました。先月も、パク監督が母親の100歳の誕生日を祝うために一度韓国に帰ることが報じられていて、メディアからもサポーターからも愛されてるなと感じます。

先月のSEA Games(東南アジア競技会)は、ハノイ(ベトナム北部)での開催で、サッカーについてはベトナムが男子(U23)も女子も優勝。1,600km離れたホーチミン市内でもバイクなどでパレードをして、コロナ禍前のサッカー熱に戻った感じでしたね。

そしてさらに、今回は男子A代表のゲーム。親善試合で、相手はFIFAランキング150位と格下のアフガニスタン代表(ベトナムは現在96位)とはいえ、ベトナム南部のサッカーファンには待望のゲームということでしょう。

それよりも、アフガニスタンって、米軍が撤退して、一瞬にしてタリバンが首都を制圧、政権を掌握してからまだ1年も経ってないですよね。市民生活がどうなっているのか、私の想像を超えますけど、代表チームが親善試合のために飛行機でベトナムに来られるくらいに落ち着いてはいるんですね。これまで、選手たちがどうやって活動していたのかなど、気になるところです。国歌斉唱、そんなことを思いました。

今日のベトナム代表、キャプテンマークはGKの㉓ダン・ヴァン・ラム。セレッソ大阪では不遇をかこつ中、代表招集されてキャプテン任命。今回の親善試合で新戦力・新戦術を試すと言われていたので、旧来の「1軍」がスタメンに入っているわけではないながら、ダン・ヴァン・ラムの序列が高いことは間違いないところ。3月の埼玉でのW杯アジア最終予選でも、最後の数分とはいえ出場してますからね。

ベトナムの国家斉唱では、久々にマスクなしのパク監督の姿を見ました。奥にズイ・マインも見えて、これも久しぶり。イ・ヨンジンコーチが見当たらないのは何故?
*後に宇佐美さんの記事で事情を知りました。そういうことでしたか。皆さん宇佐美さんの記事でご確認下さい。

観客席には、ベトナムサッカー連盟のチャン・クォック・トゥアン会長もカオ・ヴァン・チョン副会長もいましたね。

ベトナムのスタメン
㉓ダン・ヴァン・ラム(GK、C)
⑮ドゥック・チエン
㉑ディン・チョン
④アドリアーノ・シュミット
⑫ヴァン・ヴィ
⑥タイ・クイ
⑲クアン・ハイ
⑬タン・タイ
⑳ファン・ヴァン・ドゥック
⑪トゥアン・ハイ
⑧ゴック・クアン

アフガニスタンの選手名が覚えられない(というか、読み方がわからない)...。

キックオフから5分ほど、ベトナムが攻め続ける展開。

3分、V⑲クアン・ハイのFK。得意の左足、絶好の位置から。壁に当たって戻ったボールを横に預けて、自らスペースに抜け出してボールを受け直してヒールで落とすも、⑬タン・タイのクロスはDFに阻まれる。
クアン・ハイとタン・タイが同じスペースを狙って重なりかけたものの、タン・タイが受けていたらオフサイドだったかもしれない。クアン・ハイ、久々のゲームで気合入ってます的な。

ベトナムの「至宝」クアン・ハイは、SEA Gamesのオーバーエイジ枠で招集されるのかと思いきや、海外移籍の準備のために辞退したとのことでした。フランスやオーストリアのクラブの名前が挙がっては消え、Jリーグの線もまだ消えたわけではないようなことも言われつつ、まだ決まっていないようです。ハノイFCとの契約満了後、代理人のいるカントーFC(Vリーグ2部)でトレーニングをしているとのこと。とはいえ、試合勘が鈍っているのではないかと危惧されるところ。

8分、再びクアン・ハイ、FKのチャンス。④アドリアーノ・シュミットに合わせるもシュートミス。

11分、ポゼッション、ベトナム 70:30 アフガニスタン

14分、ベトナム左サイド、⑲クアン・ハイ、いつものモーションでスルーパスを⑳ファン・ヴァン・ドゥック(たぶん)に通す。見事。ヴァン・ドゥックがクロスを⑪トゥアン・ハイに出すもシュートできず。

