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『孟子』11―梁恵王下―孟子と斉の宣王の対話(5)賢者の旅〈1〉

斉の宣王は、その離宮である雪宮で孟子とお会いした。
宣王は言った。

「賢者もやはり、この離宮のように素晴らしい別荘や邸宅を楽しむことはあるのかね」

孟子は答えて言った。

「あります。
では、どのように楽しむか。
人は、上の者が楽しんでいるのを見て、その楽しみにあずかることができないと、上の者を非難します。
なるほど、楽しみにあずかれないからと上の者を非難するとは、間違った行いです。ですが、民の上に立ちながら、民と楽しみをともにしない者も、やはり間違っているのです。

上に立つ者が、民の楽しみを楽しむ者である。
であれば、民も、やはり上の者と同じ楽しみを、楽しむものです。
上に立つものが、民の心配ごとを、心配する者である。
であれば、民も、やはり上の者と同じ心配ごとを心配するものです。

楽しいことは天下とともに、心配ごとも天下とともに。
そこまでして王者となれなかったものは、いまだにおりません。」

*以上、『孟子』11―梁恵王下―孟子と斉の宣王の対話(5)賢者の旅〈1〉

【原文】
齊宣王見孟子於雪宮。王曰。「賢者亦有此樂乎。」孟子對曰。「有。人不得、則非其上矣。不得而非其上者、非也。為民上而不與民同樂者、亦非也。樂民之樂者、民亦樂其樂。憂民之憂者、民亦憂其憂。樂以天下、憂以天下、然而不王者、未之有也。

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*ヘッダー画像:Wikipedia「孟子」
*ヘッダー題辞:©順淵



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