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それでもプライベートな共同性が打ち立てる「弱い倫理」よりも「強い倫理」は依然として必要で、そのためには共感によらない制度的な連帯が不可欠だ。制度的な連帯の維持のためにはナショナリズムを押し殺し、感情労働を受容しなければならない。
コミュニティ化の進展は社会という公共性の「壊れ」であり、現代人は「共感」を軸としたプライベートな共同性を築くようになった。そこへきて、文学という営みの媒介するプライベートな共同性が打ち立てる「倫理」は相対的にその役割を増している。