2023年第64回宝塚記念回顧
第64回宝塚記念
蒼山サグ(以下、蒼):本日行われました宝塚記念の振り返りの方をお願いしたいと思います。こちらまずでは、ゆたさんからお願いします。よろしくお願いします。
くらみゆた(以下、ゆ):宝塚記念は皆さんご存知の通り、最終週の阪神芝2200の内回り非根幹距離のレースということがありますので、単純に強い馬が勝つというよりはコーナーでの加速力だったり、短い直線でスパッと切れる馬が勝つレースというところです。で、こういうレースで横綱のイクイノックスに対して天皇賞春組がどう挑んでくるかというようなレースだったと思うんですけど、まあとにかく馬場もコースも関係ないという強さでイクイノックスの強さが目立ったレースだったと思います。
まずはレースの方を振り返りますと、予想通りユニコーンライオンが先手を主張する形でドゥラエレーデ、ブレークアップあたりが絡んでいくという展開でした。内枠だったのでイクイノックスがどう乗るのかというところ、前走逃げているというところもありましたので、場合によってはスタートが良ければ前に行くという可能性もあったかとは思うんですけれども、ルメールが選んだのは後方待機でしたという競馬でした。(今日の)馬場を見ると内は良くて真ん中から外にかけてはそんな良くない、大外だけいいよみたいな馬場だったと思うんですけれども。まあもうこうなったら一番安全なのは大外だろうというのを最初からも選んだレースだったのかなと思います。ドバイとは逆の形ですけれども、本当に馬の能力を絶対的に信頼して、邪魔さえされなければ勝てるよというのが伝わってくる最初の位置取りだったかなと。
向こう正面入ってからは、すんなりと隊列が決まったので、ペースはそこそこ落ち着いてきたのかなと思います。12秒6、12秒3、12秒4、12秒5という流れでしたので、もちろんパワー、力のかかる馬場でしたのでドスローとまだ言わないですけども、このメンバーであれば普通に走り切れるペースだったのかなと。そういう中で馬群がちょっとそこそこ縦長だったので、どういう形になるのかなと思ったんですけれども、3コーナー手前で最初に目立つ動きをしたのがジェラルディーナの武豊でした。イクイノックスが後ろに控えていますし、ヨーイドンでは勝てないだろうと、あとはちょっと動いた瞬間に思ったのはダービーの時に武豊が動かなくて負けたことを後悔したコメントを残していたので、そういう競馬を2度連続ではしたくないというふうに思ったのかなというちょっと邪推じゃないですけど、考えたのではと思ったところはありました。
この結果として、後半の上がり4ハロンの末脚勝負という形で宝塚記念らしいペースになってきたという形。ジェラルディーナが動いたことで、後続でどうなるかなというところでしたが、ジャスティンパレスはもうここから(必死に)追いかけていくような動きだったんですけど、イクイノックスは全然余裕というか、先に動いてくれたことで走りやすくなったというような感じで。本当に4コーナー大外馬なりで上がってきて、直線で馬場の良い大外を確保したら、本当に一瞬で、ジャスティンパレスも追ってたんですけど、スッと追い抜いて、あっという間に先団にとりついて、ジェラルディーナも抵抗してたんですけど、余裕の競馬。スルーセブンシーズも最後差してきましたけれども、着差以上の強さで完勝という競馬でした。
勝ったイクイノックスは、とにかくこのメンバーで2枚ぐらい上という王者の競馬だったと思います。レース前の枠順から考えてどういう競馬するかなとか色々考えたんですけど、もう多分ルメール騎手は最初から安全運転で走れば負けないと考えていたのかなと思います。一方で、今日ジェラルディーナが先に動いて、かなりスムーズにルメール騎手がやりたい競馬ができたという中でも、もちろん着差以上に強いんですけど、クビ差に留まったということを考えると、本質的にはこのコース向いてないのかなと。それでもこの競馬でそれなりに勝てちゃうというレース結果だったかなと思いますので、凱旋門賞に行かずに秋はやっぱり府中で強いパフォーマンスを見せてくれるというのが馬のためにもなるのかなと改めて思ったレースぶりでした。
2着のスルーセブンシーズ、これはイクイノックスの後ろで本当に注文通りの競馬。イクイノックスに次いで、もしかしたらそれ以上に一番良いポジションで競馬ができた馬だったのかなと。直線も伸びかかったところで、進路がなくなっちゃってブレーキかかってしまったというところはあったので、ちょっともったいない競馬だったんですけれども、本当によくドリームジャーニーというか、池添騎手というか宝塚記念で何度もこういう姿を見たな!みたいな末脚で、伸びてきたのかなと思います。ただ、最初から狙ってたところが空いたとしても、イクイノックスとの併せ馬になりそうで、イクイノックスもおいでおいでをしているような競馬でしたから、ちょっと勝てるまではなかったかなと。イクイノックスに並ばれてメンタル潰されるよりはいい競馬だったのかもしれないと、改めてみると思った次第です。この後の進路がまだ発表されてないんですけれども、凱旋門賞に向かってほしいですし、凱旋門賞トレーナー、オゼキングの誕生に期待したいと思います。