15分、アフガニスタン、右サイドからグラウンダーのクロス、1人スルーしたところに走り込んだ選手がシュート、GKダン・ヴァン・ラムに阻まれる。

17分、ATTEMPTS ベトナム 1:2 アフガニスタン
20分、ファール数 ベトナム 2:8 アフガニスタン

21分、ベトナム左からのCK。ファーサイドでフリーの⑲クアン・ハイに合わせようとしてボールは、届かずにDFにクリアされる。

25分、ポゼッション ベトナム 56:44 アフガニスタン

26分、ベトナム⑲クアン・ハイ、センターサークル付近から左サイドライン際の⑳ファン・ヴァン・ドゥックに目の覚めるようなロングパス。

さらにクアン・ハイ、ボックス外からインサイドで浮き球をボックス内に上げて⑧ゴック・クアンへ。ゴック・クアンがバウンドするボールを待ってしまったので寄せられてしまったものの、走り込んでいれば決定機だった。タラレバ。

30分、ベトナムのサブメンバーがアップに向かう映像が映る。錚々たるメンバーが今日はサブです。

31分、アフガニスタン、センターサークル付近で奪って速攻。シュートまでいくも、GKダン・ヴァン・ラムに阻まれる。

32分、ベトナム、右からのCK。⑲クアン・ハイがキッカー。ファーサイドの④アドリアーノ・シュミットに合わせ、ヘッドで折り返したところに⑪トゥアン・ハイがヘディングシュート、ゴール。

34分、ベトナム、左サイドで受けた⑳ファン・ヴァン・ドゥック、右足でカットインしてシュート、GKがはじく。

35分、ATTEMPTION TARGET ベトナム 3:2 アフガニスタン

36分、アフガニスタン、たぶん⑲がシュート、左サイドネット外側。

38分、ファール数 ベトナム 3:10 アフガニスタン

40分、ベトナム30mくらいのFK、⑲クアン・ハイ、バーの上。

43分、ATTEMPTS ベトナム 5:6 アフガニスタン

前半アディショナルタイムは1分

45分、アフガニスタン⑬、混戦を抜け出して惜しいシュート、枠の外。

前半終わって、クアン・ハイもダン・ヴァン・ラムも、試合勘が鈍っているとは感じさせないプレーだったと思います。クアン・ハイのキックの精度は、普段が高いだけに少し気になるものの。

後半、地下から選手が上がってくる構造のトンニャット・スタジアム。ベトナムは、3人選手交代。

IN
③クエ・ゴック・ハイ
②ズイ・マイン
⑭ホアン・ドゥック
OUT
⑮ドゥック・チエン
⑥タイ・クイ
④アドリアーノ・シュミット

②ズイ・マイン久しぶり。

46分、ベトナムGK㉓ダン・ヴァン・ラム、FKのハイボールをキャッチしたまでは良かったが、ビルドアップ転換して手でボールを転がして味方選手に出し、アフガニスタン選手2人から猛追される契機をつくる。下手したら直接アフガニスタンの選手に渡っていたかもしれない場面だった。

この後、ベトナム⑧ゴック・クアン、右サイドで小さいファールを繰り返す。

54分、アフガニスタンの⑰、ベトナムの⑭ホアン・ドゥックに危険なファールをしてイエロー。ベトナム②ズイ・マインがアフガニスタンの選手に何か言って、猛烈に何か言い返されていた。
FKは⑲クアン・ハイが蹴るも、壁に当たる。

ベトナムのディフェンス、③ゴック・ハイと㉑ディン・チョンの位置取りが不明確に見える。

57分、ポゼッション ベトナム 54:46 アフガニスタン

57分、アフガニスタン、右サイドのスペースに展開、ワンタッチで最終ラインとGKとの間にグラウンダーのクロス、走り込んだ選手がシュート。GKダン・ヴァン・ラム辛くも反応。ベトナム左サイドの⑫ヴァン・ヴィのディフェンスが軽すぎた。

59分、ベトナム2人交代。妥当。

IN
⑰ヴァン・タイン
⑩コン・フォン
OUT
⑫ヴァン・ヴィ
⑧ゴック・クアン

64分、ファール数 ベトナム 8:15 アフガニスタン

65分、ATTEMPTS ベトナム 10:8 アフガニスタン

68分、ベトナム㉑ディン・チョン、⑰ヴァン・タイン、スローインをフリーで受けたアフガニスタンの⑰にぶっちぎられてシュートを許す。ディフェンス強度が低い。

いまいち明確じゃないけど、ベトナムは③ゴック・ハイと㉑ディン・チョンを2センターバックとして4バックになっている模様。さらに②ズイ・マインが入ってくると不明確になる。よくわからない。

