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ACL・グループステージ4節・HAGL 対 全北現代モータース(2022.4.25ホーチミン)備忘録

個人的な印象批評を備忘のために記します。いろいろご教示ください。

2022年4月25日(月)ACL・グループH・第4節
ベトナム・ホーチミン・トンニャット・スタジアム(有観客)
インドシナ時21:00キックオフ 晴れ/曇り 27℃ 湿度76%

*私はベトナム・ハノイにおりますので、私が見た時刻を記しています。VTV6(ベトナムのテレビ局)生中継
ホアンアイン・ザーライ(青)1(前半0-1、後半1-0)1 全北現代(白)

3日前に後半アディショナルタイムの劇的なゴールで全北現代が勝ったのと同じカード。ベトナムでの集中開催で、ホアンアイン・ザーライ(HAGL)にとっては、どのゲームもほぼ、ホームと言える有利さがある。とはいえ、選手層的には先進国のクラブに比べて薄いとしか言いようがなく、ターンオーバーを効果的に使うことができない。中2日で6試合、HAGLもよくやっていると思う。

HAGL、この日の日替わりゲームキャプテンは、予想どおり⑰ヴァン・タイン。右サイドも左サイドもこなし、ミドルシュートもあるベトナム代表選手。今回のACLでも、第1節のF・マリノス戦でゴールポストを叩く惜しいシュートあり、第2節のシドニーFC戦では30mほどの先制弾ありと、活躍している。
ベトナムでヴァン・タインの名を知らしめた一番有名なシーンは、2018年のAFC U23準決勝のPK戦で、最後のキッカーとして決勝進出をもぎ取った時だろう。それについては別記事で。

選手入場、HAGL⑩コン・フォン、いつもの最後尾。ブラジル人助っ人選手より後ろにいて、味方のベトナム人選手たちとは分断される形になるので、コン・フォンが入場前整列時に選手同士でしゃべっている場面はあまりみたことがない。

全北現代、⑰邦本宜裕がスタメン。金髪なのでわかりやすい。

3分、センターライン付近の左サイドから、全北現代㉓キム・ジンス(金珍洙)がゴール前へライナー性のボール。⑦ハン・ギョウォンが頭で落として㉗ムン・ソンミンがシュート、クロスバーの上。しかしまぁ、キム・ジンスのボールが相変わらず良いことよ。カメラはボールに絡んだ3人ではなく⑨グスタボをやたら映してましたけど。

5分、HAGL⑥スァン・チュオン、中盤のなんでもない場面で相手選手に後ろから当たってファールを取られる。3日前、途中交代で出てきてフレッシュなはずなのに、アディショナルタイムに目の前でシュート打たれて失点して味方選手からえらい剣幕で怒鳴られていたスァン・チュオン。今日は気合を入れ直してます的な姿勢の表れですかね。

8分、全北現代㉓キム・ジンス、左サイドからシュート性のボールをゴール前へ。⑨グスタボもワンタッチを狙っていたようだが合わなかった。

11分、コーナーキック数 HAGL 0 : 2 全北現代
その後、全北現代のコーナーキック続く。右CKは⑰邦本が左足でニアへ。直接狙ったようにも見えるボール。HAGLのGK㉖トゥアン・リンがパンチして逃れる。

14分、ポゼッション HAGL 40 : 60 全北現代

15分、全北現代、FKから中央に展開、ボックス内にロビング、それをヘッドでゴール前に折り返すのを予測してHAGL③キム・ドンス(金東秀)がヘディングでコーナーに逃れる。HAGLのディフェンスラインはオフサイドを主張していたものの、キム・ドンスがボールの行方を予測して下がったのでオフサイドラインも下がっていた。

17分、全北現代、左CK。㉗ムン・ソンミンのヘディングシュート決まる。HAGL94マウリシオが今日もマークを外されております。

ムン・ソンミンは、3日前のアディショナルタイムでの劇的なゴールに続いて2点目。ぴょこぴょこ飛び跳ねるゴールセレブレーションが結構インパクト強い。

19分、HAGL⑥スァン・チュオン、ミドルシュート、大きくふかす。最近スァン・チュオンのミドルが当たっていない。

21分、HAGL⑰ヴァン・タイン、右サイドで持ち上がってクロス、⑧ミン・ヴォンがヘディングシュート、コーナーキックに。

27分、HAGL⑥スァン・チュオン、ゴール前で裏を狙った⑨ヴァン・トアンにタテ1本。久々のダイレクトプレーのトライ。前節あたりから、ヴァン・トアンがオフサイドにかかる頻度が減っていて、この場面でもしっかり裏を取っていた。ボールが精度に欠けて通らなかったのが残念。

俊足のヴァン・トアンは、いつもオフサイドラインぎりぎりの攻防で、私の印象では半分以上オフサイドになる感じだった。ところが、ACLでは日に日にオフサイドラインぎりぎりでの溜めが向上しているように思う。「どうせヴァン・トアンはオフサイド」「パスが通っても倒されて、ファールもらえればラッキー、ほとんどは不満顔で終わる」という印象から、相手に脅威を与える俊足に格上げしなければならない。「ストライカー」とまで言えるかはまだわからないが。