3着ジャスティンパレスはもう本当にステイヤーっていう感じで、追って追って頑張って伸びて、加速にも時間がかかって何とか3着という競馬だったので、これはやはり京都が向いてるんだなと改めて思いましたし、前走きっちり勝たせているルメール偉いなというふうに改めて思いました。ジェラルディーナに関しては4着ということで、これはもう控えていれば、もちろん2着あったかもしれないですけど、勝ちにいく競馬だったので仕方ないと思います。ジョッキーは武豊ですけれども(笑)、グラスワンダー魂を感じる良い競馬だったと思います。あとは5着のディープボンドは、ペースがもっと速くてズブズブになればもうちょっとチャンスあったかもしれないですけど、ただやっぱりそんな競馬にはなかなかならないものなので善戦マンで留まってしまうのがよくわかる競馬だったのかなというふうに思いました。全体としては以上になります。ありがとうございました。
蒼:それでは続きましてこひさんの方から補足の後ございましたら、よろしくお願いします。
こひ(以下、こ):今ちょうどお話ありました。まずディープボンドから触れたいなと思うんですが、この馬、改めてパトロールを見てますと、まず序盤のポジションを話すと、今回のレース中盤はたるんだんですけれど、初めの3ハロンは結構速くてみんなポジション争いをしていたレースでして、(ディープボンドは)押しても押しても前に行けないという状態からコーナーの手前ぐらいから完全にパッキングされてしまいまして、もう隊列が落ち着いた後はずっとジオグリフが外に張り付いていて、物理的に動けないみたいな状態。もう鞍上が良さを出しに行こうにも打つ手なしみたいな状況に見えまして、非常に可哀想な競馬だったなというふうに思います。
また、その前1コーナー周りが結構前がごちゃついていて、ダノンザキッドですとか結構接触ですとかしているようなケースも見られたかなと思いますが、改めて見てみるとイクイノックスがよくあそこでちゃんと下げたなというのをすごく思いますね。1コーナー入る前には前も左も右も全部馬がいて、もう自分で身動き取れない状態になってまして、その時にやっぱり素直に下げて、下げても大丈夫という先ほど、ゆたさんのコメントにもありました圧倒的な信頼感ですね。そういったところで今日ここまでのレースが前残りばっかりが続いていた状態でも、囲まれたらすっと下げるという判断がスムーズにできて、結果的には何もロスなく運べるというところやはりこの辺りが鞍上の肝の座りっぷりというものをすごく感じました。
あと直線ですね。こちらも、ゆたさんのコメントもありましたスルーセブンシーズの前が詰まっちゃったところ。私の馬券的にはイクイノックスから人気薄を狙っていたので、その中で直線入った時に可能性ありそうなのがスルーセブンシーズしかおらず、よく見てたんですが、ジャスティンパレスとジオグリフの間を狙って詰まって内に切り替えてドリームジャーニーらしいの小脚を使って斬れてくるというような内容だったかなと思います。詰まったところなんですが、その手前ですね。ジャスティンパレスの鮫島騎手がもともとイクイノックスが外から来た後に右ムチでイクイノックスに併せに行こうとしてました。そこで途中で右ムチを落としてしまうんですよね。そこからジャスティンパレスが本来であれば右ムチを入れて左に行って合わせに行きたいんですけれど、結局ムチがないので右の方に行ってしまったと、その動きでスルーセブンシーズの進路が閉店してしまったというような動きでありまして。これ(池添騎手が)見てたかは全くわからないんですが、もし鮫島騎手の右ムチを見てあそこを狙うという進路取りをしていたのであれば、すごくファインプレーな進路取りでありまして。そこからムチを落とすということにより、そこが閉まってしまうのはご愁傷様だなというしかないなというようなところでした。イクイノックスの勢いが速くてびっくりしたのかわからないですが、ムチを落としたこと一つでスルーセブンシーズの道が閉まっていくピタゴラスタッチみたいなものを感じたのが面白いところでした。パトロールの4コーナーから直線入るところを見ていただきますと、ムチが飛んでいるところも含めてよく見れますので、是非ご覧になってください。とはいえ、ちょっと進路があって、間を抜けたとしても、その位置を抜けましたらジャスティンパレスがイクイノックスに併せに行こうとしていたところのルートなので、多分そこを突き抜けるとスルーセブンシーズが内からイクイノックスに併せに行くという形になっていたと思います。今回イクイノックスは最後直線本当に残り100か150で一発ムチ入れるだけなんですよね。そのあたり見ていましてもイクイノックスに火をつけるだけになっていて、ちょっと勝ち切れたまでのイメージは湧かないなというのは改めて見ていても思ったところです。
とはいえ、このスルーセブンシーズという馬。もともとはキャロットの募集時からものすごく見栄えの良い馬で、確かキャロット出資時の最優先じゃないと獲れない、このお値段のドリームジャーニー牝馬でありながら買えないみたいなかなり人気をしていた馬だった記憶がありまして。その時に私こんなドリームジャーニー他にいないだろうみたいな話をしていた気がするんですが、やっぱりそれぐらいの馬でしたね。ぜひ凱旋門賞にチャレンジしてほしいなと思います。
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