『孟子』告子上167ー孟子と告子の対話(1) 告子批判―杞柳に見る性と仁義

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*今回は、孟子と告子(こくし)の議論です。二人は、仁(じん)や義(ぎ)が、人間の〈性(せい)〉に含まれるかどうか、論争を繰り広げていました。
性とは、性質や素質です。
つまり、人間の優しさや、マナーを守ろうとする行為は、本能なのか、それとも後から与えられたものなのか、という議論です。

告子は言った。

「人間の〈性〉、つまり性質は…、
たとえば、それを、やわらかい杞柳(かわやなぎ)であるとしましょう。
であるならば、義は、木を丸めた工芸品ということになります。

さて、人間の性質にしたがって、仁義は行われます。
これは、つまり杞柳によって、木を丸めた工芸品を作るようなものなのです。」

孟子は言った。

「あなたは、杞柳の性質にしたがって、木を丸めた工芸品を作ったのですか。
それとも、杞柳の性質を無視して、木を丸めた工芸品を作ったのですか。

もし、杞柳の性質を無視して、工芸品を作るというのであれば、人間の性質を無視して、仁義を行うことができると、おっしゃるのですか。
なるほど、天下の人々を巻き込んで、仁義に禍(わざわい)をもたらす者がいるとすれば、きっと、あなたの御言葉でしょうね。」

*以上、『孟子』告子上167ー孟子と告子の対話(1) 告子批判―杞柳に見る性と仁義

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