(質問)スピッツ内に血液を入れる時、溶血しない方法をどう伝えようかと迷っています
血算セミナーの受講者様より、ご質問をいただきました。
採血実習の際、スピッツ内に血液を入れる時、溶血しない方法をどう伝えようかと迷っています。
教科書では翼状針などで直接スピッツに刺して注入すると書かれています。
しかし経験上、針のゲージが23や24とかだと溶血する事が多かったので、態々針を替えたり、スピッツのキャップを外したりしていました。
技師さん方はどんなふうにされているのか、教えていただけませんでしょうか?
採血は痛みを伴う検査です。
できることなら1回で、痛みも少なく採血をしたい!
そう思いますよね?
しかし、採血が困難な場合も多々あります。
やっと採血ができた!と思っていても、
「溶血してます。取り直してください」
という連絡が検査室から入ると、、、、
もう、悲しすぎますよね。。。
なぜ溶血がダメなのか?
溶血とは「赤血球が壊れてしまっている状態」です。
赤血球細胞の中には、血清よりも多く含まれている成分があります。
カリウム(K)、LDH、AST(GOT)、ALT(GPT)、鉄(Fe)など
だから溶血した採血では、本来の値よりこれらの項目が高値になります。
また溶血が原因で低値を示す項目もあります。
ACTH、BNPなど
溶血の原因と対策
溶血してしまいやすいポイントは3つです。
①細い針を使う
②(規定量が取れず)陰圧がかかったままの状態
③押し込む、激しく撹拌
①細い針を使う
細い針での採血では、採血時に圧がかかり血球が壊れやすくなります。
採血で使用する針のゲージ(G)は、推奨21〜22G、使っても23Gまでです。
②(規定量が取れず)陰圧がかかったままの状態
採血スピッツの中は陰圧になっていて、規定量まで血液が入る仕組みになっています。
規定量まで採血量を取れなった(入らなかった)場合、圧がかかったままの状態では血球が壊れてしまいます。
規定量が取れなかった場合は、採血スピッツの蓋を外し圧を抜いてください。
蓋を外した状態で分注する場合は、強く押し込み過ぎないように分注します。
③押し込む、激しく撹拌
シリンジを強く押し分注すると血球は壊れます。
採血スピッツの中は陰圧なので、ほっておいてもシャーっと血液が入っていきます。採血スピッツに線が入っているものは、最後に少しだけ押し規定の線まで血液を入れます。
採血スピッツには検査の項目に合わせて抗凝固剤や凝固促進剤、解糖阻止剤が入っています。分注後はしっかり転倒混和をしましょう!(だからって、激しく振るのはNGですよ)
採血業務をはじめて感じたこと
まえたは、外来・病棟で採血業務を行っています。
検査技師が採血業務に携わるようになり、「あ、そういえば、、、」と感じたことがあります。
それは「採血の取り直しが減った」ということ。
まえたの考察として、
・検体の適切な取り扱い方を知っている
・必要最低限の採血量を判断できる
この2点に関しては、特に検査技師の存在意義は大きいです。
採血の手技はもちろんですが、その後の取り扱い方を間違えると検査ができないということも起こり得ますからね。
質問下さったSさん、ありがとうございました。
今後の指導に是非役立てて下さい。
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まえた さちこ プロフィール
臨床検査技師、2児のママ。心電図検定1級。
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