[ここでしか明かさない秘密]シークレットと印刷の話
新潮文庫nex7周年フェア「推せる!新潮文庫nex」がはじまって、2週間強。
たくさんの反響やSNSの投稿を見て、喜んでいます。
もはや仕事の糧にしています。宣伝担当です。
というわけで、購入していただいた方、フェアに参加してくださっている書店さん、SNSに「#推せる新潮文庫nex」で投稿してくださっている皆様、本当にどうもありがとうございます。改めて心より感謝申し上げます。
“推し”のしおりを手に入れるために奔走してくださった方や、しおりをきっかけに新しい作品と出会った方、そして(ひっそりと心の片隅で願っていた)12種類コンプしてくださった方も現れて、喜びと驚きが同時に押し寄せています。
日々、いろいろなワードを駆使して、SNSで探しまくっています。
#エゴサはルーティン
文学YouTuberのベルさん(@belle_youtube)もこんな動画をあげてくださいました。
こちらからは一切、内容に関してのお願いはしていないのにも関わらず、フェアの楽しみ方から対象書籍の内容紹介、そして最高の「開封の儀」まであり、素晴らしすぎる内容だったので、嬉しすぎてほくほくしました。YouTubeを見てほくほくしたのは、初めての経験です。
本当に素晴らしい内容なので、ぜひ一度ご覧になってみてください。
そんなベルさんの動画の中でも紹介された
トレーディングしおりの「シークレット」について、遂にここで明かします。
情報解禁の許しが出たので、とことん紹介していきたいと思います。
トレーディングしおりシークレットは
『龍ノ国幻想1 神欺く皇子』
「推せる!!新潮文庫nex」トレーディングしおりのシークレット枠は
三川みりさんの『龍ノ国幻想1 神欺く皇子』でした!
新潮社が自信を持ってお贈りする新シリーズ。
壮大なる令和のファンタジー「龍ノ国幻想」ですが、発売一週間で大増刷が決まりました!
しおりの企画や制作は、この作品の発売日よりもずっと前ですが、
本当に素晴らしい作品なので、読めばきっとファンになるという確信のもと、トレーディングしおりのシークレット枠に大抜擢でした。
イラストレーター 千景さん(@chi_g0)の美しく繊細な絵が、しおりの上でも輝きを放っています。
シークレットって何が違うの?という部分ですが、実は印刷の工程や方法がその他のものと比べて、全く違います。
ここからは、少しマニアックなしおりの特殊印刷について、お話をしていきたいと思います。
トレーディングしおりの印刷の話
まず前回の記事でも書きましたが、
ノーマルのしおりの印刷についておさらいです。
ノーマルしおりは、オフセット4C+特色1C(蛍光ピンク)の印刷です。
そこにPP加工という表面を保護するコーティング加工をしています。
ちなみにPPとは「ポリプロピレン」の略称です。
レアしおりは、印刷まではノーマルと同じ仕様で、最後のコーティングをPPではなく、LCラミコートで加工しています。
表面にUVニスを塗布し、乾燥前に全面をフィルム圧着し、UV照射で硬化させてからフィルムを剥がします。フィルムにも種類がたくさんあり、キラキラの柄を選ぶことができるのです。
というのが、ノーマルとレアしおりの印刷についてでした。
以上を踏まえて、ここからはシークレットしおりの印刷のこだわりについて説明をしていきます。
シークレットは11色印刷!?
まずは何と言っても、色数が違います。
シークレットしおりはなんと「11色!」分のインクを使っているのです。
11色というと少しだけ語弊があるのですが、ここには透明インクも含まれています。
まずは通常の絵柄用にプロセス4色。その絵をはっきり見せたい部分に白インク。そして、それらとは別に透明だけどエンボス風(触ると凸凹と盛り上がっている)に見せたいところに透明インクを6度刷りしています。最後にPP加工です。
通常の絵柄が、ノーマルやレアと違ってなぜ4色なのか?は、龍ノ国幻想のカバーに秘密があります。このカバーには蛍光ピンクが入っておらず、4色印刷なのです。
新たな秘密は、また次回以降の記事に持ち越し。近々、編集担当者の記事が上がると思うので、お楽しみに!(下打ち合わせなしで、勝手にバトンを投げています)
しおりは4色ですが、デジタル印刷なのでオフセットよりも発色が良く、とても綺麗です。
DHPスペシャリティーズNo.714 256kgというホログラム紙を使い、人物の絵柄には白インクでベースをひき、そのうえに4色印刷。さらにそこに重ねて、透明インクの隆起印刷をしています。
こんな感じで、印刷の組み合わせパターンを何種類も校正出しをしてもらい、それぞれのインクの出方を比べていきます。とても細かい作業ですが、イラストレーター さんの書いたキャラクターが一番美しく見える組み合わせを見つけるのです。
既にシークレットを当てられて、お手元にある方は是非触ってみてください。
背景にいる龍とはまた別の龍が透明インクで描かれています。
角度を変えることで、よりはっきりとその存在を認識できるかと思います。
透明インクだけでなく、ホログラム紙の表情も角度によって変わります。
全てのインクを合わせると11色。
その11Cを 、一旦ブランケット上に重ね、印刷媒体には一度で転写するワンショット方式で印刷を行いました。これは11色分の版ズレを出来る限り抑えるためです。
さらにさらに細かい仕様を書くと、
デジタル印刷機:ヒューレットパッカード社 Indigo7600で
4C+ホワイト+透明インキ×6の隆起印刷をしている
といったところです。
ここまでくると、印刷に興味のない方は一体何の話をしているんだ、となってしまうかもしれません。
でも、とにかくこだわりを持って作ったんだなぁとか、何となく凄そうだなと思っていただければ、それだけで嬉しいです。
こんなに長々と専門的すぎることを書き連ねてきましたが、結局は実物を手にとらないと伝わらないことばかりです。
本も同じで、電子書籍は素晴らしいし、とっても便利だけど、紙の本を触ってみないと分からない感触や質感もあります。
どちらにも良さがあるので、個人的にはその本の性質で、紙と電子どちらで購入するか分けています。
という訳で、今回のしおりは実物を手にとって触って欲しい方のタイプなので、シークレットを未入手の方、ぜひ狙ってみてください。
「推せる!!新潮文庫nex」フェア対象店で、新潮文庫nexの本を買えば、しおりが一つもらえます(ランダム封入)。
おかげさまで、しおりの配布が終了してしまっている書店さんもあるようなので、購入前には必ずご確認をしてください。
それでは、引き続き7周年フェアをよろしくお願いいたします。
▼新潮文庫nex HP
https://www.shinchobunko-nex.jp/special/2021.html
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