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ガソリン補助金で対立を煽る?!

大手メディアの報道を基に議論をすると、大事な論点が忘れ去られてしまう、という点を危惧して、この記事を書きました。

ポイント
1.ガソリン補助金の効果
2.数字による印象操作
3.与党批判偏重の残念さ

1.ガソリン補助金の効果

報道(*1)によりますと、政府が実施したガソリン補助金は、給油所の45%でしか全額反映されず、110億円分がガソリン価格抑制には使われなかった、とされています。

(*1) 給油所、「全額反映」45%止まり 110億円分抑制せず―ガソリン補助金調査:時事ドットコム

これを受けて、日本維新の会の馬場代表は以下のようにツイートされています。

そうなるでしょうね。 だから我が党が主張している暫定税率を廃止すべきだと思います‼️ https://t.co/B4MiZrLvFA」 / Twitter

僕も、ガソリンの暫定税率廃止には賛成です。しかし、ガソリン補助金の実施状況を、マスコミの記事をベースにして、云々するのは、いかがなものでしょうか。

一次情報である財務省の調査結果(*2)を参照しておきましょう。

(*2) 令和4年度 予算執行調査の結果を公表します(10月公表分) : 財務省
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2022/sy0410/0410b.html

ガソリン価格をそれなりに下押しし、補助金の予算額の多くをガソリン価格の下押しに使っていることが分かります。(下図1,2を参照。出典:(*2))

図表1:出典(*2)
図表2:出典(*2)

上の図1を見ると、ガソリン価格は、補助金がなければ210円ほどだったところが、補助金により、170円程度に価格抑制されていた、ということが分かります。
図2を見ると、3~7月合計の 5,577億円のうち、110億円がガソリン価格抑制に使われなかった金額であり、それは補助金支給額の約1.98%相当であることが分かります。

2.数字による印象操作

上述の時事通信社の報道(*1)によると、補助金の全額反映が45%となっていたため、半分以上の給油所が補助金を全額反映していないのか!けしからん!!!と思いますよね。
しかしながら、先ほど確認した財務省の調査結果を見ると、
支給された補助金の98%以上が、ガソリン価格の抑制に使われています

図表3:出典(*2)

僕は、これらの結果をうけて、給油所の回答者は真面目で、1円でも価格抑制以外に使った場合は、「全額反映」と答えなかったのだろう、と思いました。
図表3の②③が合わせて、54.8%あっても、補助金支給額の98%が、ガソリン価格抑制に使われているのです。

補助金による価格抑制効果が充分か否か、といった議論は残りますが、以下の記事タイトルに、強く引っ張られてしまうと、残念な議論しか出来ないでしょう。

給油所、「全額反映」45%止まり 110億円分抑制せず―ガソリン補助金調査

出典(*1)

以下の図は、財務省の調査結果を基に、僕が作成しました。
左が、大手メディアの時事通信社のタイトルを基にしています。
右が、補助金支給額の5,577億円のうち、110億円以外は価格抑制に使われている、という財務省の調査結果を基にしています。
随分と、印象が変わりますよね。

図表4:出典*2を基に筆者作成

3.与党批判偏重の残念さ

野党第一党、政権与党を担うことを目指す政党や、政治家の方であれば、政権与党に対する印象操作ではなく、国民の生命・財産・安全における問題点の提示と、それへの対応策の提案にこそ、力を入れて欲しいものです。

残念な印象操作を大手メディアとコラボして行う残念な野党、政治家は、おなかいっぱいなので。

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