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『孟子』告子下207ー孟子と陳臻の対話(2)君主に仕える作法

◆全訳はこちら↓

*今回は、弟子の陳臻(ちんしん)との対話です。ちなみに、陳子とは、陳臻のことです。

陳子は言った。

「古の君子は、どのようにして、君主にお仕えしたのでしょうか。」

孟子は言った。

「官職に就いたら三つ。そして、去る場合にも三つだ。

君主が、君子を出迎える際、敬意をはらい、礼にしたがっている。
そして君主がさらに、君子の言うことを将来、実行すると明言したならば、その君主のもとで官職に就く。
だが、君主の礼義正しさが続いたとしても、君子の発言が実行されないようであれば、直ちにその君主のもとを去らねばならない。

その次に、君主が、君子の言葉を実行すると明言しないまでも、君子を出迎える際に敬意をはらい、礼にしたがっているのであれば、その君主のもとで官職に就く。そして、君主の礼義正しさがいい加減になってきたら、その君主のもとを去る。

さて、最後に三つ目だ。
君子が朝は食にありつけず、夕べも食にありつけない。
そして、飢餓で家の戸口を出ることができないとしよう。
君主が、そのことを聞きつけてこのように言ったとする。

〈私は、大きいことについては、あなたの道を実行することができなかった。そのうえ、あなたの言葉に従うこともできないばかりか、私の領土で飢餓にくるしませてしまった…。
私は、こうなってしまって恥ずかしい。〉

そして、君子を救おうとしたならば、もちろん受け入れるべきだ。
死をまぬがれただけでもマシである。」

*以上、『孟子』告子下207ー孟子と陳臻の対話(2)君主に仕える作法

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