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深夜2時・早朝5時

 いつも本当に遅く帰ってくる直人が金曜日。だらしのない顔をしチキンラーメンをすすっていたら突然会社から帰ってきた。時計を見る。午後7時半を少し過ぎたところだった。帰ってくるなり「土曜と日曜茨城に出張だから」と嫌そうな声を出していう。
「え? じゃあ、じゃあ一泊二日で?」
 土日というからにはそうであろうと質問形式をとると
 一泊二日って旅行じゃないしと笑い、そうだよ。一泊でとまた笑う。
「いやダァ〜! じゃあ明日の夜はいないの? いないよね。うん、いないんだね」
 誰にいっているのかわからないけれど勝手にひとりで視界を狭めていた。直人がいない。わたしひとりで。朝何時に出るの? え? 5時。
「いやダァ〜! また金縛りにあうよ」
 子どものように足をばたつかせ泣きそうになるのを抑えた。チキンラーメンがお湯を吸い過ぎてしまいもはや水分がなくなっている。まるでうどんを彷彿させる。直人ならこれでも食べるかもしれない。
「仕方ないだろ?」
「……う、うん、わかってるけど……」
 直人のいない夜とか考えるだけで吐きそうになり、体が震えてしまい途方に暮れ死にそうになる。死なないけれど。
「実家に帰れば」
 そうするか。夜直人不在のうちで一人では眠れない。
 作業着の綺麗なのがない。ワイシャツにアイロンかけないと。など出張の準備をしだす直人に、アイロンかけようかと言葉をかけると、いいといわれ、じゃあお風呂入れてといわれ風呂洗いをすることにする。
「お風呂一緒に入っていい?」
 はぁ? なにいってんの? そんな顔をし、うん。一緒に入ろうよと笑顔を向ける。
「酔ってないなおちゃんとお風呂に入るなんてなんか緊張するぅ」
「はぁ? なにいってんの?」
 直人ははたして冷静であり冷淡であった。わたしだけがなんだか子どものように泣いたり笑ったりと忙しいぞ。直人は大人すぎるのだ。
 作業着を洗いアイロンをかけて一緒にお風呂に入る。その間にコンビニで買ってきたラーメンを温める。
 お風呂に一緒に浸かる。恥ずかしい……、と思っていたけれどなるほど。もうそんなこと思わなかった。酔っていても酔っていなくても同じ。直人の背中に抱きつく。温かい。わたしは一気に幸せになってみる。
「日曜はゴルフなんだよ。恒例のさ」
「へー」
 へー以外の言葉がなくもう会話がなくなった。先に出るといい出ていく後ろ姿はとてもいい体をしており一瞬ギョッとなった。あ、と声を出したのはわたしで
「そういえば、チョコってもらったの?」
「……なんの?」
 なんのって、バレンタインだよというといつ? と聞かれ日曜日だから今日かなぁってね、ほら、毎年何個かもらってくるでしょ? うーんと直人はうなり、もらってないし知らなかったという。
「へー」
 へー以外の言葉はやっぱりなかった。
 先に出るよ。あ、ごめん。引き止めてしまったから直人は少しだけ寒そうだった。
 リビングに戻るとラーメンを食べ缶ビールを飲んでいた。その隣にちょこんと座る。
「今夜は早く寝ようね」
「ああ」
 テレビはワクチンがどーのこーのとどこかのコメンテーターが演説をしており、頭の毛がハゲている。どうしておじさんになると頭がハゲるのだろう。それも上の方から徐々にハゲドーナツ化現象になる。社会はおじさんが牛耳っているのは間違いではない。ねぇ、なおちゃんと横を振り向くとイケメンをさらけ出しうたた寝をしていた。うぁ。なんでまたこうもこの人は顔がいいのだろう。顔か? 体か? 顔か? やっぱり? 顔が好きだからこんなに長く付き合えるのか。わからない。顔が好みってのはいたって大事かもしれない。毛布をそっとかけわたしは立ち上がり電気を消しテレビを消し布団に入る。眠かった。

 隣に直人の気配を感じ意識が戻ってくる。背中を向けているわたしに直人が抱きついてくる。酒臭い。また飲んだのだろうか。ワンピース型のパジャマを巻き上げて胸を触ってくる。手が、わたしの胸に。ああっ、もっと、触っていいよというようになんとなくワンピースを巻き上げる。舐めて。その声にもう下半身はだらしがなくなり口を開け出す。下の口から涎が溢れ出している。直人の指が人差し指が茂みを掻き分け割れ目を優しく上下し液体がさらに溢れてくるのがわかる。
 状態を起こし直人がわたしを見下ろしキスをする。あっ……、声が出る。キスがいやに長く何秒単位ではなく何分単位だった。舌と舌を絡め合う。キスをしたのが久しぶりだった。下も上も涎だらけでタオルが欲しいと考える。舐めて。またいわれそういえばさっきもいわれたなとおもいつつ直人の屹立を舐める。ううん、腰を震わせながら気持ちのいい声を出す。感じて欲しい。この声はわたしだけのものでわたし以外聞かせたくはない。束縛ではない。けれど束縛かもしれない。直人はわたし以外の女をもう6年以上抱いていない。わたしの知っている限りでは。もし誰かとしていたら。考えるのがこわい。金縛りよりも こわい。わたしは……。直人がもう決壊に達しそうになる。わたしは屹立を持ち自ら上に乗りゆっくりと下の口に埋め込んでゆく。ああっ! あまりの気持ちよさに咆哮の声をあげる。うるさいほど。こんな真夜中に。真夜中の2時に。バカみたいな声。わたしはもう死んでもいいとさえおもう。キスをしながらはてたわたしと直人はそのままやはり死んだうに寝入ってしまう。
『ピピピピ……』
 目覚まし時計が何度も鳴る。切っても切っても鳴りその間にいちいち夢を見る。はっと目を開け夢を見、また現実に戻り、とうとう、ねぇ、なおちゃんと声をかける。
「いいの。鳴ってるよ」
「あ、うん」
 目覚まし時計一旦見て、まだいいといいわたしを裸のきつく抱きしめる。もう会えないかのように。
「行かないで」
 夢の中で叫んでいる。わたしは直人がいないと死んじゃうんだよといいながら。行かないでと泣いてすがっている。誰かがわたしの髪の毛をなぜ頬を撫でる。温かい。親にもしてもらったことがない世界で一番欲しい愛撫。待って、声が出せない。出しているのは吐息だけだ。

 瞼の上に光があたっているのがわかる。目を覚まし時計を見ると12時を指していた。うつろで憂鬱だった朝。わたしは泣いていたようでカバカバに乾いているであろう目のまわりがひどく乾燥をしておりパリッと音がしたような気がしてならない。とゆうかパリッとしたところから血が流れていることにあとで気がつき気がついたのは出かけ先のドラックストアーの化粧品コーナーだった。

※また官能小説を。欲求不満ダァ。はい。

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