70分、ポゼッション ベトナム 53:47 アフガニスタン

ベトナム⑩コン・フォン、最近いいなと思います。一時期は、スペースがなくても前に3人いてもフリーの味方選手にパスを出せる状況でもドリブルでつっかける悪癖で、ただボールをロストするだけの選手とすら思ってましたけどね。W杯アジア最終予選で一番良くなった選手なんじゃないかな。「ベトナムのメッシ」に対して上から目線で恐縮ですけど。

しかしベトナム、例のごとく全体的にパススピードが遅いというか、パスが弱すぎる。やっぱり海外での経験を積んだ選手が何人も出ないと、全体のレベルアップは難しいのかなと思います。

77分、アフガニスタンのカウンターを防いで、ベトナム⑰ヴァン・タイン、左サイドで一気にプレーエリアを上げる。スプリントしているわけではないながら、前方にスペースがあると見るや、するすると前に運ぶ。こういうのはヴァン・タインの好きなところ。
ヴァン・タインが⑩コン・フォンに預け、そこから中央の⑭ホアン・ドゥックへ。「フィールドのモーツァルト」ホアン・ドゥックは、左足ワンタッチで丁寧に⑳ファン・ヴァン・ドゥックへ。トラップしてミドルシュート、GKが辛くもはじく。きれいな展開。しかしアフガニスタンのディフェンス強度が低すぎる。

80分、ベトナム選手交代。似たような名前で混乱する。

IN
⑤チャン・ディン・ホン
OUT
㉑チャン・ディン・チョン

アフガニスタンのGKが傷んで時間を取る。「アメリカのITエンジニア」みたいな風貌のトレーナーがケア。

82分、ポゼッション ベトナム 54:46 アフガニスタン

またベトナム⑰ヴァン・タインの前のスペースががら空きでプレーエリアを上げる。アフガニスタンの右サイドはディフェンシヴサードまでは誰もケアしていない。

83分、ファール数 ベトナム 9:20 アフガニスタン

ベトナムFK、キッカーは⑩コン・フォン。バーの上。

87分、ベトナム⑪トゥアン・ハイ、右サイドからドリブルで持ち上がり、ボックス内で1人かわして右足でシュート、決まる。アフガニスタン、数的には足りていながらシュートブロックなし。ディフェンス強度がなさすぎる。

アディショナルタイムは4分。

92分、アフガニスタン⑰、右サイドから⑮にパス、左足でシュート、ファーポストを叩いて外へ。ベトナムもディフェンスの強度に問題あり。GKダン・ヴァン・ラムだけが集中している感じ。

終了。ダン・ヴァン・ラム、天に向かって両手を広げて十字を切る。セレッソでは出番がない中、よくこの親善試合で集中力を保っていたと思います。

ヴァン・トアンは今日は出場なし。良くも悪くも力量がだいたいわかっているということで試す必要性がないということかもしれない。ただ、ACLでは、オフサイドラインでの駆け引きなどが前より良くなっていたように見えたので、代表レベルでもまた見たいところ。

左サイドでヴァン・タインを使ったので、ホン・ズイも出番なし。

4バックのせいなのか、親善試合で集中力が足りなかったのか、ディフェンスの強度が低かったと思う。何度もアフガニスタンの選手にシュートまで持って行かれていたし、誰がデュエルに入るのかが明確になっていなくて、相手の推進力に負けてボックスへの進入を許す場面が多かったです。

W杯アジア最終予選も終わり、SEA Gamesも終わり、ベトナムU23代表はゴン・オギュン新監督に引き継がれて、U23アジアカップに挑みます。A代表のパク・ハンソ、U23のゴン・オギュンという韓国人指導者たちの新体制で、本大会の出場枠が大幅に増える2026年W杯のアジア予選に向けて、これまでの「3バック、つまり5バック」から、4バックなどの戦術を試していくことになるでしょう。

本日は以上。