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ルメールの冷静さが光ったレーベンスティールの快勝と春の実績馬が力を見せた3歳トライアルの振り返り(第72回神戸新聞杯・第70回オールカマー回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.09.22 16:30~からの文字起こしです。


第72回神戸新聞杯

くらみゆた:
中京芝2200で行われた菊花賞トライアルの神戸新聞杯。ホームストレッチの坂越えが2回ある非根幹距離という設定で菊花賞向けのスタミナを問われる舞台設定で、春の実績馬が上位を占める結果に。菊花賞に向けての力関係がわかりやすくなったレースとなりました。

レースは逃げるとみられたメイショウタバルはそれほど良いスタートではなく、内からジューンテイクインテグレイトが先行するも、1コーナー手前で強気にポジションを獲りに行ったメイショウタバルがハナに立つ展開。好位にジューンテイクインテグレイトゴージョニーゴー。その後ろに1番人気のメリオーレムと比較的人気馬が前につけた形で向こう正面に入りました。ハナをとるまでにだいぶ脚を使ったように見えたこともあってか、後続勢はあまり前を追い掛けない展開となったが、スピードメーターは常に60キロを切る程度のペースで前半を通過、前半は60秒フラット、特に600-1000を12.4-12.2で逃げられたことメイショウタバルは脚が溜まる展開。そのあとが特に良かったですね。じわっとペースを上げて12.0-11.8と刻んだことで、後続に差をつけた形で3,4コーナーに入ることが出来ました。一方で馬群は一塊となっていたことで、差し馬勢は外を回される展開。中京コースはここで外を回った馬は苦しいですね。結果的に逃げたメイショウタバルが最後は12.5とかかるもいっぱいいっぱいの逃げ切り。2着は2番手内でしっかり脚を溜めて伸びてきたジューンテイク、3着もずっと内ラチ沿い追走して、最後に外に出したショウナンラプンタとなりました。

勝ったメイショウタバルは日本ダービー取り消しの鬱憤を晴らす快勝。後半自分から動いての逃げ切りだったので内容は濃かったと思います。菊花賞でも同じ走りをするのであれば、かなり締まった流れのステイヤー決着になりそうで、非常にレースが楽しみになりました。ただ今回は全てが上手くいった感もあり、菊花賞で同じような残し方ができるかは、枠順含めて展開をよく考えた方がよいと思います。2着のジューンテイクはしっかりポジションを獲りに行って、最後は届かないものの2着を確保。絶対に権利を獲る男となっている、藤岡佑介騎手らしい良い騎乗でした。こちらも春の実績馬。本番も内枠に入れればというところだと思います。

1番人気のメリオーレムは今日のメンバーには力負けという印象、春の実績馬とは差がありそうです。負けた中で次走注目はしつこいようですが、毎回コメントしているようですがミスタージーティー。比較的ポジションを獲れたのですが、何故か3コーナーから早めに捲っていくという謎の競馬で最後は脚をなくして10着。今回は仕上がりもイマイチだっただけに、本番で内枠を引いて乗り替わりがあれば、ヒモにはいれたいなと思いました。

第70回オールカマー

こひ:
中山芝2200mという舞台設定で、さあ東京の天皇賞というよりは、その先の目標も含めてこの舞台にマッチする馬が揃う印象のレースです。今年はちょうど一年前の同条件、セントライト記念で強いパフォーマンスを見せたレーベンスティールが堂々参戦。ステラヴェローチェキラーアビリティサリエラといったG1路線組に、サヴォーナミクソロジーとなかなか面白いメンバーが揃った印象でした。

夏競馬ですっかり人気薄の逃げ馬としての地位を確立したアウスヴァールがスムーズに先手、リカンカブールが二番手に収まり、やや首を上げつつレーベンスティールは三番手につけます。その後の1~2コーナーでレーベンスティールの外からサヴォーナがポジションを上げ、内からはサリエラ、そして外にはステラヴェローチェがピタリとつけて、道中は人気各馬によるレーベンスティール包囲網のような形に。ラップは残り1000mから緩やかに加速する、アウスヴァール鞍上の田辺らしからぬ流れで進んでいきます。3コーナーからややサリエラの手応えが悪くなり、ステラヴェローチェサヴォーナの外に出していったところで直線。レーベンスティールルメールサヴォーナの外には出せないと判断してか内を選択、サリエラがばてた最内へ入れますが、今度は外からリカンカブールも少し内によれて進路はなし。それでもリカンカブールの脚色が衰えると信じて待って、少しだけ横から押してポジションを確保してアウスヴァールの外の進路を確保、あとは少しだけ追ったところで前を捉え切りました。

ルメールジョッキーの手綱さばきが凄かったですね。並のジョッキーであれば4コーナーで強引に外へ運んだり、直線で外に出すために制裁をもらう形になっていたりしていたと思います。それを開けば勝てると信じて待てるだけ待って、進路を作る時の動きも最低限と、まさにルメールの技術が詰まった騎乗だったと思います。1.5倍の馬でこの騎乗ができる胆力には驚かされます。

馬も道中周囲の馬がうまく風よけになっていた側面もあってか、ほぼ追うこともなく完勝といった形になり、このメンバーでは抜けた力は示しました。ペースが緩くても我慢でき、馬群の中でも辛抱できてと、競争馬として1つ上のレベルに完成しつつあると思わされましたね。この内容であれば、天皇賞の相手でも勝負になるのではないでしょうか。鞍上の兼ね合いもありますが、血統背景もありファンも多い馬。価値の一番高いレースを取りに行ってほしいです。

他は今の中山の馬場状態や風も含めた傾向をよく読んだアウスヴァール/田辺リカンカブール/津村の両ジョッキーは良い騎乗だったと思います。レースとしては、勝ち馬が抜けていたという評価で良いと思います。

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