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砂の素質馬が堂々と重賞勝利(第29回プロキオンS・第60回七夕賞回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.07.07 16:30~からの文字起こしです。


第29回プロキオンS

蒼山サグ:
プロキオンステークスの回顧からお願いいたしましょう。こひさん、よろしくお願いいたします。

こひ:
はい。ではプロキオンステークスの回顧に入らせていただきます。時折開催カレンダーがずれることによって現れる小倉ダート1700mという特殊条件の重賞に今年はなりました。本来の条件の中京ダート1400mとはまるで異なる舞台設定ですので、プロキオンステークスというよりはメンバーが揃った小倉のオープン特別くらいの捉え方の方がいいかもしれません。今年は4戦4勝で、ちょうど小倉の新馬戦から連勝が始まったヤマニンウルスが満を持してオープン初勝利戦という形になりまして、断然の一番人気になったというレースでした。

レースはスタートから絶対に行きたいブルーサンに突っ張るバスラットレオンレガーメペスカというところが絡みまして、だいたい予想通りの形でのハイペースになったかと思います。そこから10秒5-11秒1とかなり速いラップが続きましたが、これを非常にスムーズに外から4番手にヤマニンウルスがつけていったという形でした。そこからも道中緩むことなくレースは進みますが、3番手を非常に伸び伸びと追走していくような走りでした。軽く仕掛けただけで四角先頭という状態。そこからのコーナリングですね。小回りのところ若干気にはなっていたんですが、そこもスムーズで直線の入り口ではすでにセーフティリードに近い形という状態。最後まで全力で追った感じもないまま3馬身差のゴールというのは圧巻でした。さらに2着の中団からうまく運んだスレイマンや4着のハピも含めまして、割と実力は出し切った、そんなレースだったかと思います。そんな中、ハイペースを前で追走して押し切る競馬というのを見せられてしまうと、今回のメンバーの中では実力が1枚も2枚も上だったという印象です。

このヤマニンウルスですが、個人的には結構先行争いが激化しそうでペースが上がりそう、かつ小回り条件であるこのレースについては、ペース経験的にもコース形態的にも取りこぼすとしたらここなんじゃないのかなと正直思っていましたが、鮮やかに全部に対応して全く危なげないレース運びで勝つというところも見せられてしまいますと、G1級まで駆け抜けていってしまいそうな、それぐらいのインパクトのあるレースでした。なかなか体質的、馬格的にも使い込めない、かつ目標を定めにくいタイプで、まだ今回5戦5勝で初めてG3という形なので賞金があまり積めていないというところもあります。次がどこになるかわからないんですが、G2、G3級であればあまりに負ける想定ができない、そういったレベルのインパクトのあるレースでした。やはり今回のレースは本当に周囲の期待に対して内容もしっかり伴ったと思いますし、レース後の武豊騎手のインタビューからも期待感を隠すことがないコメントになっているなというところを思わされまして、信頼や自信というものを感じさせられました。

2着のスレイマンはもうやれることはやったんですけれど、勝てる条件が揃ったレースでしたが、相手が悪かったという印象です。4着のハピも外のぶん回しながらよく伸びていました。最後3着にマリオロードが来ましたが、この馬は4コーナーで待ったのか、たまたま行き場がなかったのか一呼吸置いたところが良くて、間をさばいて突っ込むという形で、結果的に松山騎手はうまく乗れたような形になったという印象でした。

蒼山サグ:
ゆたさんの方からコメントございますでしょうか。

ゆた:
はい。ヤマニンウルスは584kgなので大きいのもなかなか調整は難しいと思うんですけれども、ぜひこの後うまく使いながら、1回ぐらい海外に行くところを見たいなと思ったところですね。あとは、一口でダートのデカ馬を持っているので、デカ馬が勝つとちょっと気持ちがホッとするところがあります(苦笑)。


