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短編小説

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#ショートショート

ミルキー

 眠たくて眠たくてしょうがない。病気なのかとおもうほどどんだけでも眠れる。
【プルプル……】
 部屋のコールが鳴るたびにいちいちおどろく。今あたしはヘルスの個室に待機をしている。
「はい」
 コール4回で受話器をあげる。ベッドから徒歩二歩のところなのにまだ覚醒していない頭で寝ぼけた声をだす。
『指名のお客さんです』
「——は、はい」
 別に支度をすることもないのでそのまま部屋を出る。お客さんと対面

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もも

もも

 スーパーに並ぶももをみて
「おしり」
 と真っ先に叫んだ隣にいた小さな天使はやさしそうなパパとママの間に包まれるように立っていてその頬を目の端で捉えるようみるとそれはしかしまるで桃そのものだった。
 桃のように薄いピンクをしておりちょっとだけ毛羽立ってみえるのは子ども特有の乾燥あるいは汚れなどでありそれがリアルにまるで桃を彷彿させる。
「なあに? ももたべたいのかな?」
 ママは子どもの目線にあ

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