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短編小説

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#風俗

ミルキー

 眠たくて眠たくてしょうがない。病気なのかとおもうほどどんだけでも眠れる。
【プルプル……】
 部屋のコールが鳴るたびにいちいちおどろく。今あたしはヘルスの個室に待機をしている。
「はい」
 コール4回で受話器をあげる。ベッドから徒歩二歩のところなのにまだ覚醒していない頭で寝ぼけた声をだす。
『指名のお客さんです』
「——は、はい」
 別に支度をすることもないのでそのまま部屋を出る。お客さんと対面

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み、みえません

み、みえません

(右)
 よし。あたしは『C』のマークがきちんと見えていることを右目と左目できちんと確認しシャワーへッドを持ってしゃがんだままお客さんの方に向きなおる。
「石鹸で洗いますね」
 ヘルス嬢は至って笑顔を絶やしてはいけない。愛想よく。嫌な顔をしない。との教訓はすっかり得てはいる。が。
「ああ、うん」
 お客さんの年齢は下半身にぶら下がったものやそのまわりにある密林によってだいたいわかる。密林は人生を物

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たかゆき

たかゆき

『ももちゃんご指名65分』
 内線電話が鳴り寝ぼけながら受話器をあげる。フロントのおじさんは素早く要件だけをいい身勝手に電話を切る。がちゃん。と。
『は、はい』
 寝起きなのもあるけれどあたしは身体もひどく小さいけれど声も蚊のなくような声しかださない(とゆうか出せない。この前なんてアイスクリームを注文しようとしておばさんを何度もすみませーんと呼んだけれど洗浄機の音に声が負けなかなか店先に出てこずア

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