第60回七夕賞

蒼山サグ:
続きまして、福島で行われました七夕賞の回顧に移りましょう。こちらはゆたさんの方からよろしくお願いいたします。

くらみゆた:
7月7日というところでカレンダー的にはドンピシャになりました七夕賞ですが、先週のラジオNIKKEI賞とは違って、同じハンデ戦でも芝2000mで行われるkとおで、血統的には王道路線の馬が来やすいレースになっています。今年も終わってみると、ちょっと今となると古さを感じるところも徐々に出てきているもののディープインパクト産駒とキングカメハメハ産駒のワンツーという形になりました。来年以降になってくると、この辺の血統もさらに減ってくると思うので、来年ここで勝つような王道路線の産駒というのがどういう血統になるのか、ちょっと気になるなと思ったところです。

レースを振り返りますと、スタートから逃げたのはバビットですね。2番手にセイウンプラチナボーンディスウェイが続くという形で、逃げたい馬がいる中で予想通りというか、結構前がやり合うという形で積極的な競馬でペースが流れました。飛ばしたバビットの後ろにノッキングポイントフェーングロッテンが続いて、そこからさらに離れて人気馬レッドラディエンスキングズパレスリフレーミング、他の人気勢が固まる形となっています。前半の1000mは逃げたバビットが57.3秒なんですけれども、後方勢レッドラディエンスあたりはそこからちょっと離れている追走というところで、多分59.5秒ぐらいの通過という形になりました。無理のないペースでの追走になったのかなと思います。逃げたバビット、これだけのペースで逃げた割に再度残り800から加速するような形を見せましたので、ガス欠という形になっています。残り600あたりで後続がグッと詰まって、あとは一気の末脚勝負という形になりました。4コーナーから外に出したレッドラディエンスが素晴らしい脚を使っての差し切り。一緒に伸びてきたキングズパレスが2着、少し前から仕掛けていたノッキングポイントが3着という形になっています。

勝ったレッドラディエンスですね、前半1000mは59.5秒ぐらいというところで、後半は多分58.4秒ぐらい。ラストの3ハロンが上がり34.9秒でまとめています。キレッキレッという馬ではなく、ちょっと勝ち味に遅いところはあります。ただ今回に関して言うと、1枠でしっかり脚を出して脚を溜められたというところと、前が結構流れたところでその恩恵にも預かれた。あとはやはりこのペースをうまく使える馬が前にいなかったというところもありましたので、その辺もバッチリハマっての勝利という形になりました。藤沢厩舎からの転厩馬というところで大事に使われてきたことが、ここで花開いた形になっています。今後勝ち切るには、福島が向いているという感じでもありませんし、馬場が悪くなっていいというわけでもないので、次に勝ち切るというところまでいくと、どこかなというのはイメージしづらいのですが、G3レベルなら大崩れはしないのではないかと思います。

2着のキングズパレス。今日はレッドラディエンスの方が、終始ポジションも良く、レース中の手応えも上だったという印象です。今日は勝ち目はなかったのかなと感じました。3着のノッキングポイントは、この距離が向いているわけではないと思うのですが、やはり夏馬なのかなという印象です。この後また新潟記念に出てくるようでしたら楽しみになると思いました。以上になります。ありがとうございました。

蒼山サグ:こひさんの方からコメントはございますでしょうか。

こひ:ゆたさんからの回顧にもありましたように、ペースが流れていくような展開になったレースでしたね。私自身はどちらかというと先週のラジオNIKKEI賞と同じようなパターンで、ある程度ロスなく回って溜めてくれそうな馬というところでダンディズムボーンディスウェイをセレクトしたら、両者が前に行って、しかも勢いよく残り800mくらいのペースアップに貢献するような動きを見せられて、頭を抱えていました。今日福島の中にいた戸崎騎手は4勝しながら馬券圏外になったのも1回という形で大暴れしていまして、このようなローカル開催の形の騎手編成になると、やはり戸崎騎手は1つ抜けているのかもしれないというところを、改めて結果を見て思わされました。以上です。

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