32分、HAGL⑧ミン・ヴォンからタテに長いボール、⑨ヴァン・トアンが追いついてクロス、ファーサイドで⑩コン・フォンがボレー、枠外。

ミン・ヴォンからタテに出た時点で㉚ワシントン・ブランダオがニアに走り込んでくれれば...。しかしブランダオにクイックな動きなど期待してはいけない。一応、ブランダオはゴール前で2人のDFを引き付けるという仕事をした。それはそれで重要な動きですけどね、味方を信頼して走り出していただきたいところ。

36分、そのブランダオ、個の力で中央から突破してシュート、GKに阻まれる。単発の攻撃。

44分、全北現代、ゴール前にロビング。HAGL③キム・ドンスが反応してラインを下げてオフサイドはなし。右サイドで⑦ホン・ズイが手を挙げてオフサイドを主張するも、全北現代⑦ハン・ギョウォンはオンサイド。結局、キム・ドンスが「カバーリング」してシュートを防いだが、さっきもこんなシーンあったよねという感じ。HAGLは、相手からのゴール前へのロビングの挙動に対して、オフサイドを取りにいくのか、マークで対応するのかが不明確。

前半はアディショナルタイムなし。

48分、HAGL⑦からゴール前へのボール、⑨ヴァン・トアンが走り込むもシュートならず。とはいえ、これまでならオフサイドにかかってガッカリという感じだったヴァン・トアンが、やはり「ぎりぎりかからない」ポジショニングをしていて好感。まぁ、点を獲れなければ同じことなんですけど。

54分、HAGL⑥スァン・チュオンから⑨ヴァン・トアンへのタテパス。ヴァン・トアンはボックスに入るかどうかという位置で倒されたようにも見えたがノーファール。ゲートを狙った良いボールで走り出しも良かったものの、ヴァン・トアンが軽量級でゴール前でよく転がるというところは変わっていない。
スァン・チュオンはこのプレーの後、㉞ヒュウ・フォックに交代。

56分、ファール数 HAGL 6 : 2 全北現代

61分、HAGL⑮ヒュウ・トアン、中央付近でボールを奪って持ち上がり、CB間のゲートに入った⑨ヴァン・トアンにスルーパス。相手DFに触られながらもシュートしてゴール。
オフサイドにもならず、倒されもせず、これまでの「どうせオフサイド」「どうせ倒れる」から脱却。今大会のヴァン・トアンはとてもよくやっている。

63分、全北現代㉓キム・ジンス、味方に当たったボールをそのまま流してCKを与えてしまう。暑さで判断ミスしたか。
こういうミスの後は、ゲームが動きやすい。「ホーム」のHAGLサポーターは俄然、盛り上がる。畳み込むことができるか。
残念ながら⑦ホン・ズイからのCKは、フリーの㉚ワシントン・ブランダオがヘディングシュートに失敗してチャンスが潰える。厳しい言い方をすれば、これがベトナムにいる助っ人外国人のクオリティか。

69分、全北現代⑬キム・ボギョンがレイトチャージでイエロー。プレーが切れて、倒されたHAGL㉞ヒュウ・フォック以外の選手は水分補給。

72分、コーナーキック数 HAGL 3 : 6 全北現代

73分、Shot on target HAGL 2 : 1 全北現代。本当かね?

81分、HAGL㉚ブランダオがアウト、若い60ヴォー・ディン・ラムがイン。妥当。

82分、HAGL⑨ヴァン・トアン、ボックス内に進入しかけて倒れる。これまたノーファールで、いつものよく倒れるヴァン・トアンという感じ。キャティサック監督もファールを主張していたが...。

87分、オフサイド数 HAGL 1 : 2 全北現代

アディショナルタイムは3分。

92分、HAGL⑨ヴァン・トアンがアウト、95ジェフェルソン・バイアーノがイン。時間を稼ぐ。

タイムアップ。HAGL、前々節のシドニーFC戦での1-1引き分けがフロックではないことを示しました。

何よりも、グループステージで断トツの最下位かと思われていたベトナムのクラブが、効果的に選手を入れ替えて短期決戦を戦う先進国のクラブを相手に、決して諦めることなく真剣勝負をして、あわやというところまで行っていることを称賛したい。
大会を軽視して大量得点差で負けるレベルの選手を送り込んだり、ゲームを途中で投げ出したりするようでは、タイトルの価値を毀損するし、アジアのサッカーのレベルが上がらない。クラブ、代表、サポーター、メディア、それぞれ、真剣勝負で自分たちが世界のサッカーの中でどういう位置にいるかを測って、経験を積まなければならない。その点、今回のHAGLの大会に臨む姿勢は素晴らしいと思う。

本日は以上。