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小さな差に気づく

尺八で甲音(かんおん:乙音から一オクターブ高い音。運指は同じで吹き方だけで乙音と切り替えて出す)がなかなか出すことができず迷走したという話をします。

乙音は普通に出る。しかし、甲音は出ない。何かが違うはず。だから、乙音の吹き方とは何かを変えなくてはならない。しかし出ない。だから、どんどん大きく変えていこうとする。変えないと出ないのだから出ないってことは変え度合いが足りないってこと。自然な思考ではあるこの思考。

しかし、これが結果的に招いたのは大きく変えたことによって乙音も出なくなってしまうという症状でした。なんという皮肉でしょう。

元々、乙音を出そうとして偶然甲音が出ることは度々ありました。つまり、乙と甲の差はそれほど微妙な差であるということですし、同時にすでに出ている音であるということです。

無意識であれ既に行なっていることのうちに正解がある。

新しくこれまでにない何かが必要なのではなく、既にあるものの内で小さな違いに気づくことで出来るようになることがあるということ。

足し算(積分)ではなく引き算(微分)が正解ということ。

「もっともっと」に囚われると見えなくなることがあることを尺八から教わっています(ちなみに合気道でも似たようなことは結構あります)。

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