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『孟子』告子下197ー孟子の言葉(71)三王の罪人〈1〉三王の罪人

◆全訳はこちら↓

孟子は言った。

「五覇(ごは)は、三王(さんおう)の罪人である。
現在の諸侯は、五覇の罪人である。
今の大夫は、今における諸侯の罪人である。」

*三王は、夏王朝の禹、殷の湯王、周の文王を指します。
*五覇とは、春秋時代に武力によって覇権を打ち立てた五人の人物を指します。

ちなみに、『孟子』の本文に、五覇が誰であったのかという説明はありません。
本訳が参考にしている趙岐(ちょうき)の注釈は、以下の五名をあげています。

斉の桓公(かんこう)
晋の文公(ぶんこう)
秦の穆公(ぼくこう)
宋の襄公(じょうこう)
楚の荘王(そうおう)

ですが趙岐(二〇一年没)は、後漢時代の人です。はたして、これは孟子が想定した五覇なのでしょうか。この趙岐以外にも諸説ありますが、ほとんどは趙岐と同時期、あるいはそれ以降の説であることに変わりはありません。

さて、孟子と近い世代に、〈性悪説(せいあくせつ)〉を唱えた荀子(じゅんし)という人がいます。その言行録である『荀子』は、穆公と襄公をカウントせず、呉王の闔閭(こうりょ)、越王の勾践(こうせん)を五覇に数えています。

これはあくまで訳者の憶測ですが、春秋後期の実態を考えると、『孟子』の五覇は、『荀子』と同じなのではないかと思います。

*孟子の言葉はつづきます。

*以上、『孟子』告子下197ー孟子の言葉(71)三王の罪人〈1〉三王の罪人


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