『孟子』告子上174ー孟子の言葉(57)善悪は才能ではなしに

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孟子は言った。

「豊作の年は、若者に善人が多くなる。
そして、凶作の年になると、若者に暴力的な悪人が多くなる。

これは、天が人間に才能を与えた際、豊作の年と凶作の年とで異なる才能を与えた、というものではない。若者の心が転覆して溺れてしまうのは、自然なことなのだ。

今、大麦の種を蒔いて、それに土をかけたとしよう。
そして、その大地は同じであり、大麦を撒いた時期も同じであるとする。
すると、ムクムクと芽をだし、夏至の時期になると、どれも成熟するだろう。
ところが、その成熟具合は、どれも同じではないのである。
土地には肥えたものと痩せたものがあるし、雨のあたり具合や、人の手入れの仕方など、その後の条件が等しくなかったからである。

それ故に、おおよそ種類が同じものは、どれも似ているはずなのだ。どうして、ただ人間だけが、そうではないと疑うのか。
聖人も我々と同じ人類なのだ。だから龍子(りゅうし)は言っている。

〈足のことを知らないで、クツを作るとしよう。
いくらなんでも私だって、モッコでないことくらいはわかるよ。〉

クツがどれも似ているのは、天下の足がどれも同じようなものだからである。

*孟子の言葉はつづきます。

*以上、『孟子』告子上174ー孟子の言葉(57)善悪は才能ではなしに

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